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3-2.シャンプマーニュ家の疑惑と裏事情
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ミラは邸宅の中を使用人に案内される。
内装も優雅でミラの実家よりもお金をかけていることがわかった。
途中でリリカは1階の大部屋に、ミラは2階に泊まるため場所を教えられる。
大広間から階段を登り、フローラの案内で2階の客室に向かった。
ミラは案内するフローラを見て、疑問に思ったことを聞くことにする。
「なぜ使用人の格好をして? この屋敷で働いているのですか?」
フローラがアルバイトでも始めたのかと予想した。
だが違うらしい。
「実は、ミラさんからお手紙を頂いて、私もこの家に泊まろうと考えたんです。でも、お泊まりができるような仲の人がリリカさんにはいなくて」
ミラは不思議に思った。リリカならすぐ友だちができるはずなのに、お泊まりに来るほど仲の良い人がいなかったという。フローラが言うには、学院内に世間話のできる知人はいたが、仲の深い友人はいないとのことだ。
それを聞いて余計に疑問に思うミラだった。学院でのリリカとミラの知るリリカで少し違うのかも知れなかった。
「それで使用人に、ですか?」
堂々と当主に話をつけて、客賓待遇で泊まればよいはずだ。
王族がわざわざ正面から相手の家に泊まるのを回避して、裏から別の手段でこの家に泊まろうとすることは、普通ありえない。
「すでにミラちゃんも気付いたと思いますけど、さっの使用人は全員が同じ顔をしていましたよね?」
「はい……12つ子なのかと?」
「違いますよ。彼女たちは人間ではありません。人形に仮の魂を入れて動かしているだけの高度な魔法です」
「あれが魔法なんですか?」
「そうです……」
目的の部屋の前で立ち止まったフローラに、ミラもつられて足を止める。
フローラと視線を交わして、嘘は言っていないのだと気付く。
「それでどうしてフローラ様が使用人に?」
「逆に聞きます。なぜ人形を魔法で使役していると思いますか?」
「それは……便利だからでしょうか?」
「普通はそう思うでしょうね。でも違います。このシャンプマーニュ家の当主は人間を信用していないんです」
「人間を……ですか?」
「理由はわかりませんが、少し前に、壮絶な家督争いがあったらしく、実子はすべて死んだんです。子どもたちが殺し合ったと主張していますが、お母さ……この国の王妃が言うには、当主が間接的に殺したのだと考えているそうです。王家があの当主から嫌われている理由ですね」
ミラは思わず背後を見た。
1階の大部屋ではいま、リリカがミラのもてなし準備を進めている。
「じゃあ、リリカさんは? 子供のはずですけど、生きてますよね?」
「彼女はこの家の養子として迎えられたそうです。そして、彼女を『聖女に』という思惑があるそうです」
ミラはそこで1つの疑問が浮かんだ。
「待ってください! 人間を信用しない当主が、実子でないリリカさんを聖女にしてどうするんですか?」
普通におかしな話だ。
家は聖女を輩出することで王家と関係を深め、家が繁栄する。
だが、当主は王家が嫌いだった。
しかも、他の人間を信用できない。
そんな当主が養子まで取って聖女にさせようとしているのだ。
フローラは部屋の扉を開けて、ミラを中に入れた。
ここから先の話は、廊下ではできないのだろう。
そこでフローラが取り出したのは、魔法の陣が描かれた紙だった。
「お話しても良いですが、この紙は契約魔法が記されています。聞いた話を現王家の血筋の者以外には他言できないというものです」
ミラが初めて見る紙だ。魔法が記されているという円の絵柄を、まじまじと見て受け取った。
「これを手で持っていれば?」
「はい……。それで、先ほどの続きですが、聖女というのは現代の「職業」として国の役職を意味するものとは別に、古の聖女システムというものがありました。その聖女は、自分を生贄にすることで、国の王権を新たに受権できる資格を自分の家の当主に与えることができます。昔は、聖女を有する家が代わる代わる王を名乗ったそうです。ですから、初代王家の正統な血筋に戻されるまで、このシステムが続いていたそうなんです」
」
「生贄ですか……」
不穏な言葉であると同時に、聞き覚えのある言葉だった。
魔人に変身したローブの男が、以前、ミラのことを生贄だと言っていた。
「気付いたみたいですね? ミラさんは、バイレンス家の当主によって「生贄」にされる予定だった。その脅威はまだ続いているんです」
ミラはフローラが言ったことのほぼ全てが初耳だった。
(それであの魔人、私を回収しようとして、普通ではありえない「生贄」って言葉を使ったのね……)
「そういうことでしたか……」
「おそらくですが、養子のリリカさんは、その生贄のためだけに家に迎えられたと考えられます。ただし、バイレンス家の当主とは考え方が違うようで、聖女の最終試験を突破させて聖女につかせるみたいなんです」
ミラは首を傾げた。
「……それは何が違うのでしょうか?」
「バイレンス家の当主は、王家の血が途絶えた際に立ち上がる魔法の『緊急システム』を使ってミラさんを聖女に据え置き、生贄とするのだと思われます」
この国には、王家の人間が途絶えた際に、聖女を生贄にできる儀式場が起動するらしい。本来なら、正式な聖女にしかできないことだ。
「そんな画策を……」
「はい。一方で、シャンプマーニュ家の当主は、王家を皆殺しにするほどの戦力がなく、正当な方法で聖女につかせ、生贄にするつもりのようです」
ミラはフローラの話を聞いて自分の父親だった男が、どれほど悪どいことをしようとしていたのか知ることになった。
リリカの義理の父親もそうだ。頑張って試験を受けている娘を最終的には殺して生贄にするという話だ。
「リリカさんは、これを……」
「知らないと思います。この話、言ってはダメですよ?」
ミラは自分が手に持つ紙、正確には『契約の書』を見た。
「はい……」
「ただ厄介なのは、いまのところシャンプマーニュ家です。実子と家督を争うことになったのは、生贄について、当主の思惑を子どもたちが知ったからだと考えています」
「それで、子どもたちが全員死んだ?」
「そうです。しかし、『普通に聖女最終試験を受けさせる』というプロセスを経る予定のせいで、正面から糾弾できない状況にあるんです。生贄が行われるまでは、本当の思惑がわかりにくい状況にあると」
「確かに……私の(元)実家よりも、動きをつかみにくいかも知れませんね」
ミラとフローラは、あまり話し込むと不審に思われるため、一旦切り上げて、荷物を置いて下の階に戻ることにした。
その途中、気付いたことをミラが聞いた。
「でもフローラ様って、なぜここで働けたんですか? 人形しかダメですよね?」
この家の当主は人間が嫌いで雇わない方針のはずだ。
その問いに、フローラは微妙な顔をした。
「この家なんですけど、人形の新規発注は王都内の職人によって工房で作られているそうなんです。その後、配置はこの邸宅で一括管理していて、人形への魔法付与も庭先で行われるそうなんですが、部屋に運び込む際に魔法でスタンプのようなものを付けられて、大した検査もなく屋敷内に入る許可が得られるみたいで」
「まさか……」
「工房から出荷される人形に紛れました」
「本当にそんなことを……」
ミラは驚いた。
第2王女が人形のふりをして、木箱の中に入れられ、出荷されたのだ。
一つ間違えば、事故が起きたり、発見されて攻撃されたり、危なかったかも知れない行為だ。
「二度としたくありませんけど、上手く入り込めてよかったです。目的のミラちゃんにもすぐに会えました」
フローラは内面がもっと清楚で上品かと思っていたが、ミラは改めて気付かされた。彼女はお転婆で行動力があり、明るいはつらつとした表情の中にもいろいろな顔を持っていることに。
***
下の階の大部屋に戻ると、食事の準備ができていた。
ミラを歓迎してくれるらしく、豪勢な料理が並んでいる。
床には、肉の山盛りがペット用のさらに積んであるようだ。
それにシルクがかぶりついた。
横からフローラが小声で話しかけた。
「ミラちゃん、やけに気に入られてませんか? たぶんこれ、普通じゃないですよ」
食事を見て、ミラも同意した。
客人でもここまでの食事で歓迎することはないだろう。
「ちょっと事情が……ありまして」
ミラは心当たりがあった。
治せるかどうかわからない『試験本番に弱い』ことを解決するまで手助けすると約束してしまった。
これはその「手付金」なのだとミラは理解する。
フローラは、ミラの複雑な表情を見て、首を傾げるのだった。
食事をしながら、ミラは今後の予定を決めることにした。
昼から王都の図書館で治療法の手がかりを探しに行く。
夜は王家に足を運ぶことになった。今日は挨拶だけらしい。
フローラが言うには、母親の王妃がミラに会いたいそうだ。
そこまで身分の高い人間と顔を合わせるのは初めてで、フローラが初めて街に来た時と同様に、会う前からすでに緊張してしまうミラだった。
そして、聖女についでどうするか、答えを返す必要がある。
「決めたわ。王妃様と話し合って私がどうすべきか決めたいと思います」
