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第四章 人神代理戦争 霹靂
十話 五大王国合同演習 其の参
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青年の体が簡単に宙を舞い、もう一人が自身の運命の能力の風でその衝撃を受け止めようとした。だが、その青年も戦鬼は容赦無く吹き飛ばすと双子の兄弟は地面に叩きつけられる。
「ユース! お前は共鳴器の解放する持続時間が短すぎる! そんなんじゃ、一戦でばてる! もっと長く保たせろ! ラビ! お前は守りに徹しすぎだ! お前自身も一つの刃だろ! 狩人の運命を持つならもっと自分を活かせ!」
エイブラハムにそう言われるとユースとラビはすぐに立ち上がり、二人の戦士は自身の闘志を見せた。そんな彼らを横目に、トオルの黑鎧武装により生んだ様々な兵装をエイブラハムにぶつけるもそれら全てを天空行進曲の空間を食らう能力で防がれ、それどころか溜めた空間の放出をくらい、彼もまたユース達の横に叩きつけられた。
「お前は自力はある。元の世界じゃ、強かったんだろうな! だが、俺よりは弱い! 先ず、余分なものが多すぎる! 黑鎧武装は強力だが、意外と尽きるのが早い! それなのに無駄打ちは禁物! 結局、今残りはどれくらいだ! せいぜい、30%! 俺に二本の共鳴器を使わせたくらいだ。残り30%で勝てるか? 廃棄孔の面々は強い。間違いなく俺と互角、いや、俺以上のやつがうじゃうじゃ居る。ユース! ラビ! お前らが推薦されたのは師匠がお前らなら廃棄孔にぶつかっても生きて帰れる見込みがあるからだ。だがな、生き残ると勝つは違うぞ。師匠の期待は生き残るだが、俺の期待はお前らが廃棄孔に勝つこと。ユース、トオルは一度勝ったんだよな? でも、まだ本気じゃなかったんだろう? それは勝ったとは言わない。確実に勝つまで死ぬ気でやれ!」
「「はい!!!!」」
「了解です」
エイブラハムの言葉にユースとトオルが元気良く、ラビは冷静に応えると彼らは再び互いの得物を握りしめ、それらを振るう。
彼らは全力で互いをぶつけ合うといつの間にか日が暮れており、基礎訓練をして居た騎士たち殆どは休憩無く、それが行われたことにより、地面に倒れて居た。
五大王国合同演習初日、第一の関門突破者0、初日から波瀾万丈スタートだと思われた。
しかし、その日、エイブラハムが訓練を終えようとした瞬間、彼女は現れた。
「エイブラハム殿、手合わせ願えるか?」
最後の訪問に現れた吟千代、彼女を見てエイブラハムは笑うとしまおうとしていた共鳴器を取り出した。
「来いよ、一本取れたら次に行け」
エイブラハムはそう言うと彼から仕掛けた。距離を詰める速度はその場にいる騎士達を頭ひとつ抜けて凌駕する。
間合いに入った瞬間、エイブラハムは自身の共鳴器である天空行進曲を振るうと吟千代はそれを自身にぶつかるギリギリまで動かずに待った。
(早い、本来の拙者であればなんとか防げるか否か。だが、今は違う。世界を凪、視界に写るは氣、その本質の魂。ならば、わかる、エイブラハム殿の魂の動きが)
吟千代の首元に完全に刃がついた瞬間、彼女はその一瞬で屈むとエイブラハムの首を断とうと刀を抜いた。
「馘無侍流、 品々物之比礼」
エイブラハムの懐、そこに入り込み、彼の首元に毘羯羅の刃を突き立てる。
「はは! マジかよ、死んでたよな、俺」
「カラカラ、エイブラハム殿手加減して下さっていたのだ。それに貴方は大将首、それを今取れば軍の士気に関わるであろう?」
