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第2章 創造(つく)られた女性と創造するスキル

#19 キャタピラ式車椅子に乗ったロゼ=遠距離支援型ホムンクルス?

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 ドームハウスに戻りロゼと合流した。

「ありがとな、ロゼ。射抜いてくれた鴨、確かに回収してきたよ。丁度俺達二人の真ん前に落ちてきた」

「木の倒れた場所からカヨダ達の位置を推測、その真上を鴨が飛ぶ事が予測出来た。そこを狙ってみた」

 彼女はボウガンを手にハウスの前で車椅子に座って待っていた。もちろん俺が創造したものだ。しかし、普通の車椅子と一番違っているのは…。

「うーん、見れば見るほど不思議な形の車輪だニャ。馬車とか荷車みたいにまんまるな形じゃニャいもんね」

 ロゼが座る車椅子下部を見てミニャがしみじみと言う。そう、ロゼが使っている車椅子…この車輪部分は丸くない。屋外にいる事を加味して戦車やブルドーザーのようにキャタピラにしてある。

「まあ、そうだな。丸くないからな。平らな床みたいな所なら車輪でも良いが、ここは河原だし、森に入っても地面には石もあれば木の根っこが張り出したりもしている。普通の車輪じゃとても進めないだろう」

「カヨダの言う通り。この車輪、安定性は極めて高い。また凹凸おうとつがある場所に対する走破性も極めて高いと予想する」

 分析するようにロゼが言う。うーん、なんて冷静で的確な分析力なんだ。そしてその冷静さは木の倒れる位置から俺とミニャの近くに落下するように飛んでる鴨を射抜いた。ロゼの射撃の腕前、凄いの一言に尽きる。足の再生中だから身動きこそ取れないが、彼女もまたこの野外生活に貢献してくれていた。

「さて…。朝飯もなしに働かせてしまってすまんな。とりあえず腹ごしらえの準備をしよう」

 実はまだ俺達は朝食をとっていない。グランペクトゥから一刻も早く離れたいと移動の準備をしていたからだ。

「え?木を使って何か作るんじゃニャいの?」

 ミニャが小首を傾げて尋ねてきた。

「ああ、それは問題ない。メシを食ったらすぐに出発てるように出来てるから」

「ふニャ?」

 なんで?どうして?とばかりにミニャが首を傾げた。なかなかに可愛い。

「まあまあ。ミニャ、俺はことがないから猪と鴨の解体を頼む」

「分かったニャ。じゃあ、まずは鴨からやっちゃうニャ。猪は時間がかかるからね」

 そう言ってミニャは鴨の羽をむしり始めた。おや…?俺がスキルなどを使用する際に視界に浮かぶタッチパネル状のものが現れた。

「なあ、ミニャ」

「ん?どうしたニャ?」

「悪い。そのむしった鴨の羽も使えそうだ。鴨の解体作業。この上でやって、羽はこれに入れてくれ」

 そう言って俺は創造したブルーシートと半透明ゴミ袋を手渡した。消費したMPマテリアルポイントはおよそ7000。

「うーん、日本円で考えたら十倍くらいのレートだ…」

 そんな呟きをもらしながら俺は食事の準備を始めたのだった。

 
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