「わかりました。では、お母様には私の使いを通じてお伝えします」
フローラは屋敷の外に待機させている伝令役にミラの言葉を伝えさせるのだった。
内装も優雅でミラの実家よりもお金をかけていることがわかった。
途中でリリカは1階の大部屋に、ミラは2階に泊まるため場所を教えられる。
大広間から階段を登り、フローラの案内で2階の客室に向かった。
ミラは案内するフローラを見て、疑問に思ったことを聞くことにする。
「なぜ使用人の格好をして? この屋敷で働いているのですか?」
フローラがアルバイトでも始めたのかと予想した。
だが違うらしい。
「実は、ミラさんからお手紙を頂いて、私もこの家に泊まろうと考えたんです。でも、お泊まりができるような仲の人がリリカさんにはいなくて」
ミラは不思議に思った。リリカならすぐ友だちができるはずなのに、お泊まりに来るほど仲の良い人がいなかったという。フローラが言うには、学院内に世間話のできる知人はいたが、仲の深い友人はいないとのことだ。
それを聞いて余計に疑問に思うミラだった。学院でのリリカとミラの知るリリカで少し違うのかも知れなかった。
「それで使用人に、ですか?」
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「すでにミラちゃんも気付いたと思いますけど、さっの使用人は全員が同じ顔をしていましたよね?」
「はい……12つ子なのかと?」
「違いますよ。彼女たちは人間ではありません。人形に仮の魂を入れて動かしているだけの高度な魔法です」
「あれが魔法なんですか?」
「そうです……」
目的の部屋の前で立ち止まったフローラに、ミラもつられて足を止める。
フローラと視線を交わして、嘘は言っていないのだと気付く。
「それでどうしてフローラ様が使用人に?」
「逆に聞きます。なぜ人形を魔法で使役していると思いますか?」
「それは……便利だからでしょうか?」
「普通はそう思うでしょうね。でも違います。このシャンプマーニュ家の当主は人間を信用していないんです」
「人間を……ですか?」
「理由はわかりませんが、少し前に、壮絶な家督争いがあったらしく、実子はすべて死んだんです。子どもたちが殺し合ったと主張していますが、お母さ……この国の王妃が言うには、当主が間接的に殺したのだと考えているそうです。王家があの当主から嫌われている理由ですね」
ミラは思わず背後を見た。
1階の大部屋ではいま、リリカがミラのもてなし準備を進めている。
「じゃあ、リリカさんは? 子供のはずですけど、生きてますよね?」
「彼女はこの家の養子として迎えられたそうです。そして、彼女を『聖女に』という思惑があるそうです」
ミラはそこで1つの疑問が浮かんだ。
「待ってください! 人間を信用しない当主が、実子でないリリカさんを聖女にしてどうするんですか?」
普通におかしな話だ。
家は聖女を輩出することで王家と関係を深め、家が繁栄する。
だが、当主は王家が嫌いだった。
しかも、他の人間を信用できない。
そんな当主が養子まで取って聖女にさせようとしているのだ。
フローラは部屋の扉を開けて、ミラを中に入れた。
ここから先の話は、廊下ではできないのだろう。
そこでフローラが取り出したのは、魔法の陣が描かれた紙だった。
「お話しても良いですが、この紙は契約魔法が記されています。聞いた話を現王家の血筋の者以外には他言できないというものです」
ミラが初めて見る紙だ。魔法が記されているという円の絵柄を、まじまじと見て受け取った。
「これを手で持っていれば?」
「はい……。それで、先ほどの続きですが、聖女というのは現代の「職業」として国の役職を意味するものとは別に、古の聖女システムというものがありました。その聖女は、自分を生贄にすることで、国の王権を新たに受権できる資格を自分の家の当主に与えることができます。昔は、聖女を有する家が代わる代わる王を名乗ったそうです。ですから、初代王家の正統な血筋に戻されるまで、このシステムが続いていたそうなんです」
」
「生贄ですか……」
不穏な言葉であると同時に、聞き覚えのある言葉だった。
魔人に変身したローブの男が、以前、ミラのことを生贄だと言っていた。
「気付いたみたいですね? ミラさんは、バイレンス家の当主によって「生贄」にされる予定だった。その脅威はまだ続いているんです」
ミラはフローラが言ったことのほぼ全てが初耳だった。
(それであの魔人、私を回収しようとして、普通ではありえない「生贄」って言葉を使ったのね……)
「そういうことでしたか……」
