217 / 311
第四章 人神代理戦争 霹靂
二十二話 人神代理戦争 其の捌 竜殺帰還③
しおりを挟む
虚空万象。
帰還者本人が作り出した、無量辺処の蒼の刀の能力の最大活用。
吸収の能力を拡大し、全身に纏わす事で相手の攻撃を無効化するだけではなく、凡ゆる事象をを飲み込む存在その者が「虚空」となる。
しかし、それは長くは保たず、ジークフリートの攻撃全てに適用させるのは不可能であった。
ジークフリートの攻撃、それらを一度、防ぐと彼はその「虚空」の形を変化させる。
帰還者はジークフリートに向けて、全身の虚空万象を一瞬だけ、蒼の刀に纏わせるとそれを振るった。
次の瞬間、邪竜失墜混沌大剣を振るっていたジークフリートの右肩が削り落とされる。
いや、削り落とすというよりも血が溢れることもなく、ただそこに無かったかのような、右腕という存在自体が抹消された。
「!?」
ジークフリートはそれに気づくも、彼女の体に目掛けて、帰還者は赫の剣、その刃先を向けた。
「吹き飛べ」
帰還者の赫の剣から放たれるはここまで貯め、「虚空」に飛ばされるされていた全てのエネルギーの限界解放。
剣すら失い、残ったものは血の騎士とその翼。咄嗟の判断でジークフリートは防御の姿勢をとるも、それは容赦無く、彼女の体を消し飛ばす。
いくつもあったビルの数々、それら全ての窓ガラスを破った。
「少し興醒めだったな、ジーク」
帰還者の目の前にジークフリートが現れるも彼女の体は様々な部位が欠損していた。
かろうじて残っていたのは体と右足、左腕のみ。手は指が幾つも消えており、三本だけが残っている。
「いってえよ、アホ」
ジークフリートは声を出すもそれは弱々しく、先ほどまでの覇気が感じられるものでは無かった。帰還者はジークフリートに一歩ずつ近付くと彼女の首に剣を突きつけた。
「終わりだ。25年前、俺はお前に負けた。だが、今度は逆」
「そう、かよ。だが、こんなにおしゃべりしていいのか?」
「ああ、そうだな」
帰還者はジークフリートの首に剣を振り下ろすと彼女の首に迫った途端、彼の剣に血の糸まとわりついていた。
ジークフリートにとって、ここまでは予定調和。自身が追い詰められることは幾らでもあり得ると知っていた。
故に、帰還者を倒すための手段もまた、同様に考えていた。
「邪竜の血糸」
血の糸が帰還者の剣を一瞬だけ止めるとジークフリートは闘争心を剥き出しにしながら、彼の顔に残った腕を使い、拳を振り抜いた。
(その様な攻撃、効くわけないだろう)
帰還者はジークフリートの攻撃を「虚空」に飛ばし、直ぐに剣と刀を止める血の糸を振り切るも目の前に映る彼女の姿が変わっていた。
欠けた部位を己が血を使い、補う。
赤く染まり、血を無理矢理固めて動こうとすると固った血がバギリバギリと音を立てた。
鮮血で生まれた腕と足、そして、背中には尻尾と翼、顔は相変わらず笑顔を浮かべており、その形を安定させようとした。
こして、ジークフリートは自身の意識を集中させ、その姿を作り出す。
「邪竜結合暴血の装」
邪竜に愛され、魅入られた英雄の体はその邪竜の存在を証明する様に、雄叫びをあげる。
「随分とまぁ、禍々しいな、ジーク」
帰還者は目の前に現れた邪竜の権化に対して、冷静な口調で話しかけた。
ジークフリートはそれに対して地面に突き刺さっていた邪竜失墜混沌大剣を尻尾で拾い上げると両腕に地で生み出した赤い爪を構える。
「まだまだ、これから! もりもりいこうかぁ!」
そう言うと両翼を広げ、飛翔する。
帰還者、彼を自身の舞台に追い上げるために一気に距離を詰めた。
帰還者本人が作り出した、無量辺処の蒼の刀の能力の最大活用。
吸収の能力を拡大し、全身に纏わす事で相手の攻撃を無効化するだけではなく、凡ゆる事象をを飲み込む存在その者が「虚空」となる。
しかし、それは長くは保たず、ジークフリートの攻撃全てに適用させるのは不可能であった。
ジークフリートの攻撃、それらを一度、防ぐと彼はその「虚空」の形を変化させる。
帰還者はジークフリートに向けて、全身の虚空万象を一瞬だけ、蒼の刀に纏わせるとそれを振るった。
次の瞬間、邪竜失墜混沌大剣を振るっていたジークフリートの右肩が削り落とされる。
