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第二章 人神代理戦争 予兆
六十六章 博士の愛した蒸気国 其の弍拾伍
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シンクが施した四護聖全員の共鳴器への改造。それは聖遺物と呼ばれるモノの一部を共鳴器に取り付けることで、共鳴器とそれを握る持ち主の能力を限界まで引き出すというもの。
共鳴器とその主人、二つの能力を真に高めるにはどうするべきか? シンク・ホーエンハイムが出した答えは、共鳴器の能力を引き上げるのではなく、共鳴器との共存であった。
「我、獲物を屠る矢であり、それを番う弓、敵を切り裂く嵐の王! 共鳴器・無窮壱尽よ。我が運命と歩め。凡ゆる不条理を貫くために!」
シンクはグラン、ミカを探している間、ジータの声を聞き、自身が生んだ共鳴器の新たな可能性を呟いた。
「共鳴同化」
ジータの全身を光が覆うと彼女の右腕に翠色のガントレットが生まれ、背後には四つの巨大な剣が浮いている。そして、自分が一番実力を発揮できる得物である弓を左手で握ると同時に矢を番った。
「行くよ、無窮壱尽・嵐廼王」
矢はかつての矢であらず、嵐そのものを圧縮したものとなっており、それが博士を貫くと確信して容赦無く放つ。
博士は両手に光を集めると腕を合わせ、赤い光線で嵐の矢を貫こうとした。だが、それは赤い閃光を貫通し、一切受け付けずに博士の絶対的な鋼の肉体の肩を食い破るように穿つ。
(一矢が、さっきの大技よりも遥かに威力が高くなっている、だと?!)
博士は驚きはせどその後に向けるのは好奇心であり、自身の背後に生んだ兵器全てを使い彼女に向けて四護聖を全滅させた攻撃の照準を合わせる。
「全装備掃射! 発射ぁぁぁぁ!」
背後から迫る多量の兵器と光の線、かつて自身の技術を、誇りを踏み躙った存在に対して、彼女は次は自分が踏み躙る番だと考え、同様に叫んだ。
「穿て、無窮壱尽・嵐廼王!」
その一言で、背後に浮いていた四つの剣がジータの目の前に現れるとそれらは剣先を下に綺麗に縦に並んだ。そして、博士の一切掃射の全てを防ぐとジータは自身の右腕のガントレットに力を込め、矢をこれまで以上に引いた。
準備が完了すると四つの剣はジータの前から退き、一気に攻撃が押し寄せる。だが、それらを気にすることなくジータは番った矢から手を離した。
瞬間、その場にあった全ての風が凪ぐとそれは攻撃全てを貫き、放っていた博士の右腕全てを消滅させる。
出血はなく、そこにあったものを完全に消し飛ばし、元より無かったことにしたと言う表現が正しいと思える一撃。
博士は自身の腕がなくなった事に驚愕した。
「腕、腕腕腕腕!? 私の腕にどれほどの価値があるか知っててのことか?! ジータぁ!」
激昂する博士に対して相手を煽るかの様な表情を浮かべ、鼻から垂れる血を放っておいて答えた。
「あんたこそ私にどれくらい価値があるか知ってて殺そうとしてたんだ? ロイド!」
事実、ジータはこれまでの戦闘により、大きく疲労しており、先ほどの一矢はあと一度撃てるか撃てないかのギリギリである。故に、もう一度火力勝負を促す為に、煽った。
最大火力は残り一発、それを使い何としても、自分が差し違えてでも博士を貫く。
それだけを考え、ジータは再び矢を番った。そんな彼女に対して、背後から霧を切り裂き、勢い良く飛び出す者達がいた。
彼らはジータがすぐに自己犠牲に走ると知り切っており、そんな彼女を止める為、同じ位置に立ちながら、支えて追い越す為に新たに得た武器を携え、前に現れる。
「また、自分だけで突っ走ったな! ジータ!」
「ダメでしょ? それはやらないと約束したはずです」
「勝手なことをするなよ、ジータ。お前一人じゃこの勝負は決着しない。俺達四人が足を揃えなきゃならないんだ」
グラン、ミカ、シンクの腕にもジータ同様に姿を変えた共鳴器達が出揃っており、それを見たジータは自分の考えが愚かであったと少しだけ笑顔を溢すと彼らに向けて大きく声を上げた。
「貴方達が来るまで時間稼ぎしてただけ。シンク! 作戦教えて! こっからが最終決戦よ!」
共鳴器とその主人、二つの能力を真に高めるにはどうするべきか? シンク・ホーエンハイムが出した答えは、共鳴器の能力を引き上げるのではなく、共鳴器との共存であった。
「我、獲物を屠る矢であり、それを番う弓、敵を切り裂く嵐の王! 共鳴器・無窮壱尽よ。我が運命と歩め。凡ゆる不条理を貫くために!」
シンクはグラン、ミカを探している間、ジータの声を聞き、自身が生んだ共鳴器の新たな可能性を呟いた。
「共鳴同化」
ジータの全身を光が覆うと彼女の右腕に翠色のガントレットが生まれ、背後には四つの巨大な剣が浮いている。そして、自分が一番実力を発揮できる得物である弓を左手で握ると同時に矢を番った。
「行くよ、無窮壱尽・嵐廼王」
矢はかつての矢であらず、嵐そのものを圧縮したものとなっており、それが博士を貫くと確信して容赦無く放つ。
博士は両手に光を集めると腕を合わせ、赤い光線で嵐の矢を貫こうとした。だが、それは赤い閃光を貫通し、一切受け付けずに博士の絶対的な鋼の肉体の肩を食い破るように穿つ。
(一矢が、さっきの大技よりも遥かに威力が高くなっている、だと?!)
博士は驚きはせどその後に向けるのは好奇心であり、自身の背後に生んだ兵器全てを使い彼女に向けて四護聖を全滅させた攻撃の照準を合わせる。
「全装備掃射! 発射ぁぁぁぁ!」
背後から迫る多量の兵器と光の線、かつて自身の技術を、誇りを踏み躙った存在に対して、彼女は次は自分が踏み躙る番だと考え、同様に叫んだ。
「穿て、無窮壱尽・嵐廼王!」
その一言で、背後に浮いていた四つの剣がジータの目の前に現れるとそれらは剣先を下に綺麗に縦に並んだ。そして、博士の一切掃射の全てを防ぐとジータは自身の右腕のガントレットに力を込め、矢をこれまで以上に引いた。
準備が完了すると四つの剣はジータの前から退き、一気に攻撃が押し寄せる。だが、それらを気にすることなくジータは番った矢から手を離した。
瞬間、その場にあった全ての風が凪ぐとそれは攻撃全てを貫き、放っていた博士の右腕全てを消滅させる。
出血はなく、そこにあったものを完全に消し飛ばし、元より無かったことにしたと言う表現が正しいと思える一撃。
博士は自身の腕がなくなった事に驚愕した。
「腕、腕腕腕腕!? 私の腕にどれほどの価値があるか知っててのことか?! ジータぁ!」
激昂する博士に対して相手を煽るかの様な表情を浮かべ、鼻から垂れる血を放っておいて答えた。
「あんたこそ私にどれくらい価値があるか知ってて殺そうとしてたんだ? ロイド!」
事実、ジータはこれまでの戦闘により、大きく疲労しており、先ほどの一矢はあと一度撃てるか撃てないかのギリギリである。故に、もう一度火力勝負を促す為に、煽った。
最大火力は残り一発、それを使い何としても、自分が差し違えてでも博士を貫く。
それだけを考え、ジータは再び矢を番った。そんな彼女に対して、背後から霧を切り裂き、勢い良く飛び出す者達がいた。
彼らはジータがすぐに自己犠牲に走ると知り切っており、そんな彼女を止める為、同じ位置に立ちながら、支えて追い越す為に新たに得た武器を携え、前に現れる。
「また、自分だけで突っ走ったな! ジータ!」
「ダメでしょ? それはやらないと約束したはずです」
「勝手なことをするなよ、ジータ。お前一人じゃこの勝負は決着しない。俺達四人が足を揃えなきゃならないんだ」
グラン、ミカ、シンクの腕にもジータ同様に姿を変えた共鳴器達が出揃っており、それを見たジータは自分の考えが愚かであったと少しだけ笑顔を溢すと彼らに向けて大きく声を上げた。
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