【完結!】田舎暮らしの神殺し、二度目の神殺しに挑む〜余生は静かに暮らしたいのに弟子達がさせてくれない件〜

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第三章 人神代理戦争 勃発

二十七話 誰を英雄と讃えるか 其の弍拾漆

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 自爆技が行われた直後、そこには穴が空いていたはずであった。しかし、ヘイムダルは自身の体が切り落とされ、綺麗に半分にされていたことに気づく事なく、息絶えていた。

 ユピテルが起こした時限圧縮、それは無差別に行われたはずであるのに、そこには彼の切り落とされた上半身が綺麗に地面に落ちていた。

 バサラは涅槃静寂ニルヴァーナを振るった姿でその場に居り、それを腰に差すと半分になったユピテルを見て、口を開く。

「お前の神技グランスキル、その破り方がどうしても分かんなくてな。ひたすら考えた後、お前を過去の時点で斬ることにしたんだ。世界を絶つ斬撃、それをお前はの自分を切ったと言ったよな。世界を絶つ斬撃だけは空間時間を捻じ曲げて過去を切る事ができる。だから、時限圧縮の中、潰れかけのギリギリの状態だが、技を放つ前の過去のお前に放った。一種の賭けだな、お前が自爆技を放つ前に死んでいたらそれはどうなるかって言う。結論、過去で死んだ結果が勝り、俺は生き残りお前達は死んだ。ギリギリの賭けすぎてもう二度とやりたくないよ」

 ユピテルは既に息は在らず、バサラは全身から流れる血を止めるために止血しようと持って来ていた包帯を巻きつける。ぐるぐる巻きで包帯に血が滲むも痛みは徐々に引き始めるのを感じると再びバサラはユピテルに手向けの様に呟いた。

「天晴れだよ、ユピテル。俺が死ぬまであんたを忘れる事はない」

 時間差でヘイムダルの空間が崩れ、久々の外に出て来るとそこには自分の宿敵である神、それが笑顔で立っていた。彼の手にはユピテル同様の実力を持っていた女の姿をした神が体を貫かれており、彼女は恨めしそうにロキを睨みつけながら声を出した。

「ロキぃぃぃ! あ、んたぁ! 私達を、神という種を絶やす気なの?!」

「マドモアゼル、そう怒るなよ~。僕は今だけ友達バサラの味方、君らの敵! 戦意喪失した神も逃さない。一人の殺さず、ここで死ぬかバサラを殺すかのゲームに参加してもらうんだ! でも、君は強すぎ~。ユピテルに、オーディン兄さん二人も相手にしてんるだから、ちょっと手助けした上げただけさ。僕の英雄は完成して出て来ると言った矢先にか! や! バサラ!」

 喋りかけられたバサラであったがそれを完全に無視し、ロキを見るとゆっくりと歩き出す。

 そして、徐々にその速度を上げ、自分の間合いに入った瞬間、涅槃静寂ニルヴァーナの柄を力いっぱい握り締め、これまでの全てを込めて剣を振った。ロキはそれを手に持っていたユノーで防ぐと彼女の体は上下半分に切られ、血が一気に溢れ出た。

 切られると同時に生気が失われると溢れた血の中からロキは蹴りを入れ、バサラにぶつける。一瞬、バサラが怯んだその間にロキの手には幾つものナイフが握られており、それも彼に投げ付けると嬉しそうに叫んだ。

神技グランスキル狂宴の切り札ジョーカー

 投げ付けられたナイフはバサラにぶつかる手前に爆発する。バサラは涅槃静寂ニルヴァーナを前にし、防ぐも爆煙が上がり、ロキの姿を見失ってしまった。煙の両脇、そこから感じた氣を読み、バサラは自身の体を伏せると煙を割きながら巨大な鋏の様なモノがガチリと音を鳴らし、彼の体を細切れにしようとしていた。

「あら残念」

 ロキは嬉しそうにそう漏らすとバサラは伏せたまま、若干の力を込め、彼との距離を詰め、涅槃静寂ニルヴァーナを振おうとした。だが、真上にあった筈の巨大な鋏はいつの間にか消えており、今度は彼を押し潰そうと真上に鉄塊が現れる。

 自身が潰される寸前、目にも止まらぬ速度で剣を振るうとその鉄塊が半分に切り裂かれ、その斬撃がロキの体に傷をつけた。

 そして、バサラはようやくロキと顔を合わせる距離に立つとこれまでの全てをぶつける為に口を開く。

「お前は何なんだよ! ロキ!」

「デケェ声出さなくても聞こえてるよ~、バサラァ!」
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