39 / 69
2-14.拾い物、遭遇とゾンビ
しおりを挟む
ミラは工房に戻ると、留守番のご褒美でシルクに肉を食べさせていた。
うっとりとした表情でその様子を眺めるのはいつものことだ。
だが、ふと庭先の地面に光るものを見つけて、それを手に取る
「これ何かしら?」
何かの液体が入ったビンに見える。
不思議そうにそれを眺めていた。
「誰かの落とし物?」
とりあえず、拾って工房の棚に置いて保管することにした。
しかし、ミラはその中身の液体が少し気になったのだ。
「う~ん、この液体、あのとき魔人が飲んでいた謎のアイテムと同じ色なのよね。偶然かしら?」
あの魔人は、男の人間が姿を変えてなったものだ。
その際に、謎のアイテムを口から飲み込んでいた。
ミラは色彩を含めてあの時一瞬だけ見えたアイテムの色を把握している。
それは赤黒くて、禍々しい色だった。
「とても気になるわ……」
後で、メリエラに鑑定してもらうことにした。
偶然であってほしいと。
***
試験当日、ミラは必要な機材や素材を持って、試験会場に足を運んだ。ギルド近くの建物だからすぐわかった。
薬師の製作するポーションの中にはミスすると毒になるものもある。そのため、試験用にあらかじめ用意された建物だ。
2階建てではあるが、面積はギルドよりも広いドーム状だ。
大きな通りから小道に入る必要があり、建物は遠く見えても一般人が普段なら立ち寄らない場所だった。
ミラは目印のギルドからすばらく歩いた。
すると、段々と試験会場に近づいていることが、建物の遠近感から判断できた。
「あれが正面入口かしらね」
あともう少しで会場に到着というところでミラは足を止めた。
建物の隅でお腹を抱えて座っている人が見えたのだ。セミロングにふわふわしたパーマの明るい茶髪。ラフな黄緑色のワンピースを着ていた。
容姿から判断して女の子らしい。
近づいてみると表情はげっそりしていた。
ミラはその子と試験会場を交互に見て、次に通路の左右を見る。
助けに入る人はいない。というよりも全然人気がない。
仕方なく、声をかけることにした。
「あの、大丈夫ですか?」
その女の子は少しだけ目線を上に向けて、ぼそぼそした声で答えた。
「だ、いじょう、ぶ……」
まるでゾンビのような顔の青白さだ。全然大丈夫そうには見えなかった。
(え? もしかして本当に魔物のゾンビがこんな街中に出たのかしら?)
ミラは真剣に疑った。
もう一度、左右を見回す。
アンデッド系の魔物は、魔物の判別がかなりアバウトで、人それぞれの容姿をしているから、ミラには判断できない。
討伐経験があればよかったが、それもないのだ。
ミラは念のため警戒することにして、腰に手をかざそうとしたとき、いまは剣がないことに気づく。
「はっ! そういえば持っていなかったんだわ」
ミラは少し近づいて、顔の様子をうかがった。
「あ、の……なに?」
見られていることに疑問を感じたのだろう。
ミラは返答に沈黙することに耐えられず、この質問がおかしいとは思いつつ聞いた。
「失礼ですけど、あなたは、にんげ……いえ」
「え……?」
当然の反応だった。
うつろな目が少しだけキュッと引き絞られる。
「あ、やっぱり大丈夫です」
その反応で、ミラは人間だと思い直した。瞳孔の反応、挙動や人間の匂いなど、ゾンビではありえない要素が見て取れた。
「なん、だったの、さっきのは?」
「いえ、さっき言いかけたことは気になさらないでください」
ミラは心の中で謝った。
ここで、「人間かどうか疑って、ゾンビと見間違えた」と伝えてしまうのは流石に失礼だからだ。そのままミラは質問した。
「なぜこんなところに座って? やはり具合が悪くて動けないのですか?」
「はい……、試験前はいつもこんな感じで……緊張、して……うぅ」
ミラはその回答を聞いて、目の前にいる子が試験前の緊張でお腹が痛くなっているだけの人だとわかった。
この場所で試験が目的なら、ミラと同じ薬師志望の子だろう。
始めから座っている理由を質問をしておけばよかったとミラは少し後悔する。ゾンビと間違えそうになって、少し恥ずかしくなった。
(魔物が堂々と街の中に入り込めるわけがないわよね?)
