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第1章 巻き込まれ召喚と国外追放
#5 女王ヨジュアベーテ
しおりを挟む◼️加代田敏夫◼️
職業:よろず屋(商人)
LV:--
称号:神殺し
状態:正常
年齢:20
[能力値]
生命力:100
魔力: 0
筋力: 10
敏捷: 10
器用: 10
体力: 10
幸運: 10
技能:創造神の後継(固有)
(生命力…、いわゆるヒットポイントか?それが100…、魔力は無し。あとの身体能力的なやつはオール10…果たしてこれは高いのか低いのかどんな評価になるんだ?そして創造神の後継…?なんだコレ?)
一見しただけではよく分からない技能(固有)という表記…、俺はそれがなんだか分からないので興味を持つとさらに追加の文章が現れた。
技能:創造神の後継
創造神シルクハットンを滅ぼした事で加代田敏夫に移譲された物体を創造及び管理する能力。
物体を創造、管理か…、そう言えばチェーンソーで創造神をバラバラにした後に聞こえてきた声が言うにはモノを作る事にかけては右に出る者はいないって言ってたもんな。
「ほほほ…、さぁて、新たに参った勇士はいかなる者じゃ?ふむう、男子か。直答を許す。其方、名はなんと申す?」
開いた扇で口元を隠しながら陛下と呼ばれてた女がやってきた。貴金属で出来た王冠ではなく布張りの冠をかぶっていて耳から顎のラインから後ろまでを完全に隠している。
歳は俺よりも上か、もっとも欧米人とかの年齢は日本人の俺にはよくわからないからな…。逆に欧米人はアジア系の人を見ると実年齢より若く見えるって言うし…。
「これ!畏れ多くも女王陛下…、ヨジュアベーテ様の御下問であるぞ!さっさとお答えせぬか!」
どうやら話しかけてきた女ことヨシュアベーテは女王であったらしい。その女王の取り巻きが返答を急かしてくる。しかし、それを女王自身が片手で制した。
「よいよい。いきなりの問いであったからの…、そこの四人もそうであったが礼儀作法も風習も違うようじゃ。今は不問といたそう」
高圧的に迫ってきた取り巻きとは反対に女王はやんわりと言った。そこに大司教が口をはさんだ。
「た、大変にございます!へ、陛下…こ、この者の#能力値_パラメーター__#は…」
お!やっと数値とかが羊皮紙に現れたのね。ずいぶんと時間がかかるもんだね、俺なんてすぐにパラメーターの確認が出来たのに。まあ、良いや。さて、俺の能力値の評価やいかに?
「職業、よろず屋…。能力値は生命力100、魔力0、あとの筋力等は全て10…」
「な、な、なんじゃとおっ!!?」
穏やかな笑顔で話していた女王の顔つきがいきなり険しくなった。
「生命力100、筋力等は全て10じゃとッ!?そ、それではまるで凡人ではないか!それに魔力が0と申したなっ!?つまり皆無ッ!!まるで魔法を使えない、魔盲ではないか!」
強い口調、不機嫌を通り越して憎々しげに…ヒステリックに叫ぶ。
「それになんじゃ!?よろず屋とは?」
「お、おそらく雑多な品を扱う店かと思いまする!例えば武器なら武器屋、服なら仕立て屋といったような専門的なものではなく…」
よろず屋という単語の意味を知らなかったのか女王が疑問をそのまま口にした。それに大司教が答える。
「ぬううッ、それではただの節操のない商人ではないか!専門に扱う物が無いのであれば取るに足らぬそこらの質の悪い物を売り買いしているだけの…」
悪かったな、よろず屋で!だけどこちとら売っているのはスーパーやコンビニで売っているのと変わらないんだぞ。そんな風に思っていると騒がしく品の無い声が聞こえてくる。
「能力値、10!?ザコのパラメーターじゃね!!」
「ダッセー!俺らみてーに激強パラメーターとかじゃねーのかよ!」
声のした方を見ると俺より先に地面に飲まれていった高校生達だった。そのうちの男二人がこちらを指差し笑っている。
「あのシルクハットの神とか言ってた人に能力もらったアーシ達と違って何ももらえなかったんじゃね?」
「えー!?マジあり得なくねー?10とかクソ能力値じゃん」
残る女二人組もゲラゲラ笑っている。シルクハットの神?あの創造神の事か?
「なんという事じゃ!この四人は無二の勇者をはじめ#希少_レア__#な…特別職のさらに上をいっているというに…」
「特別職の…、さらに上?」
「ああ、そーらしーぜ?そもそも勇者自体が世界でも一人しか現れない超激レア!さらに無二の…、えーと、つまり…」
調子に乗っていた男だが何やら言いよどんでいる、おそらく無二という言葉の意味が分からないのだろう。
「まあ、今までの勇者とは…、そこらの勇者なんかよりはるかにスゲー勇者サマって事なんだよォ!俺はァ!」
すっかり調子に乗った顔で金髪ピアス男が言った。
「ちょっとー、ルキアー?アーシだって至高の聖女ってヤツじゃん」
これまた金髪にやたら巻き上げた髪をしている女がジュライと呼んだ男に絡みつきながら言った。高校生と言うより制服を着たキャバ嬢という感じだ。そういや九頭竜高は別名キャバクラ予備校って呼ばれていたっけ…、ギャル系の生徒の就職先がお水系ばっかりだから…俺はそんな事を思い出した。
「つーかよ、俺らの能力値と比べてどんだけ低ーんだよ」
ルキアとは別のもう一人の男が言った。そんなにコイツは高い能力値なのか?パラメーターを見られれば分かるんだが…。
「ん…?」
目の前の男に何やらチェックマークが浮かんだ。試しにそこに注目してみた、すると俺自身のステータス画面と同じようなものが見えた。
◼️荒川聚楽威◼️
職業:
LV: 1
称号:ホーリーモンク
状態:正常
年齢:18
[能力値]
生命力:175(+60)
魔力: 20(+20)
筋力: 49(+35)
敏捷: 47(+35)
器用: 24(+15)
体力: 48(+35)
幸運: 10
※カッコ内の数値は職業による(プラス/マイナス)修正値
技能:未修得
うおっ!?つ、強い!なんだよ、この能力値。…ん、職業による修正値?…ということは元々の値は…
生命力:115
魔力: 0
筋力: 14
敏捷: 12
器用: 9
体力: 13
幸運: 10
って事になるのか…。まあ、それでも俺よりは強そうだ。しかし凄いな、この職業による能力値補正って…。高いパラメーターのほとんどが職業によるプラス修正だ。あの創造神の奴が面白半分で与えた能力ってヤツのせいか…。
「むむ!さ、さらにこのよろず屋の男、LVの表記がありませぬぞ!つまりこのは位階上昇をいたしませぬ。この能力値のままにございまする!」
大司教が重ねて説明する。なるほど、俺のステータスのLV表記の部分には確かに数値がなかった。つまり俺にレベルアップはない…そもそもレベルの概念がないのだろう。
「ぐぬぬぬぅっ!!つ、追放じゃ!こやつを国外に追放じゃあっ!こんな者、なんの役にも立たぬ!」
だんだんと石床を踏みつけながら女王が俺を指差した。
「グランペクトゥの主たる妾が命じる!激流送の刑じゃ!早々につまみ出せいッ!!」
憤怒の表情を浮かべながら女王ヨジュアベーテは言い放った。
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