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第4章 このアイテムがすごい!そしてロゼも凄い!

#48 ロゼ、快感ッ!!

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「私に任せて欲しい。この包囲網を打ち破り、あの魔術師までの道のり…必ずや切り開いて見せる」

「ロゼ…」

 新たに手を加え自らの魔力で意のままに操作出来るようになったキャタピラ式車椅子、それを動かし俺達の先頭の位置に着いたロゼが抑揚こそ無いもののハッキリした口調でそう言った。

「ん~?なァにか言いましたかァ、お若いお嬢さんマドモアゼル?聞き間違いでなければァ、この我の所までェ…道を切り開くゥとか…」

「その通り」

「あ、#短慮__たんりょ__#はいけないよォ。それともォ、恐怖でどうにかなってしまいましたかァ?」

 相変わらずの声色と話し方だがセルナゴというこの魔術師、女性には紳士的なのかも知れない。ロゼには丁寧な口調を使って話している。

「短慮でも、恐怖でもない。試させてもらう、カヨダの新兵器を」

 ガシャンッ!!

 車椅子の左右の肘掛けに仕込んであった武器が跳ね上がる、肘掛け部分に仕込んでいたUZIウージー短機関銃サブマシンガンを彷彿とさせる銃器のような武器だ…。それが肘掛け部分から昭和の懐かし家電のトースターで焼き上がった食パンのような動きして空中に跳ねた、それをロゼが左右両手でしっかりキャッチする。

「伏せて」

「ニャッ!?」

「おうっ!!」

 その声に応じてミニャが、俺は闇の精霊の少女の体を抱いて石の床に伏せる。俺の手に少女の感触が伝わってくる、とても華奢な体だった。その体が石の床に打ち付けられぬように自らの体で覆うようにした。

全弾一斉砲火フルバーストッ!!」

 だだだだだだだだだっ!!!

 キャタピラ部分はそのままにロゼが乗る座席部分が横方向にグルグルと回転、周囲360度を二丁拳銃ならぬ二丁短機関銃で掃射する。ロゼが使っているのは銃器のような弾丸を発射する武器、ただし発射の為のエネルギーを火薬に頼らずロゼの魔力に依存するもの。火薬を使わない分だけ余計なスペースを使わず弾倉マガジンにより多くの弾を装弾できる。

 その威力は十分、その証拠に俺達を包囲するように召喚されたスケルトン達が銃弾によって次々と粉々になっていく。

 だだだだだだだだっ………。

快感かいっかん………」

 全弾撃ち終えたロゼが全く快感からは程遠そうな抑揚のない声で言った。

 あの狼獣人族の集落近くでマーダーグリズリーと戦った時にロゼはボウガンを使っていた。しかし、単発でしか撃てず撃った後には再び矢を装填するのに時間がかかる。あの戦いの後、俺とロゼは話し合いその弱点を克服すべく新兵器を創造する事にしたのだ。そこで俺が考えたのがもういっその事ボウガンではなく銃器を作ってしまおうというものだった。それが早くも役に立つとは…。

「ば、ば、ば、馬鹿ぶわかなァ!?み、見たところ投石機スリングのように何かのつぶてのような物を放つようだが…、あり得ない。あり得ぬァァいッ!ス、スケルトンだぞ!骨の体は隙間が多い、矢弾やだまなどすり抜けるはずゥゥ!!」

「だが決して当たらない訳ではない。隙間は多くとも撃つタイミング、狙い、計算すれば必ずその場所に当たる」

 当たるのは当然とばかりにロゼが事もなげに言った。

「ふ、ふ、ふ。だが我は倒せぬ!その武器は形あるものには効くようだが我が体は霊体、その武器はスケルトン共には通用しても我にはァ通用しなあィ!ほうれ、この通り!我はピンピンしておるゥゥ!」

 セルナゴが自身の不死身っぷりをなかば自慢するように言った。

「確かに霊体のお前には通用しなかったようだ」

「だろう?我は不死身ィ、そして今度はより多くのスケルトンを召喚してくれるゥゥ。一方でお前達はその矢弾を発する武器は品切れかァ?いや、こういう時はこう言うのかなァ…弾切れとォォ。お前達にはもうスケルトン共を凌ぐ手段はない、我の勝ちだァ!!」

 俺の言葉にセルナゴは上機嫌に応じた。その鼻っ柱を折るべく俺は一つのアイテムを創造した。

「ロゼ、拳銃ハンドガンだ!この弾を使ってくれ」

 俺は地に伏せたまま創造したばかりの弾頭が白い弾丸を渡そうと手を必死に伸ばした。

「これは?」

「それを使え!それが駄目なら…」

「分かった」

 ロゼは両手の短機関銃サブマシンガンからパッと手を離した。垂直落下、そのまま二丁の銃は肘掛け部分の収納スペースに収まる。そして代わりに下衣ズボンの腰のところに無造作に差していた回転式拳銃リボルバーを取り出した。流れるような手つきで弾倉を開けると下に向け六発の弾丸を空にする、そして俺の伸ばした手から弾丸を受け取ると素早く装填しすぐにセルナゴに狙いをつけた。

「何かと思えばァァ、見たところ銀の弾丸タマでもないようだしィ無駄な足掻きだよ、キミィ?まあ、もっともォォ…銀でも触れた部分だけがちょお~っと痛いかなァってくらいだろうがねェ」

「銀ではないさ、これはもっと安い…俺にとってはありふれた物で作った弾丸さ。銅貨一枚にも満たない、そんな素材で出来ている」

「ふはははっ!馬鹿め、金を惜しんで命を散らすか!だが、それがお前達の命の値段!我とは価値が違うのだァァ!!」

「ロゼ、やれェェ!!」

 次の瞬間、ロゼが引き金を引いた。



 ロゼが放った銃弾はセルナゴに通用するのか…?

 次回、第49話。

 『一味違う弾』

 お楽しみに。
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