ミラは手持ちのポーションを差し出して、飲むように促す。
「ありがとう……手持ちはもう全部飲んでしまって、残りがなかったから」
一瞬で、見た目が普通の肌色に戻り、体調が戻った。
だが、しばらくすると、もとの青白い肌に戻った。
ミラは疑問の声を上げる。
「あれ? このポーション、効いたはずですよね?」
体調不良ならこの低級ポーション(最高品質)で治るはずだ。品質だって、メリエラに保証されている。
だが、一瞬で元に戻った。
(そういえば、すでにポーションは何本も飲んでいて、試したようなことを言っていたわね)
「いつもの、ことだから……」
もうすぐ試験が始まる時刻の10時だ。
ギルドの建物上部に設置されている水晶には、魔法で浮かび上がる数字が『9:52』になっていた。
ミラはその子の肩を支えて、試験会場に向かうことにした。
「歩けますか?」
「親切なのね……。本当にいいの?」
「はい、困ってそうでしたから」
ミラは迷わず助けることを決めた。といっても肩を貸すだけだ。
決して、見た目から一瞬でもゾンビ扱いした罪悪感で、親切な施しをしたのではないと、そう思いたいミラだった。
***
試験会場に到着すると、中は吹き抜けの内装になっていた。
会場全体は、区画ごとに敷居で区切られている。
ここで筆記と実技、面接をするらしい。
事前に聞いたスフィアの話では、騒音対策として魔法も使用されているとのこと。
最初に筆記を行い、次に実技、最後に面接という形になる。
ミラは、受験者の待機場所に案内を受けた。
肩を貸しながら、その子と一緒に移動する。試験官が一瞬、疑問の目をミラに向けた。 用意されている椅子に座ると、ようやくミラの肩から重さがなくなった。
椅子に半分倒れかかったような姿勢で、その子は座っている。
呼びかけようとして、いまさらながら名前を聞いていないことに気づく。
「あの、私はミラです。あなたのお名前は?」
その子は、首を鉄細工のようにぎしぎしと軋む音をあげて、ミラを見た。ぼそぼそと口を開く。
「私は、リリカ。よろしく……」
ミラはボソボソ声を聞き逃さないように耳を澄ませた。ついでに、耳に手を添える。
「リリカさんですね、よろくしお願いします。この街で冒険者しながら薬師を目指しています」
「そうなんだ……とはいっても、会うのはこの試験の間だけだと思う。私、王都から来てるから」
「あ、今度王都行くので、またどこかで会えるかも知れませんね」
「へ~、そうなんだ」
会話のおかげか、リリカの声が少しだけ緊張が取れた。スムーズに話せるようになり、肌色も少し戻っている。
「体調はもう大丈夫ですか?」
「少し楽になった。本番に弱くて、いつもこの有様なんだよね……」
「なんだか、大変そうですね……」
だが、それも少しの間だけだった。
試験の時間が近づいてくると、元のぼそぼそな喋り方と青白い顔色に戻った。
ミラと話している間、試験のことを忘れていたらしい。
(一時的だけど、薬以外で症状を治す方法もあるのね……。心が原因の病気かしら。身体を治療するポーションだけでは治せないみたいね)
再び体調悪そうにしているリリカを観察して、そんな事を考えるミラだった。
うっとりとした表情でその様子を眺めるのはいつものことだ。
だが、ふと庭先の地面に光るものを見つけて、それを手に取る
「これ何かしら?」
何かの液体が入ったビンに見える。
不思議そうにそれを眺めていた。
「誰かの落とし物?」
とりあえず、拾って工房の棚に置いて保管することにした。
しかし、ミラはその中身の液体が少し気になったのだ。
「う~ん、この液体、あのとき魔人が飲んでいた謎のアイテムと同じ色なのよね。偶然かしら?」
あの魔人は、男の人間が姿を変えてなったものだ。
その際に、謎のアイテムを口から飲み込んでいた。
ミラは色彩を含めてあの時一瞬だけ見えたアイテムの色を把握している。
それは赤黒くて、禍々しい色だった。
「とても気になるわ……」
後で、メリエラに鑑定してもらうことにした。
偶然であってほしいと。
***
試験当日、ミラは必要な機材や素材を持って、試験会場に足を運んだ。ギルド近くの建物だからすぐわかった。
薬師の製作するポーションの中にはミスすると毒になるものもある。そのため、試験用にあらかじめ用意された建物だ。
2階建てではあるが、面積はギルドよりも広いドーム状だ。
大きな通りから小道に入る必要があり、建物は遠く見えても一般人が普段なら立ち寄らない場所だった。
ミラは目印のギルドからすばらく歩いた。
すると、段々と試験会場に近づいていることが、建物の遠近感から判断できた。
「あれが正面入口かしらね」
あともう少しで会場に到着というところでミラは足を止めた。
建物の隅でお腹を抱えて座っている人が見えたのだ。セミロングにふわふわしたパーマの明るい茶髪。ラフな黄緑色のワンピースを着ていた。
容姿から判断して女の子らしい。
近づいてみると表情はげっそりしていた。
ミラはその子と試験会場を交互に見て、次に通路の左右を見る。
助けに入る人はいない。というよりも全然人気がない。
仕方なく、声をかけることにした。
「あの、大丈夫ですか?」
その女の子は少しだけ目線を上に向けて、ぼそぼそした声で答えた。
「だ、いじょう、ぶ……」
まるでゾンビのような顔の青白さだ。全然大丈夫そうには見えなかった。
(え? もしかして本当に魔物のゾンビがこんな街中に出たのかしら?)
ミラは真剣に疑った。
もう一度、左右を見回す。
アンデッド系の魔物は、魔物の判別がかなりアバウトで、人それぞれの容姿をしているから、ミラには判断できない。
討伐経験があればよかったが、それもないのだ。
ミラは念のため警戒することにして、腰に手をかざそうとしたとき、いまは剣がないことに気づく。
「はっ! そういえば持っていなかったんだわ」
ミラは少し近づいて、顔の様子をうかがった。
「あ、の……なに?」
見られていることに疑問を感じたのだろう。
ミラは返答に沈黙することに耐えられず、この質問がおかしいとは思いつつ聞いた。
「失礼ですけど、あなたは、にんげ……いえ」
「え……?」
当然の反応だった。
うつろな目が少しだけキュッと引き絞られる。
「あ、やっぱり大丈夫です」
その反応で、ミラは人間だと思い直した。瞳孔の反応、挙動や人間の匂いなど、ゾンビではありえない要素が見て取れた。
「なん、だったの、さっきのは?」
「いえ、さっき言いかけたことは気になさらないでください」
ミラは心の中で謝った。
ここで、「人間かどうか疑って、ゾンビと見間違えた」と伝えてしまうのは流石に失礼だからだ。そのままミラは質問した。
「なぜこんなところに座って? やはり具合が悪くて動けないのですか?」
「はい……、試験前はいつもこんな感じで……緊張、して……うぅ」
ミラはその回答を聞いて、目の前にいる子が試験前の緊張でお腹が痛くなっているだけの人だとわかった。
この場所で試験が目的なら、ミラと同じ薬師志望の子だろう。
始めから座っている理由を質問をしておけばよかったとミラは少し後悔する。ゾンビと間違えそうになって、少し恥ずかしくなった。
(魔物が堂々と街の中に入り込めるわけがないわよね?)
