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第2章 創造(つく)られた女性と創造するスキル
#18 移動の為の材料集め
しおりを挟むぶおおおぉ~んっ!!
…ぶおおんっ!ぶぉんっ!!
森林にチェーンソーのけたたましい音が響く。俺が天に向かってまっすぐに伸びる杉のような樹木に切り込みを入れている音だ。
「よし、ミニャ…やってくれ」
俺はチェーンソーを止め隣に立つ少女に場所を譲りながら声をかけた。
「ふニャッ!!」
とすっ!
切り込みを入れた樹木にミニャが前蹴りを入れた。ベキッと音がして木が傾いていく。
…バサッ!バサバサバサッ!!………ズズーンッ!!
傾くなかで周りの木々に枝を引っかけながらミニャが蹴った木が地面に横倒しになった。
ピィキャアア…。
木が倒れた衝撃に驚いたのだろうか、飛び立つ羽音と共に鳥のものと思われる声がした。
……………。
………。
…。
「うーん、すごいな。ミニャのおかげで木の伐採がサクサク進む」
「そんなことないニャ、ボクの力じゃキズひとつ無い木を蹴り倒すのは無理ニャ。そのあっと言う間に切り込みを入れる道具がすごいのニャ!」
翌日、俺とミニャは森林に入り伐採をしていた。俺のチェーンソーで木に切り込みを入れ、それをミニャが蹴り倒す。
そしてまた俺は次の木に切り込みを入れ始め、その間にミニャは俺が創造った鉈で枝を落として木を電信柱のようなまっすぐな物にしていく。そのついでに木に絡まったツタなども取り除いていた。
そして次の木に十分に切り込みを入れるとミニャが再び蹴り倒す。その繰り返しでたくさんの木を得ていった。
「それにしても…、カヨダはどうやってここを離れるのニャ?それも昼過ぎにニャんて…。ロゼの足が回復するにはまだ何日もかかると言ってたニャ、こんな起伏のある…道無き道を行くような旅路は足が治ってないロゼにはとても無理ニャんよ」
チリリンッ。
その時、俺とミニャが身に着けている小さなベルが鳴った。
「ニャ!?ロゼだニャ」
これも俺が作ったアイテムだ。俺とミニャ、そしてロゼがそれぞれ一つずつ持っている。このベルは単純に揺らしても音は鳴らない、しかし誰かが何かを伝えようと念じて揺らすとこのように音が鳴る。ちなみにその音は使用者の伝えようとする意思が強ければ強いほど派手な音がする。つまりは危機であればあるほど激しい…、言い換えれば非常ベルのような音になる。
「なんだろ?危機を知らせるようなものでは無さそうだが…」
ボトッ。
目の前に見覚えのある太矢が刺さった鳥が落ちてきた。
「あっ、鴨だニャ!」
「ロゼが射抜いたのか」
太矢はボウガン専用の矢である。
「鴨は脂の乗りが良いから焼いたらとっても美味しいニャ」
そう言ってミニャが獲物に駆け寄った。
「なるほど、これを知らせる為に…」
このベルは身動きが取れないロゼの為に持たせたという意味もある。その彼女は現在拠点としているドーム型住宅の入り口で俺の創造った車椅子に乗っている。彼女は広範囲の生物の気配を察する事ができる言わば探知役だ。万が一にもグランペクトゥの奴らが俺達の生死を確認しようと誰かを遣わしたり、あるいは俺が女王ヨジュアベーテのアクセサリーを奪ったので追手を差し向けたりしているのではないかと考えてのものだった。
「よし、木材の確保も十分だし戻ろうか。天候も回復したし誰かが俺達の姿を目にしてグランペクトゥに通報されても嫌だしな。早めにこの川の下流にあると言う自由都市って所に向かおう。任せてくれ、移動の方法は考えてある」
俺はミニャにそう言って伐採した木々とロゼが射抜いた鴨を収納し戻る事を提案した。
□
カヨダが考えた移動方法とは?
次回、「自由都市へ向かえ」。
お楽しみに。
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