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2-8.異常個体、探索の仕方
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ミラたちは最初の討伐依頼のトレントのいるという魔物の生息域に来ていた。
だが、状況はすぐに切迫した。
アリスは、弓を構えながら、叫んだ。
「話が全然違うじゃない!」
ヴォルフは、魔物のトレントに盾で突撃する。その姿は、全身から木の茂った木の化け魔物だった。
「なんで、こんなことになってるんだ!」
それを剣と杖を構えたメイとソーニャの2人が包囲した。
しかし、タンク役のヴォルフが魔物の手の一振りで後方に吹き飛んだ。そのため、前線が崩壊気味である。
ミラはさらにその後ろからいまの状況をうかがっていた。
その形状や攻撃スタイルから、ミラはある魔物の特徴と一致することに気づく。
「これ、リッチリーフ・トレントだわ!」
メイがミラの説明に思わず声を上げる。
「え! それってトレントの上位種か何かなの?」
生体器官が緑に輝き、大木の体内から大きい塊があるとすぐに分かるほどだった。
ミラは異常個体だと確信した。
「はい、というよりも最上位種の異常個体です。生体器官が普通よりも大きいみたいですし、攻撃方法も特殊です。文献ではランクBオーバーとだけ書かれていました」
アリスは驚愕した。
「そんな、Bランクの魔物となんて、いままで戦ったこともないわよ!」
ミラはヴォルフが吹き飛ばされ、アリスの放った矢が風の魔法であらぬ方向に飛んでいくのを見た。
その光景を見て、ミラは回復ポーションを持ってヴォルフに駆け寄り、飲ませる。
状況がかなりまずいことを察知するメンバーたち。
「この森のトレントはもともと物理攻撃に対抗する魔法を持っているのよ。その上位種で物理無効なんて、反則だわ」
アリスが吐き捨てる。
その声に、ソーニャが声をあげた。
「火の魔法を使ってみる」
だが、火の魔法は風の魔法で減衰し、周囲に散らされた。
火の攻撃を見たミラは、既視感を覚えた。
それもそのはずで、いまの風の回転に弾かれる様子は、ポーションの製造工程に似ていたのだ。不純物を外にはじき出すときの流れである。
じゃあ、『途中で溶液を足すときはどうしていたか?』というと、その風に穴を開けて道を作るのだ。
「あの、もう一度さっきの火の魔法、最大火力で打ってくれませんか?」
「いいけど、あの感じだと、また風に消されるけど?」
「はい、私も魔法を使います。そこに合わせてください」
「わかった」
それだけいうと、ソーニャがさっきよりも大きく火の魔法を放つ準備を整える。
ミラは、両手を前方にかざして、気弾を放つ。
風のカーテンに穴を開け、魔物に気弾が到達した。
気弾の通り道となったその隙間を狙うようにソーニャは火の魔法をコントロールして放った。
「はあっ!」
火が魔物に到達し、全身に燃え広がる。
「ガアアアっ!」
しかも、自身の風で覆われて、木々に火が燃え上がり、消える気配がない。
魔物が自分で使う風魔法によって、炎の牢獄と化したのである。
「やった」
ソーニャは初めて嬉しそうな表情を見せた。
ミラも狙い以上に火の魔法が効果的に機能したので、結果オーライだ。
止(とど)めとばかりに、ミラが気弾で、内部に空気の圧迫空間を作り出す。
火は多くの酸素を消費して、魔物を黒焦げにした。
「倒した、のね?」
ミラは木の魔物が燃え尽きたことに安堵した。
他のメンバーも地面に座り込んだ。
アリスは、死んだ魚のような目で燃え跡を見た。
「なんか疲れたわ……。なんでよ。どうしてこんなに異常個体だらけなのよ」
それにメイも同調する。
「アリスの意見に賛成。だって、いままでこんなことなかったんだもの」
ヴォルフのケガが回復したことを確認して、ミラは今後の方針を訪ねた。
「どうしますか? 異常個体が多く発生しているようですけど、森の異変なんでしょうか……」
