【完結!】田舎暮らしの神殺し、二度目の神殺しに挑む〜余生は静かに暮らしたいのに弟子達がさせてくれない件〜

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第三章 人神代理戦争 勃発

六十四話 エピローグ 其の参

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「時に、時に時に時に! 如何なる所業で我々を呼んだのであるか?! いや、知っている! 知っているぞ! 人の時代を堕とすのだろう! 人の時代を壊すのだろう! それらが我らの運命! 壊滅に集いし、清い仲間達と共に! さぁ! さぁ! さぁ! 如何致す!」

 道化師クラウンの仮面だけが宙を舞い、楽しそうに喋っていた。

(うるさいな、道化師クラウンは。静かにしておきたい。正直、戦いたくないし、面倒。それよりも、一人新しく増えてないか? 十二人目か。サムライが抜けてから随分と人数が増えたもんだ)

 そんな事を考えていた召使サーヴァントに、アリスは公爵デュークにもらった飴玉を転がしながら声をかけた。

「ねえ、召使サーヴァント、私、もしかしたら家族がこっち来てるの」

(え? また、僕? なんで? え? しかも、迷子ノーウェイは家族を探してたと言うよりも家族になってくれる人を探してたって話じゃなかったの?! 急に家族が来てる? おかしくないか? いやいや、待て待て、とりあえず、答えろ。この前みたいなのじゃなくて優しく、こう)

「そうか」

 その一言でアリスは彼に飽きたのか、喋るのをやめた。

(おいいいいい?! 馬鹿! もう馬鹿! こんなんだから会話が続かないだろう! 誰とも!)

 アリスは口の中で転がしていた飴玉がなくなったのかもう一つ口に含もうとした時、それを後ろからラビットが止めた。

「アリス食べ過ぎです」

「別に、そんなに食べてないもん」

「アリス、最近、公爵デュークの部屋に入ってはお菓子をもらっているのは知っております。今日も食べていたでしょう」

 ラビットは機械でありながら怒りをしっかりと示しており、それを見ていた公爵デュークが楽しそうに喋りかけた。

「すまんな、アリスに甘くしちまって。返す言葉がないから、武は示せる。ラビットよ、その感情どうする? 俺にぶつけるか?」

公爵デューク、そのような挑発に乗るつもりは有りません」

 バチバチと無言で火花を散らしていると扉が開いた。

「揃っているな。富豪ミリオネア、例の物を全員に配れ」

 姿を現した仮面を付けた白髪の男はそう言うと彼の後ろに居た真っ黒な丸眼鏡をつけた赤髪の男が嬉しそうに一人一人に手渡した。

「何これ?」

 アリスは富豪ミリオネアに聞くと彼は笑顔で答えた。

「洋服さ。アリスちゃん、服ほぼ無かったろ? みんな一緒の服着たら、気持ちも一つになるってもんだ」

 富豪ミリオネアはアリスの頭を優しくポンポンと撫でると彼女の手にその黒い服を渡した。

「着替えろ、全員が着替えたら会議を始める」

 帰還者リターナーは既に黒いスーツに裾を通しており、皆がそれを受け取ると席から離れた。

 数分して、全員が其々に似合った真っ黒な服に身を包み、十一人が席に着くと帰還者リターナーは口を開く。

「時は来た。我々は時代の破壊者、自身の運命に添い、破滅を迎えた者達。国を追われ、信じた者に焼かれ、敵として君臨し、自らの手で破滅を齎した。壊滅の運命を宿せし我々がこの世界で新たな時代の幕開けを作り出す」

 帰還者リターナーの言葉を聞き、二席である公爵デュークが名乗り上げた。

「二席、公爵デュークロンベルグ・ウォースタイン」

「三席、掃除屋クリーナーレイル・カラマーゾフ」

「四席、聖処女メイデンダルク・ラ=ピュセル」

「五席、道化師クラウンロキ!」

「六席、召使サーヴァントヴェルト・デッド」

「七席、博士プロフェッサーツツジ・ハイランダー」

「八席、迷子ノーウェイアリス」

「九席、富豪ミリオネアリャン」

「十席、悪魔祓いエクソシストカラス・クロウ」

「十一席、復讐者リベンジャー馘無侍金次くびなしきんじ

「十二席、人形ドールパペット」

 全員が名乗りを上げると、扉を開き、最後の一人が現れる。白銀の髪と翠の眼を宿した少女が真っ黒なドレスを着て現れると帰還者リターナー公爵デュークそして、道化師クラウン以外が一瞬にして臨戦態勢に入った。

 だが、少女は彼らを気にしない。
 気にする必要がない。
 何故なら、彼らに魂を与えたのは自分であるから。

 神も、人も思うがままに弄り、弄んだ。
 それが生まれた時から決めつけられた運命故に。カツカツと音を立てて、空いていた席に座った。

「初めまして、私の可愛い可愛い手駒達。最後の呪われた席、十三席は機械仕掛けの神デウス・エクス・マキナナナシが頂くわ」

 十三の席が埋まり、帰還者リターナーはそれを了承したのか何も触れずに宣言する。

「一席、帰還者リターナーアルベール・ペンドラゴン。十三の席を持って、この世界に戦さをもたらす。始めよう、人神代理戦争を」
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