【完結！】田舎暮らしの神殺し、二度目の神殺しに挑む〜余生は静かに暮らしたいのに弟子達がさせてくれない件〜

第三章 人神代理戦争 勃発

四十二話 五大王国会議 其の捌

　五大王国、それはゴルドバレーを統治する国の総称であり、ミレニアムを除いては神が殺された後から生まれた人の手によって建てられた国もの。

　神の統治の時代より存在し、最も巨大な領土と武力を持つ国、ミレニアム。

　ミレニアムの次に建てられ、貿易と観光を中心に大きくなり、今や凡ゆる商人が混ざり合う国、ルーヴェン。

　機械による急成長、研究と秘匿、相反する二つの性質を兼ね備える科学国家、ヴェープル。

　鍛治士にとって、その国で店を開くのが名誉であり、温泉による観光などで名を馳せる、バンコク。

　水の都みやこであり、ゴルドバレーきっての芸術の国、シャルル。

　この五つが現状、ゴルドバレーという地を統治しており、互いに不戦の契りを交わした国家達である。

　そして、四年に一度、五大王国各国王達が集い、国々の取り決めをするのが五大王国会議であった。

　四護聖とバサラはミレニアム国王スカンダ・アポカリプスの護衛を任され、現在、ルーヴェン王国に訪れていた。

　(案外ここに戻るの早かったな)

　バサラはそんなことを考えながら辺りを見渡すと街は以前よりも活気づいており、五大王国会議が開かれるからか様々な催しがなされていた。

　そして、ミレニアム一行はルーヴェン王国の城の中に入ると彼らを歓迎するためにローズが待っていた。

「よぉ！　スカンダ！　そんでもって、バサラ！　久しいな！　あんな手紙にちゃんとした文書で返すのお前だけだったぞ！」

「お久しぶりです、ローズ殿」

「あんな手紙出すなよ、ローズ。一国の王なんだからよ」

　スカンダとバサラの言葉を聞き、嬉しそうにしているローズの横で立ち尽くして居た騎士団長であるエイブラハムが四護聖の前に立つと彼は深くお辞儀をした。

「久しぶりだな、四護聖諸君。そして、以前のルーヴェン王国の危機を救ってくれてありがとう。今は礼しか出来ないが、この恩は必ず返させてもらう」

　頭を下げるエイブラハムに対して、ミカが笑顔を浮かべながら応える。

「お顔を上げてください～、エイブラハム様。私はお願いしただけで解決してくださったのは御師様です～。それに私達は同じ師を師事した者同士ですよ～。もっと気楽に行きましょ～」

「ミカ殿の言葉、ありがたく受け取ります。だが、件のは自分にも非がある故に、感謝してもしきれないのですよ」

　少しして、ある程度立ち話が済んだのか、ローズに対して付人が耳打ちすると彼はため息を吐き、声を上げた。

「他の国の者たちも着いたらしい。最初に来た、お前達には最上級の部屋を用意してあるから休んで行けよ。スカンダ、お前は一緒に来い、三国の王に挨拶しなきゃだろう。エイブラハム、案内してやってくれ」

「はぁー、俺も休ませて欲しいんだがなー」

　スカンダはそう漏らすとローズに引き摺られて行き、そんな彼らを見てエイブラハムは呆れ混じりに返事をする。

「了解」

　そう呟くとくるりとこちらを向き、再び口を開いた。

「師匠、四護聖の皆様、以前の事件に対して深いお詫びと感謝を。そして、改めて、自己紹介を。エイブラハム・ルーデウス、ルーヴェン王国の騎士団長であり、カツラギ・バサラに師事した君達の兄弟子だ。よろしく頼む」

　エイブラハムが頭を下げると四護聖とバサラも頭を下げ、互いに見合うと笑顔を浮かべ、彼らは寝泊まりする部屋に案内された。