「おそらくですが、養子のリリカさんは、その生贄のためだけに家に迎えられたと考えられます。ただし、バイレンス家の当主とは考え方が違うようで、聖女の最終試験を突破させて聖女につかせるみたいなんです」
ミラは首を傾げた。
「……それは何が違うのでしょうか?」
「バイレンス家の当主は、王家の血が途絶えた際に立ち上がる魔法の『緊急システム』を使ってミラさんを聖女に据え置き、生贄とするのだと思われます」
この国には、王家の人間が途絶えた際に、聖女を生贄にできる儀式場が起動するらしい。本来なら、正式な聖女にしかできないことだ。
「そんな画策を……」
「はい。一方で、シャンプマーニュ家の当主は、王家を皆殺しにするほどの戦力がなく、正当な方法で聖女につかせ、生贄にするつもりのようです」
ミラはフローラの話を聞いて自分の父親だった男が、どれほど悪どいことをしようとしていたのか知ることになった。
リリカの義理の父親もそうだ。頑張って試験を受けている娘を最終的には殺して生贄にするという話だ。
「リリカさんは、これを……」
「知らないと思います。この話、言ってはダメですよ?」
ミラは自分が手に持つ紙、正確には『契約の書』を見た。
「はい……」
「ただ厄介なのは、いまのところシャンプマーニュ家です。実子と家督を争うことになったのは、生贄について、当主の思惑を子どもたちが知ったからだと考えています」
「それで、子どもたちが全員死んだ?」
「そうです。しかし、『普通に聖女最終試験を受けさせる』というプロセスを経る予定のせいで、正面から糾弾できない状況にあるんです。生贄が行われるまでは、本当の思惑がわかりにくい状況にあると」
「確かに……私の(元)実家よりも、動きをつかみにくいかも知れませんね」
ミラとフローラは、あまり話し込むと不審に思われるため、一旦切り上げて、荷物を置いて下の階に戻ることにした。
その途中、気付いたことをミラが聞いた。
「でもフローラ様って、なぜここで働けたんですか? 人形しかダメですよね?」
この家の当主は人間が嫌いで雇わない方針のはずだ。
その問いに、フローラは微妙な顔をした。
「この家なんですけど、人形の新規発注は王都内の職人によって工房で作られているそうなんです。その後、配置はこの邸宅で一括管理していて、人形への魔法付与も庭先で行われるそうなんですが、部屋に運び込む際に魔法でスタンプのようなものを付けられて、大した検査もなく屋敷内に入る許可が得られるみたいで」
「まさか……」
「工房から出荷される人形に紛れました」
「本当にそんなことを……」
ミラは驚いた。
第2王女が人形のふりをして、木箱の中に入れられ、出荷されたのだ。
一つ間違えば、事故が起きたり、発見されて攻撃されたり、危なかったかも知れない行為だ。
「二度としたくありませんけど、上手く入り込めてよかったです。目的のミラちゃんにもすぐに会えました」
フローラは内面がもっと清楚で上品かと思っていたが、ミラは改めて気付かされた。彼女はお転婆で行動力があり、明るいはつらつとした表情の中にもいろいろな顔を持っていることに。
***
下の階の大部屋に戻ると、食事の準備ができていた。
ミラを歓迎してくれるらしく、豪勢な料理が並んでいる。
床には、肉の山盛りがペット用のさらに積んであるようだ。
それにシルクがかぶりついた。
横からフローラが小声で話しかけた。
「ミラちゃん、やけに気に入られてませんか? たぶんこれ、普通じゃないですよ」
食事を見て、ミラも同意した。
客人でもここまでの食事で歓迎することはないだろう。
「ちょっと事情が……ありまして」
ミラは心当たりがあった。
治せるかどうかわからない『試験本番に弱い』ことを解決するまで手助けすると約束してしまった。
これはその「手付金」なのだとミラは理解する。
フローラは、ミラの複雑な表情を見て、首を傾げるのだった。
食事をしながら、ミラは今後の予定を決めることにした。
昼から王都の図書館で治療法の手がかりを探しに行く。
夜は王家に足を運ぶことになった。今日は挨拶だけらしい。
フローラが言うには、母親の王妃がミラに会いたいそうだ。
そこまで身分の高い人間と顔を合わせるのは初めてで、フローラが初めて街に来た時と同様に、会う前からすでに緊張してしまうミラだった。
そして、聖女についでどうするか、答えを返す必要がある。
「決めたわ。王妃様と話し合って私がどうすべきか決めたいと思います」
「わかりました。では、お母様には私の使いを通じてお伝えします」
フローラは屋敷の外に待機させている伝令役にミラの言葉を伝えさせるのだった。
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