ミラは手持ちのポーションを差し出して、飲むように促す。
「ありがとう……手持ちはもう全部飲んでしまって、残りがなかったから」
一瞬で、見た目が普通の肌色に戻り、体調が戻った。
だが、しばらくすると、もとの青白い肌に戻った。
ミラは疑問の声を上げる。
「あれ? このポーション、効いたはずですよね?」
体調不良ならこの低級ポーション(最高品質)で治るはずだ。品質だって、メリエラに保証されている。
だが、一瞬で元に戻った。
(そういえば、すでにポーションは何本も飲んでいて、試したようなことを言っていたわね)
「いつもの、ことだから……」
もうすぐ試験が始まる時刻の10時だ。
ギルドの建物上部に設置されている水晶には、魔法で浮かび上がる数字が『9:52』になっていた。
ミラはその子の肩を支えて、試験会場に向かうことにした。
「歩けますか?」
「親切なのね……。本当にいいの?」
「はい、困ってそうでしたから」
ミラは迷わず助けることを決めた。といっても肩を貸すだけだ。
決して、見た目から一瞬でもゾンビ扱いした罪悪感で、親切な施しをしたのではないと、そう思いたいミラだった。
***
試験会場に到着すると、中は吹き抜けの内装になっていた。
会場全体は、区画ごとに敷居で区切られている。
ここで筆記と実技、面接をするらしい。
事前に聞いたスフィアの話では、騒音対策として魔法も使用されているとのこと。
最初に筆記を行い、次に実技、最後に面接という形になる。
ミラは、受験者の待機場所に案内を受けた。
肩を貸しながら、その子と一緒に移動する。試験官が一瞬、疑問の目をミラに向けた。 用意されている椅子に座ると、ようやくミラの肩から重さがなくなった。
椅子に半分倒れかかったような姿勢で、その子は座っている。
呼びかけようとして、いまさらながら名前を聞いていないことに気づく。
「あの、私はミラです。あなたのお名前は?」
その子は、首を鉄細工のようにぎしぎしと軋む音をあげて、ミラを見た。ぼそぼそと口を開く。
「私は、リリカ。よろしく……」
ミラはボソボソ声を聞き逃さないように耳を澄ませた。ついでに、耳に手を添える。
「リリカさんですね、よろくしお願いします。この街で冒険者しながら薬師を目指しています」
「そうなんだ……とはいっても、会うのはこの試験の間だけだと思う。私、王都から来てるから」
「あ、今度王都行くので、またどこかで会えるかも知れませんね」
「へ~、そうなんだ」
会話のおかげか、リリカの声が少しだけ緊張が取れた。スムーズに話せるようになり、肌色も少し戻っている。
「体調はもう大丈夫ですか?」
「少し楽になった。本番に弱くて、いつもこの有様なんだよね……」
「なんだか、大変そうですね……」
だが、それも少しの間だけだった。
試験の時間が近づいてくると、元のぼそぼそな喋り方と青白い顔色に戻った。
ミラと話している間、試験のことを忘れていたらしい。
(一時的だけど、薬以外で症状を治す方法もあるのね……。心が原因の病気かしら。身体を治療するポーションだけでは治せないみたいね)
再び体調悪そうにしているリリカを観察して、そんな事を考えるミラだった。
451
お気に入りに追加
2,636
あなたにおすすめの小説
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
「デブは出て行け!」と追放されたので、チートスキル【マイホーム】で異世界生活を満喫します。
亜綺羅もも
ファンタジー
旧題:「デブは出て行け!」と追放されたので、チートスキル【マイホーム】で異世界生活を満喫します。今更戻って来いと言われても旦那が許してくれません!