「いいね! 誾千代! 合格だ! 次はグランのところに向かえよ」
「カラカラカラ! 感謝する!」
戦の兎は颯爽とその場を後にした。
五大王国合同演習初日、第一の関門突破者一人、馘無侍吟千代。
「ユース! お前は共鳴器の解放する持続時間が短すぎる! そんなんじゃ、一戦でばてる! もっと長く保たせろ! ラビ! お前は守りに徹しすぎだ! お前自身も一つの刃だろ! 狩人の運命を持つならもっと自分を活かせ!」
エイブラハムにそう言われるとユースとラビはすぐに立ち上がり、二人の戦士は自身の闘志を見せた。そんな彼らを横目に、トオルの黑鎧武装により生んだ様々な兵装をエイブラハムにぶつけるもそれら全てを天空行進曲の空間を食らう能力で防がれ、それどころか溜めた空間の放出をくらい、彼もまたユース達の横に叩きつけられた。
「お前は自力はある。元の世界じゃ、強かったんだろうな! だが、俺よりは弱い! 先ず、余分なものが多すぎる! 黑鎧武装は強力だが、意外と尽きるのが早い! それなのに無駄打ちは禁物! 結局、今残りはどれくらいだ! せいぜい、30%! 俺に二本の共鳴器を使わせたくらいだ。残り30%で勝てるか? 廃棄孔の面々は強い。間違いなく俺と互角、いや、俺以上のやつがうじゃうじゃ居る。ユース! ラビ! お前らが推薦されたのは師匠がお前らなら廃棄孔にぶつかっても生きて帰れる見込みがあるからだ。だがな、生き残ると勝つは違うぞ。師匠の期待は生き残るだが、俺の期待はお前らが廃棄孔に勝つこと。ユース、トオルは一度勝ったんだよな? でも、まだ本気じゃなかったんだろう? それは勝ったとは言わない。確実に勝つまで死ぬ気でやれ!」
「「はい!!!!」」
「了解です」
エイブラハムの言葉にユースとトオルが元気良く、ラビは冷静に応えると彼らは再び互いの得物を握りしめ、それらを振るう。
彼らは全力で互いをぶつけ合うといつの間にか日が暮れており、基礎訓練をして居た騎士たち殆どは休憩無く、それが行われたことにより、地面に倒れて居た。
五大王国合同演習初日、第一の関門突破者0、初日から波瀾万丈スタートだと思われた。
しかし、その日、エイブラハムが訓練を終えようとした瞬間、彼女は現れた。
「エイブラハム殿、手合わせ願えるか?」
最後の訪問に現れた吟千代、彼女を見てエイブラハムは笑うとしまおうとしていた共鳴器を取り出した。
「来いよ、一本取れたら次に行け」
エイブラハムはそう言うと彼から仕掛けた。距離を詰める速度はその場にいる騎士達を頭ひとつ抜けて凌駕する。
間合いに入った瞬間、エイブラハムは自身の共鳴器である天空行進曲を振るうと吟千代はそれを自身にぶつかるギリギリまで動かずに待った。
(早い、本来の拙者であればなんとか防げるか否か。だが、今は違う。世界を凪、視界に写るは氣、その本質の魂。ならば、わかる、エイブラハム殿の魂の動きが)
吟千代の首元に完全に刃がついた瞬間、彼女はその一瞬で屈むとエイブラハムの首を断とうと刀を抜いた。
「馘無侍流、 品々物之比礼」
エイブラハムの懐、そこに入り込み、彼の首元に毘羯羅の刃を突き立てる。
「はは! マジかよ、死んでたよな、俺」
「カラカラ、エイブラハム殿手加減して下さっていたのだ。それに貴方は大将首、それを今取れば軍の士気に関わるであろう?」
「いいね! 誾千代! 合格だ! 次はグランのところに向かえよ」
「カラカラカラ! 感謝する!」
戦の兎は颯爽とその場を後にした。
五大王国合同演習初日、第一の関門突破者一人、馘無侍吟千代。
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