ヴォルフは顎に手を当てて少し考え込んだ。
「どのみち、ギルドに戻っても調査はかなり遅れるだろうし、結果的に調査隊のような役目をこのパーティが果たしてしまっている。ここまで来たら、残りも一応確認しておこう」
「え~、一度帰ろうよ~」
メイは、駄々をこねる。
アリスは少し迷っているようだった。心配事があったのだろう。
「また異常個体が出てきたらどうする気なの?」
ソーニャもうなずいた。
「ん、このまま進むのは危険」
ヴォルフもその点は悩んでいた。しかし、中途半端な情報では、異常個体を倒したという結果だけが報告されるだけになる。
森の異常と確定させるためには、異常個体が他の場所でも出ていることをいち早くギルドに知らせたほうが良い。
現在、熟練冒険者はこういう調査に動けない状況にある。だから、どのみち、彼らしか調査できるメンツがいないのだ。
「慎重に進んで、状況だけでも把握したほうが良いと思う。なんていうか、手遅れにならないように」
ミラは深海クラゲのときのことを思い出してうなずいた。
「確かに……不正確な情報は、後で混乱を招くだけかも知れません」
あのとき、自分が危険だからと、街から逃げていたら、あの事件は解決できなかった。
「わかったよー。じゃあ、少し休憩してからね?」
「ほんと疲れたわ~」
ミラたち一行はその場で休むことにした。
もちろん、警戒は怠れないから、そこはあまり疲れていないソーニャが魔法を使うらしい。
ソーニャが火の魔法を使い、空気中にオレンジ色の光が周囲に広がった。
「これは?」
ミラは不思議そうに空中を見回す。
ソーニャは答える。
「『サーモグラフィサーチ』っていう探索火魔法の応用。これで生き物の熱感知ができる」
ソーニャによると、この魔法は術中の魔力制御が繊細なため、自分自身が止まっていないと出来ないらしい。
「私も試しにやってみていいですか?」
ミラはその様子を見ながら、自分で魔法探索を試してみることにした。
「ん? じゃあ、一度魔法を解く」
魔法が解除されたことを確認し、ミラは得意の気弾から調合で使う気流操作を使って、空気をゆっくりかき混ぜる。
段々と空気の流れを遅くしていき、まるで手のひらに周囲の空間を掌握するような感覚が得られた。
木の細かな位置取りや風で揺れる草の動きまですべてだ。
範囲はあまり大きくないが、ミラは新たに探索魔法を手に入れた。
アリスがミラに声をかける。
「あなた、気弾を応用して探索魔法を使っているの? それって結構すごいことじゃない? しかも一度で成功させたなんて」
ミラは探索魔法を解く。この魔法を使いながら同時に会話は流石に無理だったからだ。
「とりあえず、周囲の動きは全て捉えられました。気弾は薬師の調合でも使うので操作に慣れていましたから。ただ集中しないとまだ操作が難しいですけれど」
「それでもよ。探索魔法って探索するものを絞らないと、莫大な情報を頭で処理する必要があるんだって。前にソーニャから聞いたわ。だから、この子は熱感知だけに絞っているのよ。けど、あなたは空気から伝わるすべての情報を脳で処理していることになるわよね。そんな事したら普通、頭がパンクするもの」
アリスの話にソーニャは相槌を打った。
「出来ているのがすごい」
「そうだったんですね……見たものを記憶できるのと、本を早く読めることが、なにか関係があるのかも知れません」
アリスとソーニャはミラの話に首を傾げた。
ミラは自分ができることについて少し説明した。ようするに、記憶力が良くて本を読むのが早いという説明をミラがした。
「ああ、なるほどね……できる理由がわかったわ」
アリスは納得した。ソーニャも満足そうな顔をする。
「理由がわかったのですか?」
「ええ、ようするにあなた、探索情報を処理せずに全部記憶しているのよ。処理に力を使わないから、探索情報で頭がパンクしなかったんだわ」
ソーニャは「探索魔法の裏技的な使い方」と呟いた。
「しかも、その処理能力も高そう」
