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一人じゃない

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レオンの部屋を出るとスマホが鳴った。
BAR HARBORバー ハーバーのマスターからだ。

「もしもし、マスター?」

『葵か?例の物が手に入った。今別荘の近くまで来てるんだが出てこれるか?』

「わかった。すぐに行く。」

葵は電話を切ると別荘を出ていった。
湖の畔に居るとマスターがやってきた。

「よぅ。仕事の方はどうだ?」

「まぁまぁ・・かな。今の所問題ないよ。」

「そうか。これ、頼まれてたもんだ。」

手に持っていたアタッシュケースを開ける。
中には拳銃と銃弾が入っていた。
手に取るとずっしりとした重みがある。
デザートイーグルの44マグナム。
竜がいつも愛用していた拳銃だった。

「ありがとう。いい品ね。助かったわ。」

「この位お安いご用だ。葵の力になれて良かったよ。」

葵はガンホルダーを着けて拳銃をホルダーにしまった。

(竜。私に力を貸して・・。)

「マスター、いくら支払えばいい?」

「大丈夫だよ。藤堂さんから十分支払って頂いてるからね。」

「そうなんだ・・・。ありがとう。」

葵は目を伏せて言った。

「・・・葵、くれぐれも気を付けろよ?もっと自分を大事にするんだ。」

「えっ?」

「お前はもう一人なんかじゃない。お前を想ってる人間は沢山居る。」

「・・・。」

「藤堂さんから話は聞いた。」

「・・・。」

「お前が一人でいいなんて言ったって、俺達が一人になんかさせないから覚悟しとけよ!?」

「・・・ありがとう。」

葵は小さく呟いた。


 


********




「まだ連絡はないのか!?」

部下の二人から連絡が無いことに苛立ちながらシュヴェルツは言った。

「まだ何の連絡もありません。」

「どうせ、ヘタを打ったんだろう。使えない奴等だ!!もういい、我々で行くぞ!準備をしておけ!!」

そこへ一人の部下が慌て入ってきた。

「シュヴェルツ大将!大変です、アルミナの司法省が動き出したようです!!」

「なんだと!?どうして司法省が?」

「わかりません。ただ、我々の存在に行き着くのも時間の問題かと・・・。」

「ふん。その前にレオン王子を始末すれば良いことだろう。今夜にでも実行に移す!抵抗する者も容赦はするな!!いいな?」

「はっ。」

部下が部屋を後にする。

「司法省がなぜ・・・?まぁいい。日本で始末出来れば問題ない。後数時間の命だレオン王子。」

シュヴェルツはニヤリと笑った。




********




アルミナ国、司法省。
日本からの報告を受けてマークレガーには焦りの色が滲んでいた。

「シュヴェルツ部隊が!?レオン王子の暗殺をしようとしてるって事か!?」

「はい。六名が日本に入国しているとの事です。」

「六名・・。強制送還されるのは二人なんだよな?まだ、四人居るって事か。」

「今所在を調べてもらっていますが、まだ何も。」

「くそっ!時間がない、我々も直ぐに日本へ行くぞ!シュヴェルツ部隊の居所は引き続き調べさせろ!」

部下に指示を出すと車に乗り込んだ。

(頼む。間に合ってくれ!レオン・・・)

マークレガーは祈るような気持ちでハンドルを握った。
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