10 / 15
01エドワード
③私の贖罪
しおりを挟む
「……レンに怒られること覚悟で言うよ。 私は記憶を思い出してもシュランの事が好きみたいだ」
「そうか。前に言った通り、告白の資格は与えてやるよ。俺は未だに告白すら出来てない」
「告白した所で、レンが言う通りに何処の馬の骨かも分からない男に恋しているシュランには振られてしまうだろうけどね」
そう言えば、今度はこちらをジト目でみてきたから驚いた。 え、今の言葉にレンを不機嫌にさせるだけの何かは無かったと思うけど。
「ったく。お前の事だよ、モグリ。シュランはお前の事が好きなんだ。だから自信を持って告白してこい……シュラン中央の人間になるのかあ」
かなり投げやりな感じで言われた、まさかの展開に驚いて固まっているとレンにまた頭をグリグリと攻撃をされてしまった。
「それは悔しいな。私はシュランに告白できないから……きっと帰ってきたシュランを泣かすことになるから」
「はぁ……?」
本当に何を言っているのか分からない、見たいな感じで無言でこちらを見つめてくるレンに対して覚悟を決めた。ぶん殴られる覚悟で。
――【私には幼い頃から結婚を約束している女性が居るんだ】
そしてあの後、私はレンにぶん殴られた。いや殴ってくれたと言った方が正しいか。 殴った直後にレンはため息をついてこれでいいんだろ?って。
もちろん、そこでもこれからの事を色々話し合った。その時に明日までに村の皆に挨拶をして回ってから国に帰ろうと思っていると伝えたらシュランが帰ってくるまで待っていてくれと懇願された。
その時に少しでも、私とシュランを想っての事だと言われていたならその引き止めの声すら聞こえないふりして帰っていたと思う。 レンに俺の為にと言われたら断れる訳がなかった。
何も言わずに去って、それでもなおシュランがお前の事を想って探され続けたらそれこそどうする事も出来なくなってしまいそうだ、なんて言われたらね。
そんな話をしてから特に代わり映えのない日々を送り続けて、ようやく帰ってきたシュランに記憶を思い出した事と、明日にでも帰ることを報告すれば案外さっぱりとしていて去るよと言われてしまった。
少し、いやかなり寂しいなと思った。レンは確かにシュランが何処の馬の骨かも分からない僕の事を好きだと言ってくれたけど、やっぱりそれは嘘だったんじゃないかと疑ってしまうほどにさっぱりとしていた。
だから、お世話になった人達に見送られて歩くこと十数分。 結局、レンと立てた様々な作戦は使い所なく終わってしまった。シュランのために私が彼女の事を妹のように想っていた事にする作戦は一番ダメージが少ないかと思ってたんだけど。 そんな事を考えるまでもなくシュランはやっぱりしっかり者だったらしい。
――そう、しっかり者だと思っていたんだけどなぁ。 真後ろから抱きつかれた時は流石に焦った。まさか、ここまで歩いてから追いかけてくるなんて思わなかったから。
いや、多分、勘でしかないけれど何となくシュランをレンがけしかけたんだろうなとは、思う。 でも良かった。これでようやくお互いにとってこれから前を進む為の清算になるだろうから。
「モグリ!!!!!!」
……だけど、シュラン。 私はこれから君にとても酷いことを言うよ。 きっとこれが本当の最後の別れになるのだろう。
【この三年間で可愛らしい、もう一人の妹のような存在になっているからね】
……一度でも愛した女の涙さえ拭えないような、情けない男で本当に申し訳ない。 足をもう一度進め始めた私の頬を伝うのが涙なのか、降り始めた雨なのか、今になっては分からない。
きっともう私がこの地に足を踏み入れる事は無いのだろう。 もう振り返らない。振り返ったら甘えてしまいそうになるから。
「いままでお世話になりました」
もう何度目になるか分からない言葉を呟いてからその場から逃げるように駆け出した。
「そうか。前に言った通り、告白の資格は与えてやるよ。俺は未だに告白すら出来てない」
「告白した所で、レンが言う通りに何処の馬の骨かも分からない男に恋しているシュランには振られてしまうだろうけどね」
そう言えば、今度はこちらをジト目でみてきたから驚いた。 え、今の言葉にレンを不機嫌にさせるだけの何かは無かったと思うけど。
「ったく。お前の事だよ、モグリ。シュランはお前の事が好きなんだ。だから自信を持って告白してこい……シュラン中央の人間になるのかあ」
かなり投げやりな感じで言われた、まさかの展開に驚いて固まっているとレンにまた頭をグリグリと攻撃をされてしまった。
「それは悔しいな。私はシュランに告白できないから……きっと帰ってきたシュランを泣かすことになるから」
「はぁ……?」
本当に何を言っているのか分からない、見たいな感じで無言でこちらを見つめてくるレンに対して覚悟を決めた。ぶん殴られる覚悟で。
――【私には幼い頃から結婚を約束している女性が居るんだ】
そしてあの後、私はレンにぶん殴られた。いや殴ってくれたと言った方が正しいか。 殴った直後にレンはため息をついてこれでいいんだろ?って。
もちろん、そこでもこれからの事を色々話し合った。その時に明日までに村の皆に挨拶をして回ってから国に帰ろうと思っていると伝えたらシュランが帰ってくるまで待っていてくれと懇願された。
その時に少しでも、私とシュランを想っての事だと言われていたならその引き止めの声すら聞こえないふりして帰っていたと思う。 レンに俺の為にと言われたら断れる訳がなかった。
何も言わずに去って、それでもなおシュランがお前の事を想って探され続けたらそれこそどうする事も出来なくなってしまいそうだ、なんて言われたらね。
そんな話をしてから特に代わり映えのない日々を送り続けて、ようやく帰ってきたシュランに記憶を思い出した事と、明日にでも帰ることを報告すれば案外さっぱりとしていて去るよと言われてしまった。
少し、いやかなり寂しいなと思った。レンは確かにシュランが何処の馬の骨かも分からない僕の事を好きだと言ってくれたけど、やっぱりそれは嘘だったんじゃないかと疑ってしまうほどにさっぱりとしていた。
だから、お世話になった人達に見送られて歩くこと十数分。 結局、レンと立てた様々な作戦は使い所なく終わってしまった。シュランのために私が彼女の事を妹のように想っていた事にする作戦は一番ダメージが少ないかと思ってたんだけど。 そんな事を考えるまでもなくシュランはやっぱりしっかり者だったらしい。
――そう、しっかり者だと思っていたんだけどなぁ。 真後ろから抱きつかれた時は流石に焦った。まさか、ここまで歩いてから追いかけてくるなんて思わなかったから。
いや、多分、勘でしかないけれど何となくシュランをレンがけしかけたんだろうなとは、思う。 でも良かった。これでようやくお互いにとってこれから前を進む為の清算になるだろうから。
「モグリ!!!!!!」
……だけど、シュラン。 私はこれから君にとても酷いことを言うよ。 きっとこれが本当の最後の別れになるのだろう。
【この三年間で可愛らしい、もう一人の妹のような存在になっているからね】
……一度でも愛した女の涙さえ拭えないような、情けない男で本当に申し訳ない。 足をもう一度進め始めた私の頬を伝うのが涙なのか、降り始めた雨なのか、今になっては分からない。
きっともう私がこの地に足を踏み入れる事は無いのだろう。 もう振り返らない。振り返ったら甘えてしまいそうになるから。
「いままでお世話になりました」
もう何度目になるか分からない言葉を呟いてからその場から逃げるように駆け出した。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
業腹
ごろごろみかん。
恋愛
夫に蔑ろにされていた妻、テレスティアはある日夜会で突然の爆発事故に巻き込まれる。唯一頼れるはずの夫はそんな時でさえテレスティアを置いて、自分の大切な主君の元に向かってしまった。
置いていかれたテレスティアはそのまま階段から落ちてしまい、頭をうってしまう。テレスティアはそのまま意識を失いーーー
気がつくと自室のベッドの上だった。
先程のことは夢ではない。実際あったことだと感じたテレスティアはそうそうに夫への見切りをつけた
今さら、私に構わないでください
ましゅぺちーの
恋愛
愛する夫が恋をした。
彼を愛していたから、彼女を側妃に迎えるように進言した。
愛し合う二人の前では私は悪役。
幸せそうに微笑み合う二人を見て、私は彼への愛を捨てた。
しかし、夫からの愛を完全に諦めるようになると、彼の態度が少しずつ変化していって……?
タイトル変更しました。
浮気くらいで騒ぐなとおっしゃるなら、そのとおり従ってあげましょう。
Hibah
恋愛
私の夫エルキュールは、王位継承権がある王子ではないものの、その勇敢さと知性で知られた高貴な男性でした。貴族社会では珍しいことに、私たちは婚約の段階で互いに恋に落ち、幸せな結婚生活へと進みました。しかし、ある日を境に、夫は私以外の女性を部屋に連れ込むようになります。そして「男なら誰でもやっている」と、浮気を肯定し、開き直ってしまいます。私は夫のその態度に心から苦しみました。夫を愛していないわけではなく、愛し続けているからこそ、辛いのです。しかし、夫は変わってしまいました。もうどうしようもないので、私も変わることにします。
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。
懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。
梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。
あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。
その時までは。
どうか、幸せになってね。
愛しい人。
さようなら。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる