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第二章 人神代理戦争 予兆
二十九章 聖女の行進 其の弍拾壱
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自由落下する自分を客観的に見て、このままいけばタダでは済まないことを知り、何とか盾を挟み込む。
「ガハッ、ゲホ、ゲホッ、グッ、ハッ」
アレックスにより何とか衝撃を防ぐも全てを和らげた訳ではなく、身体中に一気に痛みが襲いかかった。
(骨は、折れてない。だけど、内臓、今の高さから振り落とされたのが不味い。酸素が足りない、吸え。呼吸して、少しでも痛みを和らげろ)
全身に痺れる様な痛みが過り、ユースは両手をついたまま、動けなくなるとそんな彼を悪魔はしっかりと捉えていた。
絶体絶命であり、自分が死地に立っていることも知っている。それでも、ユースは諦めておらず、自分が、いや、自分達が勝利を掴むと考え、体を動かそうとする。
そんな中、幾つもの手がユースに目掛けて這い寄り、彼を引き裂こうとすると悪魔は、上空にある何かに漸く気がついた。
「あんなバケモン相手に良くやったよ! お前の勝ちだ! ユース!」
それはユースの勝利条件が揃った瞬間でもあった。グロウの能力で氷を溶かし、動ける様になった後、ユースは自分だけでは無く、トオルの体も同時に溶かそうと少しばかりの火を鉄に送り込んでいた。
ユースは彼に背を向けて信頼し、彼ならば必ず動いてくれると信じて時間を稼ぎ、戦い抜いた。
その声は彼らの遥か上、空から聞こえるとそこには彼は浮いていた。トオルはベルトにつけていた四角い板を手に取り、映る数字を再び0を一回、1を二回押す。
「last blake!」
板から声がし、再びそれをベルトにつけると黑鎧武装全てを変化させ、決死の一撃を放つために叫んだ。
「壱天倶利伽羅重撃!」
黑鎧武装の鉄が足に集中し、大きな黒い靴の様になっており、マントは羽の形に変化した。そして、その羽から火が吹き、上空50メートルから加速すると八寒氷獄の頭、いや、ユースが突き刺したグロウ目掛けて蹴りを放つ。
八寒氷獄はそれを止めようと腕を伸ばすも、簡単に潰され、咆哮を放つも意味は無く、迫り来るトオルの一撃になす術がなかった。
悪魔は口を広げ、自身が持てる全てをそこに掻き集めると全てを殺す光線を放ち、八寒氷獄もまた、最後の一撃を放った。
光線を受け、蹴りを放っている足が凍っていくもトオルは勝ちを確信していた。八寒氷獄の頭上、それはユースが投げつけ、刺さっているグロウがユースの闘志に呼応して燃え上がる。
すると、光線の力は徐々に弱まり、凍っていた足は溶けると悪魔は口を閉じ、トオルに自身の頭で突進した。だが、その瞬間、両羽の炎の威力を更に上げ、加速させるとグロウの柄、そこにたどり着いた。
それと同時に、全身に力を込め、悪魔の頭を一気に貫くとグロウが地面に突き刺さり、トオルも同じく着地をし、右腕を上げる。
貫かれた八寒氷獄は声を上げる間もなく、サラサラと灰となり、消えていき、凍っていた周囲の氷も徐々に溶け出した。
「マジかよ、坊主ども」
灰になる悪魔の姿を見て、右腕に握っていた十字架が壊れたことで氷獄が本当に破壊されたことを理解し、カラスは思わず呟いてしまった。第六階層悪魔を倒され、今持っている中でも最強の手駒を失ったカラスは両手を挙げた。
「降参ってことでいいか?」
トオルがカラスに聞くと彼は少しばかり笑みをこぼしながら答えた。
「ああ、ここまでだな。恐れ入ったぜ、お前ら」
「逆転するって言ったろ! でも、俺の勝ちじゃねえ! ユースと俺、二人での勝利だ!」
トオルはそう言うと既に倒れて動けなくなっているユースの下へと駆け寄った。
「ユース! 大丈夫か!? オイ! いや、大丈夫じゃねえな?!」
トオルが遠ざかるのを確認し、自分にトドメを刺さないのを見て甘いなと思った。だが、それもまた、彼の強さであると感じ、カラスは折れていない腕で何かの装置のボタンを押した。
「あばよ、坊主ども」
ボタンを押した途端、カラスの下にヒビが入り、彼は何処かに消えると悪魔祓いはその場から、居なくなった。
だが、玉座の前の戦い、それはユースとトオル二人が掴んだ勝利であることには違いが無かった。
「ガハッ、ゲホ、ゲホッ、グッ、ハッ」
アレックスにより何とか衝撃を防ぐも全てを和らげた訳ではなく、身体中に一気に痛みが襲いかかった。
(骨は、折れてない。だけど、内臓、今の高さから振り落とされたのが不味い。酸素が足りない、吸え。呼吸して、少しでも痛みを和らげろ)
全身に痺れる様な痛みが過り、ユースは両手をついたまま、動けなくなるとそんな彼を悪魔はしっかりと捉えていた。
絶体絶命であり、自分が死地に立っていることも知っている。それでも、ユースは諦めておらず、自分が、いや、自分達が勝利を掴むと考え、体を動かそうとする。
そんな中、幾つもの手がユースに目掛けて這い寄り、彼を引き裂こうとすると悪魔は、上空にある何かに漸く気がついた。
「あんなバケモン相手に良くやったよ! お前の勝ちだ! ユース!」
それはユースの勝利条件が揃った瞬間でもあった。グロウの能力で氷を溶かし、動ける様になった後、ユースは自分だけでは無く、トオルの体も同時に溶かそうと少しばかりの火を鉄に送り込んでいた。
ユースは彼に背を向けて信頼し、彼ならば必ず動いてくれると信じて時間を稼ぎ、戦い抜いた。
その声は彼らの遥か上、空から聞こえるとそこには彼は浮いていた。トオルはベルトにつけていた四角い板を手に取り、映る数字を再び0を一回、1を二回押す。
「last blake!」
板から声がし、再びそれをベルトにつけると黑鎧武装全てを変化させ、決死の一撃を放つために叫んだ。
「壱天倶利伽羅重撃!」
黑鎧武装の鉄が足に集中し、大きな黒い靴の様になっており、マントは羽の形に変化した。そして、その羽から火が吹き、上空50メートルから加速すると八寒氷獄の頭、いや、ユースが突き刺したグロウ目掛けて蹴りを放つ。
八寒氷獄はそれを止めようと腕を伸ばすも、簡単に潰され、咆哮を放つも意味は無く、迫り来るトオルの一撃になす術がなかった。
悪魔は口を広げ、自身が持てる全てをそこに掻き集めると全てを殺す光線を放ち、八寒氷獄もまた、最後の一撃を放った。
光線を受け、蹴りを放っている足が凍っていくもトオルは勝ちを確信していた。八寒氷獄の頭上、それはユースが投げつけ、刺さっているグロウがユースの闘志に呼応して燃え上がる。
すると、光線の力は徐々に弱まり、凍っていた足は溶けると悪魔は口を閉じ、トオルに自身の頭で突進した。だが、その瞬間、両羽の炎の威力を更に上げ、加速させるとグロウの柄、そこにたどり着いた。
それと同時に、全身に力を込め、悪魔の頭を一気に貫くとグロウが地面に突き刺さり、トオルも同じく着地をし、右腕を上げる。
貫かれた八寒氷獄は声を上げる間もなく、サラサラと灰となり、消えていき、凍っていた周囲の氷も徐々に溶け出した。
「マジかよ、坊主ども」
灰になる悪魔の姿を見て、右腕に握っていた十字架が壊れたことで氷獄が本当に破壊されたことを理解し、カラスは思わず呟いてしまった。第六階層悪魔を倒され、今持っている中でも最強の手駒を失ったカラスは両手を挙げた。
「降参ってことでいいか?」
トオルがカラスに聞くと彼は少しばかり笑みをこぼしながら答えた。
「ああ、ここまでだな。恐れ入ったぜ、お前ら」
「逆転するって言ったろ! でも、俺の勝ちじゃねえ! ユースと俺、二人での勝利だ!」
トオルはそう言うと既に倒れて動けなくなっているユースの下へと駆け寄った。
「ユース! 大丈夫か!? オイ! いや、大丈夫じゃねえな?!」
トオルが遠ざかるのを確認し、自分にトドメを刺さないのを見て甘いなと思った。だが、それもまた、彼の強さであると感じ、カラスは折れていない腕で何かの装置のボタンを押した。
「あばよ、坊主ども」
ボタンを押した途端、カラスの下にヒビが入り、彼は何処かに消えると悪魔祓いはその場から、居なくなった。
だが、玉座の前の戦い、それはユースとトオル二人が掴んだ勝利であることには違いが無かった。
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