アリスの説明にミラは納得した。
どうやら、ミラが使った探索魔法は、本来の探索魔法の使い方ではなかったらしい。
普通の人は、景色の全てを記憶して想起することなど出来ないから、必要な情報をピックアップして、異常がないかを確認している。
しかし、ミラは景色全てをそのまま記憶しているから、ピックアップする処理も、異常を判断する処理も、脳が意識的にする必要がないということである。ありのままの情報を脳が受け取っているからだ。
余計な処理が挟まれないからこそできる探索魔法だという。
アリスは、その魔法にはもっと別の使い方もできるのではないかと提案した。
「その使い方なら、生き物以外の探索もできるんじゃない?」
「生き物以外のですか?」
「例えば、捜し物とか、薬草採集なら薬草の場所(立地)特定とか、危険物の発見とか、かしら」
アリスは指折り、使えそうな方法を数えた。
ミラはふむふむと聞きながら、使い方を記憶していく。
アリスは見た目や態度に反して意外と柔軟な思考を持っていた。
「参考になります」
その話に隣で聞いていたメイもなぜかうなずいている。あまり魔法の難しい知識はないからなのか。
アリスはただし、と付け加えた。
「まあ、動きながらは出来ないし、探索中は無防備になるから、安全な場所を確保するか周囲にパーティのメンバーがいないと難しいだろうけど」
アリスはヴォルフを見て言った。タンク役の彼を何かあったときに盾にするという視線らしい。
「あ、たしかに……」
ミラは今回初めてのパーティでの討伐を経験した。周囲にメンバーが居ないと、探索中は無防備になってしまう。
例えば範囲外からの遠距離攻撃を受ければ、魔法を解除して迎撃する前に、自分が攻撃を受けて、下手すれば意識が落ちてしまう。ソロでそれは致命的だ。
とりあえず、ミラは新たに気弾の探索魔法を覚えたことに変わりはない。休憩中の周囲の警戒役割として引き受けることにした。回復役としての仕事とは別に、魔法の練習にもなるし、一石二鳥である。
そして、残りの魔物、ストーンゴーレムとライノバイソンの生息域に順に向かうことにした。
だが、状況はすぐに切迫した。
アリスは、弓を構えながら、叫んだ。
「話が全然違うじゃない!」
ヴォルフは、魔物のトレントに盾で突撃する。その姿は、全身から木の茂った木の化け魔物だった。
「なんで、こんなことになってるんだ!」
それを剣と杖を構えたメイとソーニャの2人が包囲した。
しかし、タンク役のヴォルフが魔物の手の一振りで後方に吹き飛んだ。そのため、前線が崩壊気味である。
ミラはさらにその後ろからいまの状況をうかがっていた。
その形状や攻撃スタイルから、ミラはある魔物の特徴と一致することに気づく。
「これ、リッチリーフ・トレントだわ!」
メイがミラの説明に思わず声を上げる。
「え! それってトレントの上位種か何かなの?」
生体器官が緑に輝き、大木の体内から大きい塊があるとすぐに分かるほどだった。
ミラは異常個体だと確信した。
「はい、というよりも最上位種の異常個体です。生体器官が普通よりも大きいみたいですし、攻撃方法も特殊です。文献ではランクBオーバーとだけ書かれていました」
アリスは驚愕した。
「そんな、Bランクの魔物となんて、いままで戦ったこともないわよ!」
ミラはヴォルフが吹き飛ばされ、アリスの放った矢が風の魔法であらぬ方向に飛んでいくのを見た。
その光景を見て、ミラは回復ポーションを持ってヴォルフに駆け寄り、飲ませる。
状況がかなりまずいことを察知するメンバーたち。
「この森のトレントはもともと物理攻撃に対抗する魔法を持っているのよ。その上位種で物理無効なんて、反則だわ」
アリスが吐き捨てる。
その声に、ソーニャが声をあげた。
「火の魔法を使ってみる」
だが、火の魔法は風の魔法で減衰し、周囲に散らされた。
火の攻撃を見たミラは、既視感を覚えた。
それもそのはずで、いまの風の回転に弾かれる様子は、ポーションの製造工程に似ていたのだ。不純物を外にはじき出すときの流れである。
じゃあ、『途中で溶液を足すときはどうしていたか?』というと、その風に穴を開けて道を作るのだ。
「あの、もう一度さっきの火の魔法、最大火力で打ってくれませんか?」
「いいけど、あの感じだと、また風に消されるけど?」
「はい、私も魔法を使います。そこに合わせてください」
「わかった」
それだけいうと、ソーニャがさっきよりも大きく火の魔法を放つ準備を整える。
ミラは、両手を前方にかざして、気弾を放つ。
風のカーテンに穴を開け、魔物に気弾が到達した。
気弾の通り道となったその隙間を狙うようにソーニャは火の魔法をコントロールして放った。
「はあっ!」
火が魔物に到達し、全身に燃え広がる。
「ガアアアっ!」
しかも、自身の風で覆われて、木々に火が燃え上がり、消える気配がない。
魔物が自分で使う風魔法によって、炎の牢獄と化したのである。
「やった」
ソーニャは初めて嬉しそうな表情を見せた。
ミラも狙い以上に火の魔法が効果的に機能したので、結果オーライだ。
止(とど)めとばかりに、ミラが気弾で、内部に空気の圧迫空間を作り出す。
火は多くの酸素を消費して、魔物を黒焦げにした。
「倒した、のね?」
ミラは木の魔物が燃え尽きたことに安堵した。
他のメンバーも地面に座り込んだ。
アリスは、死んだ魚のような目で燃え跡を見た。
「なんか疲れたわ……。なんでよ。どうしてこんなに異常個体だらけなのよ」
それにメイも同調する。
「アリスの意見に賛成。だって、いままでこんなことなかったんだもの」
ヴォルフのケガが回復したことを確認して、ミラは今後の方針を訪ねた。
「どうしますか? 異常個体が多く発生しているようですけど、森の異変なんでしょうか……」
ヴォルフは顎に手を当てて少し考え込んだ。
「どのみち、ギルドに戻っても調査はかなり遅れるだろうし、結果的に調査隊のような役目をこのパーティが果たしてしまっている。ここまで来たら、残りも一応確認しておこう」
「え~、一度帰ろうよ~」
メイは、駄々をこねる。
アリスは少し迷っているようだった。心配事があったのだろう。
「また異常個体が出てきたらどうする気なの?」
ソーニャもうなずいた。
「ん、このまま進むのは危険」
ヴォルフもその点は悩んでいた。しかし、中途半端な情報では、異常個体を倒したという結果だけが報告されるだけになる。
森の異常と確定させるためには、異常個体が他の場所でも出ていることをいち早くギルドに知らせたほうが良い。
現在、熟練冒険者はこういう調査に動けない状況にある。だから、どのみち、彼らしか調査できるメンツがいないのだ。
「慎重に進んで、状況だけでも把握したほうが良いと思う。なんていうか、手遅れにならないように」
ミラは深海クラゲのときのことを思い出してうなずいた。
「確かに……不正確な情報は、後で混乱を招くだけかも知れません」
あのとき、自分が危険だからと、街から逃げていたら、あの事件は解決できなかった。
「わかったよー。じゃあ、少し休憩してからね?」
「ほんと疲れたわ~」
ミラたち一行はその場で休むことにした。
もちろん、警戒は怠れないから、そこはあまり疲れていないソーニャが魔法を使うらしい。
ソーニャが火の魔法を使い、空気中にオレンジ色の光が周囲に広がった。
「これは?」
ミラは不思議そうに空中を見回す。
ソーニャは答える。
「『サーモグラフィサーチ』っていう探索火魔法の応用。これで生き物の熱感知ができる」
ソーニャによると、この魔法は術中の魔力制御が繊細なため、自分自身が止まっていないと出来ないらしい。
「私も試しにやってみていいですか?」
ミラはその様子を見ながら、自分で魔法探索を試してみることにした。
「ん? じゃあ、一度魔法を解く」
魔法が解除されたことを確認し、ミラは得意の気弾から調合で使う気流操作を使って、空気をゆっくりかき混ぜる。
段々と空気の流れを遅くしていき、まるで手のひらに周囲の空間を掌握するような感覚が得られた。
木の細かな位置取りや風で揺れる草の動きまですべてだ。
範囲はあまり大きくないが、ミラは新たに探索魔法を手に入れた。
アリスがミラに声をかける。
「あなた、気弾を応用して探索魔法を使っているの? それって結構すごいことじゃない? しかも一度で成功させたなんて」
ミラは探索魔法を解く。この魔法を使いながら同時に会話は流石に無理だったからだ。
「とりあえず、周囲の動きは全て捉えられました。気弾は薬師の調合でも使うので操作に慣れていましたから。ただ集中しないとまだ操作が難しいですけれど」
「それでもよ。探索魔法って探索するものを絞らないと、莫大な情報を頭で処理する必要があるんだって。前にソーニャから聞いたわ。だから、この子は熱感知だけに絞っているのよ。けど、あなたは空気から伝わるすべての情報を脳で処理していることになるわよね。そんな事したら普通、頭がパンクするもの」
アリスの話にソーニャは相槌を打った。
「出来ているのがすごい」
「そうだったんですね……見たものを記憶できるのと、本を早く読めることが、なにか関係があるのかも知れません」
アリスとソーニャはミラの話に首を傾げた。
ミラは自分ができることについて少し説明した。ようするに、記憶力が良くて本を読むのが早いという説明をミラがした。
「ああ、なるほどね……できる理由がわかったわ」
アリスは納得した。ソーニャも満足そうな顔をする。
「理由がわかったのですか?」
「ええ、ようするにあなた、探索情報を処理せずに全部記憶しているのよ。処理に力を使わないから、探索情報で頭がパンクしなかったんだわ」
ソーニャは「探索魔法の裏技的な使い方」と呟いた。
「しかも、その処理能力も高そう」
アリスの説明にミラは納得した。
どうやら、ミラが使った探索魔法は、本来の探索魔法の使い方ではなかったらしい。
普通の人は、景色の全てを記憶して想起することなど出来ないから、必要な情報をピックアップして、異常がないかを確認している。
しかし、ミラは景色全てをそのまま記憶しているから、ピックアップする処理も、異常を判断する処理も、脳が意識的にする必要がないということである。ありのままの情報を脳が受け取っているからだ。
余計な処理が挟まれないからこそできる探索魔法だという。
アリスは、その魔法にはもっと別の使い方もできるのではないかと提案した。
「その使い方なら、生き物以外の探索もできるんじゃない?」
「生き物以外のですか?」
「例えば、捜し物とか、薬草採集なら薬草の場所(立地)特定とか、危険物の発見とか、かしら」
アリスは指折り、使えそうな方法を数えた。
ミラはふむふむと聞きながら、使い方を記憶していく。
アリスは見た目や態度に反して意外と柔軟な思考を持っていた。
「参考になります」
その話に隣で聞いていたメイもなぜかうなずいている。あまり魔法の難しい知識はないからなのか。
アリスはただし、と付け加えた。
「まあ、動きながらは出来ないし、探索中は無防備になるから、安全な場所を確保するか周囲にパーティのメンバーがいないと難しいだろうけど」
アリスはヴォルフを見て言った。タンク役の彼を何かあったときに盾にするという視線らしい。
「あ、たしかに……」
ミラは今回初めてのパーティでの討伐を経験した。周囲にメンバーが居ないと、探索中は無防備になってしまう。
例えば範囲外からの遠距離攻撃を受ければ、魔法を解除して迎撃する前に、自分が攻撃を受けて、下手すれば意識が落ちてしまう。ソロでそれは致命的だ。
とりあえず、ミラは新たに気弾の探索魔法を覚えたことに変わりはない。休憩中の周囲の警戒役割として引き受けることにした。回復役としての仕事とは別に、魔法の練習にもなるし、一石二鳥である。
そして、残りの魔物、ストーンゴーレムとライノバイソンの生息域に順に向かうことにした。
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