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第五章 人神異界最終決戦
八話 人身異界最終決戦 其の捌
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バサラとロキの二人が山の上でナナシと鎬を削っている中、ジータは彼らの元に向かおうとした。
「おい」
そんな彼女に対して帰還者はジータに喋りかけた。
「何ですか? 今は話している暇はないと思うのですが」
「私は今からアイツを一撃で殺すためのカードを切る。そのために時間が必要だ」
帰還者はジータにそう言うとシンクがそこに割って入った。
「と言うと、つまり、俺達に時間を稼げという事か?」
「そう言う事だ」
「俺は別にお前を信用してない。それなら今から全員でアイツを叩いたほうがいいだろう」
「アイツらが何かを引き出してそのカードを知っておきたい。それをお前達も引き出せれば上々だ」
帰還者の言葉、それは四護聖と吟千代を餌に使うと言うものであった。シンクはそれを聞き、断ろうとするもののそれよりも早くジータが帰還者に声を上げる。
「いいでしょう。その代わり、別に私達が倒してしまっても構わないのでしょう?」
「面白い、それが叶うなら願ってもない」
「代わりと言ってですが、私達を餌に使うんです。保険はかけておいてくださいよ」
***
斬撃の雨に晒されていたはずのジータ達はいつの間にか、別の場所に移動させられた。そこは森の中なのか、彼らの戦闘を行っていたところとは遠くに飛ばされていた。
全員がボロボロの傷だらけになっており、満身創痍の中、グランは一人、横になり叫んだ。
「きっっっつ!」
そう言いながらも全員に強化を付与し、彼は肉体を強化する事で切り傷を回復させる。
「肉体の傷を癒せても魂を傷つけられたら、ごっそり力が抜け落ちる感覚がある。魂ってのは回復できるのか?!」
グランはシンクに聞くと、彼も疲れているのかそれに応えるのに少しばかり間を置いた。
「ある。だが、これは時間だけだ。傷ついた魂の回復、それが出来るのは時間の流れに身を任せる事以外には出来ない」
「カラカラ、なら、今の拙者らは大分危ういぞ。不可視の斬撃、あれは防げた。だが、魂への斬撃は慣れていないからか何度か受けてしまっている。受けた場所から一気にジワリと何かが抜けたのは理解していた。これ以上、動くとすれば何かを取捨選択しなければならないはずだ」
吟千代は自身の頬に流れている傷を拭うと腰に刀を差し、立ち上がった。
「吟千代、何処に?」
「拙者はまだ負けてない。なら、この命投げ捨てでもあの首を落とす」
「無理して動かない。今、あなたが命を投げ捨てて喜ぶ人間は少なくてもここには居ない」
「むっ。そうか、そうなのか」
吟千代はジータの言葉により、留まると彼らは今の自分達ではナナシには勝てないことを沈黙の中で理解していた。理解していたからこそ、自分達が足手纏いであり、これ以上何が出来るか、考える。
「私に、提案があります」
その沈黙を破ったのはミカであった。
***
降り注いでいた斬撃を止め、ナナシは魂の世界と現実の両方に存在する救世真愛、救世親愛を自らの前にした。
「無量辺処・循環解脱」
帰還者は叫びながらその剣を振り下ろすとそれを防ぐためにナナシもまた自身の全力を展開する。
「平和主義者×開闢魔術×天地魔術×魂の防御機構×黒の殺戮機構×白の終焉機構」
ナナシが口にする文字の羅列、それは自身が世界を作り出すために使う、権能の掛け合わせ。
それにやり生み出されるは混沌たる創造主たる一撃。
循環の理から放たれる、破壊の光はナナシに容赦無く襲い掛かるもそれに負けじと彼女の力の結晶が打つかり合う。
帰還者の予想外の威力に驚かせられるもナナシはここでもまだ笑顔で彼に相対した。
辺りを砕き、塵に変える二つの光は徐々に威力を増し始めると全てを飲み込み膨張する。鬩ぎ合いは互いに折れることなく、交わりながら臨界点を突破した瞬間、光が爆ぜた。
輝きは瞬く間に世界を飲み、破壊と再生を繰り返す。
ナナシが混ぜ込んだのは循環同様の破壊と再生により生まれるエネルギーであり、それに加えて様々な魔術と権能の重ねがけである。
故に、帰還者よりも遥かに様々な能力を重ねた結果、爆発による輝きは収まり始めるとその空にたった一人立っていたのはナナシだけあった。
最大の障壁になるであろう帰還者をいち早く倒したことにより、ナナシは勝利を確信する。
だが、その勝利を確信した者、その悦による慢心、それが創造主たるナナシにもあった。
ザクリと音がした。
胸部を貫くのは漆黒の刃。
それは魂を捉えており、ハッキリとナナシの体を傷つける。