いや、削り落とすというよりも血が溢れることもなく、ただそこに無かったかのような、右腕という存在自体が抹消された。
「!?」
ジークフリートはそれに気づくも、彼女の体に目掛けて、帰還者は赫の剣、その刃先を向けた。
「吹き飛べ」
帰還者の赫の剣から放たれるはここまで貯め、「虚空」に飛ばされるされていた全てのエネルギーの限界解放。
剣すら失い、残ったものは血の騎士とその翼。咄嗟の判断でジークフリートは防御の姿勢をとるも、それは容赦無く、彼女の体を消し飛ばす。
いくつもあったビルの数々、それら全ての窓ガラスを破った。
「少し興醒めだったな、ジーク」
帰還者の目の前にジークフリートが現れるも彼女の体は様々な部位が欠損していた。
かろうじて残っていたのは体と右足、左腕のみ。手は指が幾つも消えており、三本だけが残っている。
「いってえよ、アホ」
ジークフリートは声を出すもそれは弱々しく、先ほどまでの覇気が感じられるものでは無かった。帰還者はジークフリートに一歩ずつ近付くと彼女の首に剣を突きつけた。
「終わりだ。25年前、俺はお前に負けた。だが、今度は逆」
「そう、かよ。だが、こんなにおしゃべりしていいのか?」
「ああ、そうだな」
帰還者はジークフリートの首に剣を振り下ろすと彼女の首に迫った途端、彼の剣に血の糸まとわりついていた。
ジークフリートにとって、ここまでは予定調和。自身が追い詰められることは幾らでもあり得ると知っていた。
故に、帰還者を倒すための手段もまた、同様に考えていた。
「邪竜の血糸」
血の糸が帰還者の剣を一瞬だけ止めるとジークフリートは闘争心を剥き出しにしながら、彼の顔に残った腕を使い、拳を振り抜いた。
(その様な攻撃、効くわけないだろう)
帰還者はジークフリートの攻撃を「虚空」に飛ばし、直ぐに剣と刀を止める血の糸を振り切るも目の前に映る彼女の姿が変わっていた。
欠けた部位を己が血を使い、補う。
赤く染まり、血を無理矢理固めて動こうとすると固った血がバギリバギリと音を立てた。
鮮血で生まれた腕と足、そして、背中には尻尾と翼、顔は相変わらず笑顔を浮かべており、その形を安定させようとした。
こして、ジークフリートは自身の意識を集中させ、その姿を作り出す。
「邪竜結合暴血の装」
邪竜に愛され、魅入られた英雄の体はその邪竜の存在を証明する様に、雄叫びをあげる。
「随分とまぁ、禍々しいな、ジーク」
帰還者は目の前に現れた邪竜の権化に対して、冷静な口調で話しかけた。
ジークフリートはそれに対して地面に突き刺さっていた邪竜失墜混沌大剣を尻尾で拾い上げると両腕に地で生み出した赤い爪を構える。
「まだまだ、これから! もりもりいこうかぁ!」
そう言うと両翼を広げ、飛翔する。
帰還者、彼を自身の舞台に追い上げるために一気に距離を詰めた。
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
最強の職業は付与魔術師かもしれない
カタナヅキ
ファンタジー
現実世界から異世界に召喚された5人の勇者。彼等は同じ高校のクラスメイト同士であり、彼等を召喚したのはバルトロス帝国の3代目の国王だった。彼の話によると現在こちらの世界では魔王軍と呼ばれる組織が世界各地に出現し、数多くの人々に被害を与えている事を伝える。そんな魔王軍に対抗するために帝国に代々伝わる召喚魔法によって異世界から勇者になれる素質を持つ人間を呼びだしたらしいが、たった一人だけ巻き込まれて召喚された人間がいた。
召喚された勇者の中でも小柄であり、他の4人には存在するはずの「女神の加護」と呼ばれる恩恵が存在しなかった。他の勇者に巻き込まれて召喚された「一般人」と判断された彼は魔王軍に対抗できないと見下され、召喚を実行したはずの帝国の人間から追い出される。彼は普通の魔術師ではなく、攻撃魔法は覚えられない「付与魔術師」の職業だったため、この職業の人間は他者を支援するような魔法しか覚えられず、強力な魔法を扱えないため、最初から戦力外と判断されてしまった。
しかし、彼は付与魔術師の本当の力を見抜き、付与魔法を極めて独自の戦闘方法を見出す。後に「聖天魔導士」と名付けられる「霧崎レナ」の物語が始まる――
※今月は毎日10時に投稿します。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
おっさんの異世界建国記
なつめ猫
ファンタジー
中年冒険者エイジは、10年間異世界で暮らしていたが、仲間に裏切られ怪我をしてしまい膝の故障により、パーティを追放されてしまう。さらに冒険者ギルドから任された辺境開拓も依頼内容とは違っていたのであった。現地で、何気なく保護した獣人の美少女と幼女から頼られたエイジは、村を作り発展させていく。
【第2部完結】勇者参上!!~究極奥義を取得した俺は来た技全部跳ね返す!究極術式?十字剣?最強魔王?全部まとめてかかってこいや!!~
Bonzaebon
ファンタジー
『ヤツは泥だらけになっても、傷だらけになろうとも立ち上がる。』
元居た流派の宗家に命を狙われ、激戦の末、究極奥義を完成させ、大武会を制した勇者ロア。彼は強敵達との戦いを経て名実ともに強くなった。
「今度は……みんなに恩返しをしていく番だ!」
仲間がいてくれたから成長できた。だからこそ、仲間のみんなの力になりたい。そう思った彼は旅を続ける。俺だけじゃない、みんなもそれぞれ問題を抱えている。勇者ならそれを手助けしなきゃいけない。
『それはいつか、あなたの勇気に火を灯す……。』
【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~
川原源明
ファンタジー
秋津直人、85歳。
50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。
嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。
彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。
白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。
胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。
そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。
まずは最強の称号を得よう!
地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語
※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編
※医療現場の恋物語 馴れ初め編
迷い人 ~異世界で成り上がる。大器晩成型とは知らずに無難な商人になっちゃった。~
飛燕 つばさ
ファンタジー
孤独な中年、坂本零。ある日、彼は目を覚ますと、まったく知らない異世界に立っていた。彼は現地の兵士たちに捕まり、不審人物とされて牢獄に投獄されてしまう。
彼は異世界から迷い込んだ『迷い人』と呼ばれる存在だと告げられる。その『迷い人』には、世界を救う勇者としての可能性も、世界を滅ぼす魔王としての可能性も秘められているそうだ。しかし、零は自分がそんな使命を担う存在だと受け入れることができなかった。
独房から零を救ったのは、昔この世界を救った勇者の末裔である老婆だった。老婆は零の力を探るが、彼は戦闘や魔法に関する特別な力を持っていなかった。零はそのことに絶望するが、自身の日本での知識を駆使し、『商人』として新たな一歩を踏み出す決意をする…。
この物語は、異世界に迷い込んだ日本のサラリーマンが主人公です。彼は潜在的に秘められた能力に気づかずに、無難な商人を選びます。次々に目覚める力でこの世界に起こる問題を解決していく姿を描いていきます。
※当作品は、過去に私が創作した作品『異世界で商人になっちゃった。』を一から徹底的に文章校正し、新たな作品として再構築したものです。文章表現だけでなく、ストーリー展開の修正や、新ストーリーの追加、新キャラクターの登場など、変更点が多くございます。
神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~
雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる