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第一章 田舎暮らしの神殺し
十五章 初めては獣狩りですか? 其の陸
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「アルミラージの討伐、か」
バサラはジータの屋敷の一部屋を借り、そのベッドの上で独り言を呟いた。
魔獣アルミラージ。
一角を持った兎であったものが突然変異で一兎だけとてつもない大きさになってしまい、それが周辺の魔獣達を束ね始め、村などに多大な被害が及んでいる。
その討伐をバサラは任された。
「うーん、一人で出来るかな」
自分を信頼してくれるジータ、推薦してくれた他の四護聖。彼らの期待に応えるためにもバサラは明日の討伐に備えるために早めの就寝を試みようとした。
「御師様! 夕飯の時間ですよ!」
ジータが勢い良くドアを開け、眠気が一瞬にして覚めた。
***
「御師様! これは如何ですか! あ! これも美味しいですよ!」
バサラはジータに溢れんばかりの料理を盛られ、苦笑いながら席に座っていた。
(こ、こんなに食べれるかなー)
「御師様! いつも、いっぱい食べていたので自分も今日は手伝いました!」
輝かんばかりの笑顔を浮かべるジータに対して、バサラはその笑顔に応えるだけの努力をしようと心に誓った。
はじめに、ビーフシチューにパンをつけて口に放り込むと赤ワインで煮込んだであろう風味とまろやかさが口の中に広がり、バサラは目を輝かせる。
「美味しい! これ、ジータが作ったのかい?!」
「喜んで頂けて何よりです。御師様がよくお料理をしていたのは知っていましたから、私も腕によりをかけました」
そう言うと自らが作ったであろう、蒸し野菜の盛り合わせに手をつける。
バサラはジータが作った料理達に舌鼓をうちながら、パクパクと口に運ぶと彼女がよそってくれていた皿は一瞬にして空となっていた。
「美味しかった! こんなにいっぱい食べれるかと正直思ったけ美味しすぎて一瞬で食べちゃったよ! ご馳走様でした」
「いえいえ、気に入っていただけて光栄です。食後に一杯如何ですか?」
ジータはお酒を持ってこようと立ち上がるもバサラは首を横に振り、彼女を止めた。
「明日があるから遠慮しとくよ。至れり尽くせりでジータには頭が上がらないな。明日、討伐帰りに安く住める宿でもさが」
「なりません」
「え?」
バサラが自分の宿を探すと言うとジータは笑顔で否定する。あまりにも、食い気味な一言に、何か間違えてしまったのかと思い、再び口を開こうとした。
「なりません」
「まだ、何も言ってないけど?!」
勘違いではないジータの言葉に、バサラは戸惑うと彼女は再び口を開いた。
「私達、四護聖全員で御師様を王都へ呼ぶと決めた時、とあるものを決闘をしているのです」
「え、ええ、そ、そのー、決闘には何を?」
「御師様の寝床を誰が提供するかです」
四護聖同士の決闘となると王都全体を賑わす大イベントなるほどのことを彼らは人知れず行っており、それも自分が原因であると聞きバサラは空いた口が塞がらなかった。
「結果、私が一人残らず殲滅しました。いつぶりでしたでしょうか。本気の本気で戦ったのは。なので、御師様の寝床は私が確保します。お気になさらないでください」
「いや、でも、流石に、ジータも歳的に、彼氏さんとかも」
「いません。私、自分か御師様に勝てた人間と結婚すると決めているので」
「ふえええ……」
バサラの戸惑いによる奇声が食堂流れた。
バサラはジータの屋敷の一部屋を借り、そのベッドの上で独り言を呟いた。
魔獣アルミラージ。
一角を持った兎であったものが突然変異で一兎だけとてつもない大きさになってしまい、それが周辺の魔獣達を束ね始め、村などに多大な被害が及んでいる。
その討伐をバサラは任された。
「うーん、一人で出来るかな」
自分を信頼してくれるジータ、推薦してくれた他の四護聖。彼らの期待に応えるためにもバサラは明日の討伐に備えるために早めの就寝を試みようとした。
「御師様! 夕飯の時間ですよ!」
ジータが勢い良くドアを開け、眠気が一瞬にして覚めた。
***
「御師様! これは如何ですか! あ! これも美味しいですよ!」
バサラはジータに溢れんばかりの料理を盛られ、苦笑いながら席に座っていた。
(こ、こんなに食べれるかなー)
「御師様! いつも、いっぱい食べていたので自分も今日は手伝いました!」
輝かんばかりの笑顔を浮かべるジータに対して、バサラはその笑顔に応えるだけの努力をしようと心に誓った。
はじめに、ビーフシチューにパンをつけて口に放り込むと赤ワインで煮込んだであろう風味とまろやかさが口の中に広がり、バサラは目を輝かせる。
「美味しい! これ、ジータが作ったのかい?!」
「喜んで頂けて何よりです。御師様がよくお料理をしていたのは知っていましたから、私も腕によりをかけました」
そう言うと自らが作ったであろう、蒸し野菜の盛り合わせに手をつける。
バサラはジータが作った料理達に舌鼓をうちながら、パクパクと口に運ぶと彼女がよそってくれていた皿は一瞬にして空となっていた。
「美味しかった! こんなにいっぱい食べれるかと正直思ったけ美味しすぎて一瞬で食べちゃったよ! ご馳走様でした」
「いえいえ、気に入っていただけて光栄です。食後に一杯如何ですか?」
ジータはお酒を持ってこようと立ち上がるもバサラは首を横に振り、彼女を止めた。
「明日があるから遠慮しとくよ。至れり尽くせりでジータには頭が上がらないな。明日、討伐帰りに安く住める宿でもさが」
「なりません」
「え?」
バサラが自分の宿を探すと言うとジータは笑顔で否定する。あまりにも、食い気味な一言に、何か間違えてしまったのかと思い、再び口を開こうとした。
「なりません」
「まだ、何も言ってないけど?!」
勘違いではないジータの言葉に、バサラは戸惑うと彼女は再び口を開いた。
「私達、四護聖全員で御師様を王都へ呼ぶと決めた時、とあるものを決闘をしているのです」
「え、ええ、そ、そのー、決闘には何を?」
「御師様の寝床を誰が提供するかです」
四護聖同士の決闘となると王都全体を賑わす大イベントなるほどのことを彼らは人知れず行っており、それも自分が原因であると聞きバサラは空いた口が塞がらなかった。
「結果、私が一人残らず殲滅しました。いつぶりでしたでしょうか。本気の本気で戦ったのは。なので、御師様の寝床は私が確保します。お気になさらないでください」
「いや、でも、流石に、ジータも歳的に、彼氏さんとかも」
「いません。私、自分か御師様に勝てた人間と結婚すると決めているので」
「ふえええ……」
バサラの戸惑いによる奇声が食堂流れた。
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