ナナシが視線を向けた先に、カツラギ・バサラ、彼が黒の穴から彼女の胸元を貫いた。
バサラとロキの二人が山の上でナナシと鎬を削っている中、ジータは彼らの元に向かおうとした。
「おい」
そんな彼女に対して帰還者はジータに喋りかけた。
「何ですか? 今は話している暇はないと思うのですが」
「私は今からアイツを一撃で殺すためのカードを切る。そのために時間が必要だ」
帰還者はジータにそう言うとシンクがそこに割って入った。
「と言うと、つまり、俺達に時間を稼げという事か?」
「そう言う事だ」
「俺は別にお前を信用してない。それなら今から全員でアイツを叩いたほうがいいだろう」
「アイツらが何かを引き出してそのカードを知っておきたい。それをお前達も引き出せれば上々だ」
帰還者の言葉、それは四護聖と吟千代を餌に使うと言うものであった。シンクはそれを聞き、断ろうとするもののそれよりも早くジータが帰還者に声を上げる。
「いいでしょう。その代わり、別に私達が倒してしまっても構わないのでしょう?」
「面白い、それが叶うなら願ってもない」
「代わりと言ってですが、私達を餌に使うんです。保険はかけておいてくださいよ」
***
斬撃の雨に晒されていたはずのジータ達はいつの間にか、別の場所に移動させられた。そこは森の中なのか、彼らの戦闘を行っていたところとは遠くに飛ばされていた。
全員がボロボロの傷だらけになっており、満身創痍の中、グランは一人、横になり叫んだ。
「きっっっつ!」
そう言いながらも全員に強化を付与し、彼は肉体を強化する事で切り傷を回復させる。
「肉体の傷を癒せても魂を傷つけられたら、ごっそり力が抜け落ちる感覚がある。魂ってのは回復できるのか?!」
グランはシンクに聞くと、彼も疲れているのかそれに応えるのに少しばかり間を置いた。
「ある。だが、これは時間だけだ。傷ついた魂の回復、それが出来るのは時間の流れに身を任せる事以外には出来ない」
「カラカラ、なら、今の拙者らは大分危ういぞ。不可視の斬撃、あれは防げた。だが、魂への斬撃は慣れていないからか何度か受けてしまっている。受けた場所から一気にジワリと何かが抜けたのは理解していた。これ以上、動くとすれば何かを取捨選択しなければならないはずだ」
吟千代は自身の頬に流れている傷を拭うと腰に刀を差し、立ち上がった。
「吟千代、何処に?」
「拙者はまだ負けてない。なら、この命投げ捨てでもあの首を落とす」
「無理して動かない。今、あなたが命を投げ捨てて喜ぶ人間は少なくてもここには居ない」
「むっ。そうか、そうなのか」
吟千代はジータの言葉により、留まると彼らは今の自分達ではナナシには勝てないことを沈黙の中で理解していた。理解していたからこそ、自分達が足手纏いであり、これ以上何が出来るか、考える。
「私に、提案があります」
その沈黙を破ったのはミカであった。
***
降り注いでいた斬撃を止め、ナナシは魂の世界と現実の両方に存在する救世真愛、救世親愛を自らの前にした。
「無量辺処・循環解脱」
帰還者は叫びながらその剣を振り下ろすとそれを防ぐためにナナシもまた自身の全力を展開する。
「平和主義者×開闢魔術×天地魔術×魂の防御機構×黒の殺戮機構×白の終焉機構」
ナナシが口にする文字の羅列、それは自身が世界を作り出すために使う、権能の掛け合わせ。
それにやり生み出されるは混沌たる創造主たる一撃。
循環の理から放たれる、破壊の光はナナシに容赦無く襲い掛かるもそれに負けじと彼女の力の結晶が打つかり合う。
帰還者の予想外の威力に驚かせられるもナナシはここでもまだ笑顔で彼に相対した。
辺りを砕き、塵に変える二つの光は徐々に威力を増し始めると全てを飲み込み膨張する。鬩ぎ合いは互いに折れることなく、交わりながら臨界点を突破した瞬間、光が爆ぜた。
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故に、帰還者よりも遥かに様々な能力を重ねた結果、爆発による輝きは収まり始めるとその空にたった一人立っていたのはナナシだけあった。
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だが、その勝利を確信した者、その悦による慢心、それが創造主たるナナシにもあった。
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胸部を貫くのは漆黒の刃。
それは魂を捉えており、ハッキリとナナシの体を傷つける。
ナナシが視線を向けた先に、カツラギ・バサラ、彼が黒の穴から彼女の胸元を貫いた。
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