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第二章 人神代理戦争 予兆
三十七章 聖女の行進 其の弍拾玖
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バサラの背後に現れたのは宙に浮く仮面。だが、彼は、その仮面が持つ氣と、声を知っていた。
知っていたというよりも忘れることも出来ない、忌まわしき30年前の宿業であった。
「お前、ロキか?」
バサラはその声の主人の名を呼ぶと仮面は一人でふわふわと回りながら彼の目の前で止まった。
「良いのかい? 名誉も、地位も、誰に讃えられる訳もなく、誰に好かれる訳」
切り裂いた。
その言葉は自分が今も忘れることのない、呪いの様な文字の羅列。
解いていない武装の腕を使い、涅槃静寂を振るうと仮面は縦に切り裂かれるもその後ろからもう一つ、また一つと仮面が増え、バサラを囲った。
「怒るなよ、君の怒りっぽいところは変わらないね」
「黙れよ、お前は死んだはずだろ、戯神ロキ」
「くっ、くっ、くっ、ははは!!!!」
仮面に向けて斬撃を放ち、全ての仮面を一瞬にして破壊するもそれらはまた姿を現し、バサラをおちょくる様に彼の周りを回った。
「話してる最中だろ!」「そうだ! そうだ!」 「僕が嫌いなのは分かるけど」「話を聞かないのは大概だぞ!」「そんなに会いたくなかった?」「僕は会いたかったのに」「ね、バサラ!」「名乗らぬ神殺し!」「僕の天敵にして」「最高の友達!」「君の物語は苦難と悲痛と悲壮感!」「それで出来た、無常の物!」「神に終わりを告げながら、僕に終わりをつけながら! 僕は君の物語に心躍らせてる」
「黙れ、黙れ、黙れ、黙れ!」
バサラが剣を振るうも、ロキを名乗る仮面には一切意味がなく、空振りを続けるといつの間にか、自分の体が若返っていた。
「なん、だ?」
「久々にやってくれよ。あの眼を」
鏡が突然現れ、自身の体を写すとそれに反射される自分の眼を見つめてしまう。この世全てを憎み、恨み、壊そうとする破壊者、それがかつての自分であり、その眼はバサラを捉えていた。
神を殺したから、彼は破壊者だったのか? それとも、元より破壊者として生まれていたのか? 鏡から目が離せず、動けない。
その瞬間、辺りがブラックアウトし、突然、上から光が差し込むとそこには仮面ではなく、ロキ本人が姿を現した。
長く伸ばした髪の表面は黒でありながら、内側は真っ赤な真紅に染まっており、バサラよりも身長の高く、お辞儀をしながらも彼を見下す。
バサラを見下す両目にはハートとダイヤのマークが描かれており、ロキは頭を上げると真っ白は燕尾服が姿を現した。
「や、バサラ、同窓会みたいだね。元気にしてたかい?」
人をバカにした様な軽薄な態度にそれを見せつける笑顔、だが、その奥底、根底に眠る圧倒的なまでにドス黒い、漆黒の意志。
それを兼ね備え、バサラが最後に殺すまでに至った神、戯神ロキ、死んだはずの、いや、殺したはずの神が目の前に立っていた。
「死んでなかったのか?」
しかし、バサラは至って冷静であった。興奮はしていても、彼に何かをぶつけようともせず、淡々と喋りかける。そんな彼を見て、ロキは笑顔で答えた。
「死んだ、さ! 君の目の前で殺したアイリスの様にね! キャハ! ごめんごめん! あまりにも懐かしくてね、思い出し」
バサラは冷静であった。今、アイリスという単語を聞くまでは。一瞬にしてロキの体を真っ二つにするものの、彼は半分ずつになった体を動かし、調整してくっつけた。
「ちゃった、かな? あー、今、攻撃しても意味ないから。僕の神技、忘れた訳じゃないよね? まぁ、昔の君には効かなかったけどさ! 今は偶々効いたからラッキーだよ」
「何がしたい? 俺をおちょくりに来たのか? それよりも、お前、何で生きてるんだよ」
「質問は一人一個までです! 先生怒りますよ! ふふ、今は師匠って言った方がいいかい? 師匠、いや、御師様ー!ってね! はぁー! たーのしかった! 何の話してたっけ。まぁ、いいや。また今度ね」
ロキは急に冷めたのか、バサラを煽るだけ煽ると自身の指を鳴らした。瞬間、再びバサラの目の前が暗く染まるとそこにはダルクとの死闘を繰り広げた場所の光景が広がっていた。
ただ、バサラが背負っていたダルクの姿はおらず、彼女を探そうと振り向くとそこには仮面が浮いており、それは彼に向けて声を上げた。
「またの、御利用お待ちしております。カツラギ・バサラ様」
「待てえ! ロキィィ!」
意識が無いダルクの下からヒビが入り、彼女の体がそこに落ちると仮面もまた同じ様に消えていった。
バサラの叫び声だけが玉座の間にこだまし、ルーヴェン王国の決闘は幕を閉じた。
知っていたというよりも忘れることも出来ない、忌まわしき30年前の宿業であった。
「お前、ロキか?」
バサラはその声の主人の名を呼ぶと仮面は一人でふわふわと回りながら彼の目の前で止まった。
「良いのかい? 名誉も、地位も、誰に讃えられる訳もなく、誰に好かれる訳」
切り裂いた。
その言葉は自分が今も忘れることのない、呪いの様な文字の羅列。
解いていない武装の腕を使い、涅槃静寂を振るうと仮面は縦に切り裂かれるもその後ろからもう一つ、また一つと仮面が増え、バサラを囲った。
「怒るなよ、君の怒りっぽいところは変わらないね」
「黙れよ、お前は死んだはずだろ、戯神ロキ」
「くっ、くっ、くっ、ははは!!!!」
仮面に向けて斬撃を放ち、全ての仮面を一瞬にして破壊するもそれらはまた姿を現し、バサラをおちょくる様に彼の周りを回った。
「話してる最中だろ!」「そうだ! そうだ!」 「僕が嫌いなのは分かるけど」「話を聞かないのは大概だぞ!」「そんなに会いたくなかった?」「僕は会いたかったのに」「ね、バサラ!」「名乗らぬ神殺し!」「僕の天敵にして」「最高の友達!」「君の物語は苦難と悲痛と悲壮感!」「それで出来た、無常の物!」「神に終わりを告げながら、僕に終わりをつけながら! 僕は君の物語に心躍らせてる」
「黙れ、黙れ、黙れ、黙れ!」
バサラが剣を振るうも、ロキを名乗る仮面には一切意味がなく、空振りを続けるといつの間にか、自分の体が若返っていた。
「なん、だ?」
「久々にやってくれよ。あの眼を」
鏡が突然現れ、自身の体を写すとそれに反射される自分の眼を見つめてしまう。この世全てを憎み、恨み、壊そうとする破壊者、それがかつての自分であり、その眼はバサラを捉えていた。
神を殺したから、彼は破壊者だったのか? それとも、元より破壊者として生まれていたのか? 鏡から目が離せず、動けない。
その瞬間、辺りがブラックアウトし、突然、上から光が差し込むとそこには仮面ではなく、ロキ本人が姿を現した。
長く伸ばした髪の表面は黒でありながら、内側は真っ赤な真紅に染まっており、バサラよりも身長の高く、お辞儀をしながらも彼を見下す。
バサラを見下す両目にはハートとダイヤのマークが描かれており、ロキは頭を上げると真っ白は燕尾服が姿を現した。
「や、バサラ、同窓会みたいだね。元気にしてたかい?」
人をバカにした様な軽薄な態度にそれを見せつける笑顔、だが、その奥底、根底に眠る圧倒的なまでにドス黒い、漆黒の意志。
それを兼ね備え、バサラが最後に殺すまでに至った神、戯神ロキ、死んだはずの、いや、殺したはずの神が目の前に立っていた。
「死んでなかったのか?」
しかし、バサラは至って冷静であった。興奮はしていても、彼に何かをぶつけようともせず、淡々と喋りかける。そんな彼を見て、ロキは笑顔で答えた。
「死んだ、さ! 君の目の前で殺したアイリスの様にね! キャハ! ごめんごめん! あまりにも懐かしくてね、思い出し」
バサラは冷静であった。今、アイリスという単語を聞くまでは。一瞬にしてロキの体を真っ二つにするものの、彼は半分ずつになった体を動かし、調整してくっつけた。
「ちゃった、かな? あー、今、攻撃しても意味ないから。僕の神技、忘れた訳じゃないよね? まぁ、昔の君には効かなかったけどさ! 今は偶々効いたからラッキーだよ」
「何がしたい? 俺をおちょくりに来たのか? それよりも、お前、何で生きてるんだよ」
「質問は一人一個までです! 先生怒りますよ! ふふ、今は師匠って言った方がいいかい? 師匠、いや、御師様ー!ってね! はぁー! たーのしかった! 何の話してたっけ。まぁ、いいや。また今度ね」
ロキは急に冷めたのか、バサラを煽るだけ煽ると自身の指を鳴らした。瞬間、再びバサラの目の前が暗く染まるとそこにはダルクとの死闘を繰り広げた場所の光景が広がっていた。
ただ、バサラが背負っていたダルクの姿はおらず、彼女を探そうと振り向くとそこには仮面が浮いており、それは彼に向けて声を上げた。
「またの、御利用お待ちしております。カツラギ・バサラ様」
「待てえ! ロキィィ!」
意識が無いダルクの下からヒビが入り、彼女の体がそこに落ちると仮面もまた同じ様に消えていった。
バサラの叫び声だけが玉座の間にこだまし、ルーヴェン王国の決闘は幕を閉じた。
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