いきなり異世界に召喚された江藤里奈(18)。
突然のことに戸惑っていたが、彼女と一緒に召喚された結城姫奈の顔を見て愕然とする。
里奈は姫奈にイジメられて引きこもりをしていたのだ。
そんな二人と同じく召喚された下柳勝也。
三人はメロディア国王から魔族王を倒してほしいと相談される。
だがその話し合いの最中、里奈のことをとことんまでバカにする姫奈。
とうとう周囲の人間も里奈のことをバカにし始め、極めつけには彼女のスキルが【マイホーム】という名前だったことで完全に見下されるのであった。
いたたまれなくなった里奈はその場を飛び出し、目的もなく町の外を歩く。
町の住人が近寄ってはいけないという崖があり、里奈はそこに行きついた時、不意に落下してしまう。
落下した先には邪龍ヴォイドドラゴンがおり、彼は里奈のことを助けてくれる。
そこからどうするか迷っていた里奈は、スキルである【マイホーム】を使用してみることにした。
すると【マイホーム】にはとんでもない能力が秘められていることが判明し、彼女の人生が大きく変化していくのであった。
ヴォイドドラゴンは里奈からイドというあだ名をつけられ彼女と一緒に生活をし、そして里奈の旦那となる。
姫奈は冒険に出るも、自身の力を過信しすぎて大ピンチに陥っていた。
そんなある日、現在の里奈の話を聞いた姫奈は、彼女のもとに押しかけるのであった……
これは里奈がイドとのんびり幸せに暮らしていく、そんな物語。
※ざまぁまで時間かかります。
ファンタジー部門ランキング一位
HOTランキング 一位
総合ランキング一位
ありがとうございます!
婚約破棄され、聖女を騙った罪で国外追放されました。家族も同罪だから家も取り潰すと言われたので、領民と一緒に国から出ていきます。
SHEILA
ファンタジー
ベイリンガル侯爵家唯一の姫として生まれたエレノア・ベイリンガルは、前世の記憶を持つ転生者で、侯爵領はエレノアの転生知識チートで、とんでもないことになっていた。
そんなエレノアには、本人も家族も嫌々ながら、国から強制的に婚約を結ばされた婚約者がいた。
国内で領地を持つすべての貴族が王城に集まる「豊穣の宴」の席で、エレノアは婚約者である第一王子のゲイルに、異世界から転移してきた聖女との真実の愛を見つけたからと、婚約破棄を言い渡される。
ゲイルはエレノアを聖女を騙る詐欺師だと糾弾し、エレノアには国外追放を、ベイリンガル侯爵家にはお家取り潰しを言い渡した。
お読みいただき、ありがとうございます。
辺境地で冷笑され蔑まれ続けた少女は、実は土地の守護者たる聖女でした。~彼女に冷遇を向けた街人たちは、彼女が追放された後破滅を辿る~
銀灰
ファンタジー
陸の孤島、辺境の地にて、人々から魔女と噂される、薄汚れた少女があった。
少女レイラに対する冷遇の様は酷く、街中などを歩けば陰口ばかりではなく、石を投げられることさえあった。理由無き冷遇である。
ボロ小屋に住み、いつも変らぬ質素な生活を営み続けるレイラだったが、ある日彼女は、住処であるそのボロ小屋までも、開発という名目の理不尽で奪われることになる。
陸の孤島――レイラがどこにも行けぬことを知っていた街人たちは彼女にただ冷笑を向けたが、レイラはその後、誰にも知られずその地を去ることになる。
その結果――?
【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。
妹が真の聖女だったので、偽りの聖女である私は追放されました。でも、聖女の役目はものすごく退屈だったので、最高に嬉しいです【完結】
小平ニコ
ファンタジー
「お姉様、よくも私から夢を奪ってくれたわね。絶対に許さない」
私の妹――シャノーラはそう言うと、計略を巡らし、私から聖女の座を奪った。……でも、私は最高に良い気分だった。だって私、もともと聖女なんかになりたくなかったから。
退職金を貰い、大喜びで国を出た私は、『真の聖女』として国を守る立場になったシャノーラのことを思った。……あの子、聖女になって、一日の休みもなく国を守るのがどれだけ大変なことか、ちゃんと分かってるのかしら?
案の定、シャノーラはよく理解していなかった。
聖女として役目を果たしていくのが、とてつもなく困難な道であることを……
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる