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第一章 田舎暮らしの神殺し
三十一章 神殺しは迷宮の中で 其の弍
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巨大岩石に追われながら迷宮の下層へと人知れず向かうバサラ。
既に第二階層に到着しているが彼の体力は尽きる寸前。
(一か八か! やるしかない!)
バサラはそう考えると涅槃静寂を握ると横にあった壁を壊すために力一杯に振るった。
ボゴンと音を立て、出来た穴は部屋の壁でもあったのか暗闇が広がる場所へと繋がっていた。そこに飛び込む以外に答えは無く、バサラは自分の体を部屋へと投げ込んだ。
巨大岩石は一人でに転がり落ちて行くとバサラは何とか自分の身の安全が確保されたことに安堵した。
しかし、そんなことは束の間、暗闇の部屋から突然、バサラ目掛けて岩石が飛んでくると涅槃静寂を使い、払い落とす。
「今度は何だい!?」
大声を上げるも暗闇の部屋は唐突に燈が灯り、そこには岩で出来た巨大な兵士が姿を現した。その正体は土人形。既に操縦者は居らず、ただ、その部屋を守ろうとする傀儡であり、それがバサラを敵と認識し、岩で出来た拳を振り翳す。
バサラは土人形の攻撃に対して、既に間合いに入り込んでおり、涅槃静寂の斬撃がそれの首を落とそうと振るわれるはずだった。
部屋への闖入者が一人。
黄色い着物に身を包み、真っ黒なボサボサ髪を白い紐で結っており、腰には見知らぬ武器が差されている。顔には右目、デコ、鼻に巨大な切り傷がありながらそれらはかつて強者から受けた名誉とし、一切隠す事ない。
グルグルと螺旋を描かれている目を輝せながら少女は土人形に向かってバサラを踏み台にし、飛ぶと腰に差していた得物を抜いた。
踏み台になったバサラは「ぐえ」と声を出すも少女は止まる事なく、土人形の首を断つ。
「首断ちごめん!」
声は申し訳なさそうな雰囲気などは一切無く、ただただ、その首を落としたいがために放ったとしか言いようがないほど嬉しさに満ち溢れていた。
しかし、首を断たれたはずの土人形は動き出す。彼に意思はなく、意識もない。ただ、一人の主人の命に従うのみであり、首を断たれようが、その肉体に刻まれた炉を破壊するまで止まることはない。
「首を断たてど死なぬか! カラカラカラカラ! 面白い! 面白いぞ! この世界! 日の本から去りとて日にちすら数えるのも面倒になったが! こうも! こうも! 死なぬ首が多い!」
少女が嬉々としている横で、バサラは彼女が何者であるか全く理解出来ずにいたが顔の傷と纏う氣で只者ではないことだけは確信した。
「君、何者だい?」
バサラが少女に声をかけると彼女は今、初めて彼を認識した。バサラが放つ氣を見て、普段は獲物を首としか認識しない彼女が人として彼を見た。
強者のみを人と認識する少女はバサラの問いに答えることはないが喋りかけられたが故に言葉を返した。
「なんという! なんという練られた氣! 名を名を名乗って欲しい! 強者の首は名を聞かねばならぬのだ!」
土人形がバサラ達に向かって攻撃を放つ最中、それを軽々と捌きながら彼らは会話を続けた。
「えーと、カツラギ・バサラ。お嬢ちゃんは?」
「嬢ちゃん、そうか、そうだな。拙者の体はいくら鍛えても男児になれぬ未熟なモノだったな。だが、良い! それは今関係有らず! 拙者は馘無侍吟千代! バサラ殿! 死合おうぞ! 今すぐ早く! さぁ! 早く!」
土人形の猛攻は止まらないがバサラと吟千代も会話を止めずに避け続ける。
だが、もう既に吟千代の興味は土人形からバサラに移っており、彼女はそれをゴミを見るかの様な目で見た。
「邪魔だな、この首」
呟いた途端、バサラは吟千代が纏う氣が一気に不安定になったことに気づいた。
吟千代の氣は先ほどまでの動の氣から、静の氣へと変化した。
そして、得物を腰に差していた鞘にしまうと足腰を低くし、構えを変える。
「馘無侍流、 沖津鏡」
その一言を残し吟千代はバサラの目の前から消えると同時に、土人形の背後に立っていた。
土人形の炉のみが四角形の立方体で切り抜かれており、バサラはそれを見て驚愕する。
(あの武器、技術、全部何なんだ? あんな細いのに刃溢れ一つ無いし)
動かなくなった土人形に目もくれず、吟千代は考え事をしているバサラにおもちゃと手に入れた犬のように嬉しそうに声をかけた。
「バサラ殿!」
「ひゃ、ひゃい?!」
「それでは参りましょうか! 死・合・い!」
「はい?!」
既に第二階層に到着しているが彼の体力は尽きる寸前。
(一か八か! やるしかない!)
バサラはそう考えると涅槃静寂を握ると横にあった壁を壊すために力一杯に振るった。
ボゴンと音を立て、出来た穴は部屋の壁でもあったのか暗闇が広がる場所へと繋がっていた。そこに飛び込む以外に答えは無く、バサラは自分の体を部屋へと投げ込んだ。
巨大岩石は一人でに転がり落ちて行くとバサラは何とか自分の身の安全が確保されたことに安堵した。
しかし、そんなことは束の間、暗闇の部屋から突然、バサラ目掛けて岩石が飛んでくると涅槃静寂を使い、払い落とす。
「今度は何だい!?」
大声を上げるも暗闇の部屋は唐突に燈が灯り、そこには岩で出来た巨大な兵士が姿を現した。その正体は土人形。既に操縦者は居らず、ただ、その部屋を守ろうとする傀儡であり、それがバサラを敵と認識し、岩で出来た拳を振り翳す。
バサラは土人形の攻撃に対して、既に間合いに入り込んでおり、涅槃静寂の斬撃がそれの首を落とそうと振るわれるはずだった。
部屋への闖入者が一人。
黄色い着物に身を包み、真っ黒なボサボサ髪を白い紐で結っており、腰には見知らぬ武器が差されている。顔には右目、デコ、鼻に巨大な切り傷がありながらそれらはかつて強者から受けた名誉とし、一切隠す事ない。
グルグルと螺旋を描かれている目を輝せながら少女は土人形に向かってバサラを踏み台にし、飛ぶと腰に差していた得物を抜いた。
踏み台になったバサラは「ぐえ」と声を出すも少女は止まる事なく、土人形の首を断つ。
「首断ちごめん!」
声は申し訳なさそうな雰囲気などは一切無く、ただただ、その首を落としたいがために放ったとしか言いようがないほど嬉しさに満ち溢れていた。
しかし、首を断たれたはずの土人形は動き出す。彼に意思はなく、意識もない。ただ、一人の主人の命に従うのみであり、首を断たれようが、その肉体に刻まれた炉を破壊するまで止まることはない。
「首を断たてど死なぬか! カラカラカラカラ! 面白い! 面白いぞ! この世界! 日の本から去りとて日にちすら数えるのも面倒になったが! こうも! こうも! 死なぬ首が多い!」
少女が嬉々としている横で、バサラは彼女が何者であるか全く理解出来ずにいたが顔の傷と纏う氣で只者ではないことだけは確信した。
「君、何者だい?」
バサラが少女に声をかけると彼女は今、初めて彼を認識した。バサラが放つ氣を見て、普段は獲物を首としか認識しない彼女が人として彼を見た。
強者のみを人と認識する少女はバサラの問いに答えることはないが喋りかけられたが故に言葉を返した。
「なんという! なんという練られた氣! 名を名を名乗って欲しい! 強者の首は名を聞かねばならぬのだ!」
土人形がバサラ達に向かって攻撃を放つ最中、それを軽々と捌きながら彼らは会話を続けた。
「えーと、カツラギ・バサラ。お嬢ちゃんは?」
「嬢ちゃん、そうか、そうだな。拙者の体はいくら鍛えても男児になれぬ未熟なモノだったな。だが、良い! それは今関係有らず! 拙者は馘無侍吟千代! バサラ殿! 死合おうぞ! 今すぐ早く! さぁ! 早く!」
土人形の猛攻は止まらないがバサラと吟千代も会話を止めずに避け続ける。
だが、もう既に吟千代の興味は土人形からバサラに移っており、彼女はそれをゴミを見るかの様な目で見た。
「邪魔だな、この首」
呟いた途端、バサラは吟千代が纏う氣が一気に不安定になったことに気づいた。
吟千代の氣は先ほどまでの動の氣から、静の氣へと変化した。
そして、得物を腰に差していた鞘にしまうと足腰を低くし、構えを変える。
「馘無侍流、 沖津鏡」
その一言を残し吟千代はバサラの目の前から消えると同時に、土人形の背後に立っていた。
土人形の炉のみが四角形の立方体で切り抜かれており、バサラはそれを見て驚愕する。
(あの武器、技術、全部何なんだ? あんな細いのに刃溢れ一つ無いし)
動かなくなった土人形に目もくれず、吟千代は考え事をしているバサラにおもちゃと手に入れた犬のように嬉しそうに声をかけた。
「バサラ殿!」
「ひゃ、ひゃい?!」
「それでは参りましょうか! 死・合・い!」
「はい?!」
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