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第五章 人神異界最終決戦
幕間 道を違えど
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***
男はたった一人、真っ白な世界の上に立っていた。そこが何処か、何となく察しており、ため息を吐くとバサラ達の最後を見届けず、その場を立ち去ろうとする。
「あはは、お前、馬鹿だな」
立ち去ろうとした男の目の前に現れたのはロンベルグ・ウォースタインであり、その横にはかつての盟友が立っていた。
「よ! おつおつ! アルベール!」
真紅の髪の竜殺し、彼女は笑顔で男に挨拶すると直ぐにでもそこを去ろうとした彼はため息を吐き、思わず答えてしまう。
「何だ、その挨拶は」
「俺は無視なのにジークには反応するのか」
「それはいいだろう、ロン」
「珍しいなぁ、アル。お前が俺をロンなんて呼ぶの、幾年ぶりだ?」
「へへ! 俺は最初からジーク呼びだったぞ!」
「ああ、お前らは本当に何なんだ。俺は別に会いたいなんて思ってもいないのに揃いも揃って」
帰還者がそう言うとジークフリートとロンベルグはニヤニヤと笑っていた。
「そりゃ、お前が頑張ったからな」
「最後くらい一緒に行ってやろうって言う友達としての義務だよ」
彼れらがそう言うことも知っており、帰還者は再びため息を吐くも何かを諦めたのか彼らを見て、口を開いた。
「私は、全部を失敗した。お前達との約束を違え、踏み外し、廃棄孔の面々の夢も踏み躙った。私は、お前達みたいに立派に何かをやり切った訳でもなく、戦った訳でもない。お前達とその先に行くのに不釣り合いだ。だから」
その瞬間、ジークフリートは帰還者の顔に思い切り拳を振り抜くと彼は勢い良く吹き飛んだ。ロンベルグはアチャーと手でおでこを叩き、ジークには喋りかける。
「ジークよ、お前さっき暴力はなしって自分で言ってなかったか?」
「うるせえ! 今のはコイツが悪い! お前、また、道を違えたな?」
「間違え続けて」
「ちげえよ!」
ジークは再び帰還者を殴りつけた。それは拳骨であり、帰還者はそれを受け、地面に顔がめり込むとジークはそんな彼を見て、怒りを向ける。
「俺はな、今、ここで後悔してるのが間違えだって言ってんだよ!」
「意味が分からん」
「お前の道は俺と違えたが決して間違いばかりじゃない。廃棄孔の面々を集め、居場所を作った。お前はそれを失敗だと思うか? 間違えだと思ったのか? 違うだろ! お前はお前の道を選んで突き進んだ。たしかに、間違った道ではあると俺は思う。だがな! その道を歩んだ奴らはお前に少しだけでも救われた瞬間があったはずだろ!? 自分の進んだ道全てを失敗って言うならそれが間違えだ、俺が正す。約束だからな!」
ジークフリートの真剣な眼差しに、帰還者は普段であればそれを無視しようとするが今日は初めて彼女の目に応えようと真っ直ぐ見つめた。
「なら、俺はどうすれば、良かったんだ?」
帰還者は分からなくなっていた。最後の戦い以外で自分の選択全てが間違っていた、そう感じていた彼は初めて誰かにそれを問う。
そんな帰還者の問いに、ジークは地面に座り込んでいた彼に手を出した。
「んなもん、今から考えようぜ! お前の仲間、何人か来てるし、お前に会いたがってるぞ? 何より、お前の間違いは今度は俺が一緒に正してやるからさ!」
ジークフリートの出された手を一度を離し、二度の拒絶を経て、彼は初めて手を取った。立ち上がるとそれを見ていたロンベルグは少しだけ微笑み、彼らに歩幅を合わせて歩き出す。
「とりあえず、俺とお前どっちが強いか、もう一回勝負な!」
「ジーク、先ずは俺とだ。バサラのヤツに負けた時のインスピレーションを形にしたい」
「ロン、今回は私が先だ。相手してやる、ジーク。負けても泣き言は聞かんぞ」
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男はたった一人、真っ白な世界の上に立っていた。そこが何処か、何となく察しており、ため息を吐くとバサラ達の最後を見届けず、その場を立ち去ろうとする。
「あはは、お前、馬鹿だな」
立ち去ろうとした男の目の前に現れたのはロンベルグ・ウォースタインであり、その横にはかつての盟友が立っていた。
「よ! おつおつ! アルベール!」
真紅の髪の竜殺し、彼女は笑顔で男に挨拶すると直ぐにでもそこを去ろうとした彼はため息を吐き、思わず答えてしまう。
「何だ、その挨拶は」
「俺は無視なのにジークには反応するのか」
「それはいいだろう、ロン」
「珍しいなぁ、アル。お前が俺をロンなんて呼ぶの、幾年ぶりだ?」
「へへ! 俺は最初からジーク呼びだったぞ!」
「ああ、お前らは本当に何なんだ。俺は別に会いたいなんて思ってもいないのに揃いも揃って」
帰還者がそう言うとジークフリートとロンベルグはニヤニヤと笑っていた。
「そりゃ、お前が頑張ったからな」
「最後くらい一緒に行ってやろうって言う友達としての義務だよ」
彼れらがそう言うことも知っており、帰還者は再びため息を吐くも何かを諦めたのか彼らを見て、口を開いた。
「私は、全部を失敗した。お前達との約束を違え、踏み外し、廃棄孔の面々の夢も踏み躙った。私は、お前達みたいに立派に何かをやり切った訳でもなく、戦った訳でもない。お前達とその先に行くのに不釣り合いだ。だから」
その瞬間、ジークフリートは帰還者の顔に思い切り拳を振り抜くと彼は勢い良く吹き飛んだ。ロンベルグはアチャーと手でおでこを叩き、ジークには喋りかける。
「ジークよ、お前さっき暴力はなしって自分で言ってなかったか?」
「うるせえ! 今のはコイツが悪い! お前、また、道を違えたな?」
「間違え続けて」
「ちげえよ!」
ジークは再び帰還者を殴りつけた。それは拳骨であり、帰還者はそれを受け、地面に顔がめり込むとジークはそんな彼を見て、怒りを向ける。
「俺はな、今、ここで後悔してるのが間違えだって言ってんだよ!」
「意味が分からん」
「お前の道は俺と違えたが決して間違いばかりじゃない。廃棄孔の面々を集め、居場所を作った。お前はそれを失敗だと思うか? 間違えだと思ったのか? 違うだろ! お前はお前の道を選んで突き進んだ。たしかに、間違った道ではあると俺は思う。だがな! その道を歩んだ奴らはお前に少しだけでも救われた瞬間があったはずだろ!? 自分の進んだ道全てを失敗って言うならそれが間違えだ、俺が正す。約束だからな!」
ジークフリートの真剣な眼差しに、帰還者は普段であればそれを無視しようとするが今日は初めて彼女の目に応えようと真っ直ぐ見つめた。
「なら、俺はどうすれば、良かったんだ?」
帰還者は分からなくなっていた。最後の戦い以外で自分の選択全てが間違っていた、そう感じていた彼は初めて誰かにそれを問う。
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「とりあえず、俺とお前どっちが強いか、もう一回勝負な!」
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