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対決【1】
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「駄目だっ!!そんな危険な事させられない!葵にもエリックにもっ!」
珍しく語気を荒げた。
「司。」
「そんな、本気でやり合うなんて・・。何かあったらどうするんだっ!」
「レインはカンの鋭い男よ。フリじゃ見破られる。結局居場所もわからない今、誘き出すにはこうするしかないのよ。」
「だけどっ!!」
「それに、これは私とエリックでケジメを着けないといけないの。誰かを巻き込んだり、ましてや命の危険に晒されるなんてあってはいけないことなのよ。そうでしょ?」
ずっとおし黙っているエリックを見る。
「・・・。本当にいいのか?」
「勿論。かつての相棒とその大切な人の為だもの。」
葵は優しく微笑んだ。
「司もいいよね?この信念だけは曲げられない。」
真っ直ぐに見つめる。
司はため息をつく
「わかった。但し、俺も行く。」
「・・・。わかった。ありがとう。」
2日後の23日。
葵は郊外の解体工事が中断されたビルの前に居た。
「・・・。」
空を見上げると満月だった。月明かりが優しい光を注いでいた。
葵は静かに廃ビルの中に姿を消した。
中に入ると瓦礫があちらこちらにある。
葵の足音だけが響く。
その時、葵の足元に銃弾が撃ち込まれた。
咄嗟に横に飛び瓦礫に身を隠す。
腰に着けたホルスターから拳銃を抜く。
二階に目を凝らすとエリックがライフルを構えているのが見えた。
「・・・。」
拳銃を構えると、そのまま横に飛び出しエリックに向けて発砲する。そのまま、反対側の瓦礫に身を隠すと二階へ続く階段の側だ。
息を整えて二階への階段を登ると、エリックの銃口が葵を捉えた。
葵も銃を構えると照準はエリックの眉間を捉えた。
「・・・。」
銃口を少し左に逸らすと発砲した。
エリックの頬を銃弾が掠めた。
咄嗟に見を低くするが身を隠す所はない。
一気に階段を駆け上がるが、エリックの銃弾が葵の左腕を掠める。
「っ・・・。」
階段から落ちそうになるが手摺に捕まる。尚も、エリックの銃弾が葵を狙う。
階段を駆け下りると、エリックに銃口を向けた。
「・・・。」
「・・・。」
お互いの銃が火をふいた。
エリックの銃弾が葵の胸を貫いた。その場に倒れ込むと葵の胸からは血が溢れた。
「ア・・オイ・・。」
エリックはライフルを下ろすと呆然と葵を見下ろした。
一方、司は人目のつかない場所に車を停めて待機していた。
廃ビルからは発砲音が聞こえてきていた。
「葵・・。」
その時、葵のスマホが鳴った。
「もしもし?・・・。あなたはっ!!」
電話を切ると、耳に着けていた無線で葵とエリックに話しかけた。
「司だっ!今、アレクから連絡があった!ソフィアさんを無事に保護したそうだ!だから、二人がやり合う必要はもう無いんだっ!だからやめてくれっ!!」
葵からもエリックからも返事がない。
「葵っ!エリックっ!返事してくれっ!?」
その瞬間、廃ビルから爆発音が轟いた。
司は車から飛び降りる。
「あおいーーーーーー!!!」
珍しく語気を荒げた。
「司。」
「そんな、本気でやり合うなんて・・。何かあったらどうするんだっ!」
「レインはカンの鋭い男よ。フリじゃ見破られる。結局居場所もわからない今、誘き出すにはこうするしかないのよ。」
「だけどっ!!」
「それに、これは私とエリックでケジメを着けないといけないの。誰かを巻き込んだり、ましてや命の危険に晒されるなんてあってはいけないことなのよ。そうでしょ?」
ずっとおし黙っているエリックを見る。
「・・・。本当にいいのか?」
「勿論。かつての相棒とその大切な人の為だもの。」
葵は優しく微笑んだ。
「司もいいよね?この信念だけは曲げられない。」
真っ直ぐに見つめる。
司はため息をつく
「わかった。但し、俺も行く。」
「・・・。わかった。ありがとう。」
2日後の23日。
葵は郊外の解体工事が中断されたビルの前に居た。
「・・・。」
空を見上げると満月だった。月明かりが優しい光を注いでいた。
葵は静かに廃ビルの中に姿を消した。
中に入ると瓦礫があちらこちらにある。
葵の足音だけが響く。
その時、葵の足元に銃弾が撃ち込まれた。
咄嗟に横に飛び瓦礫に身を隠す。
腰に着けたホルスターから拳銃を抜く。
二階に目を凝らすとエリックがライフルを構えているのが見えた。
「・・・。」
拳銃を構えると、そのまま横に飛び出しエリックに向けて発砲する。そのまま、反対側の瓦礫に身を隠すと二階へ続く階段の側だ。
息を整えて二階への階段を登ると、エリックの銃口が葵を捉えた。
葵も銃を構えると照準はエリックの眉間を捉えた。
「・・・。」
銃口を少し左に逸らすと発砲した。
エリックの頬を銃弾が掠めた。
咄嗟に見を低くするが身を隠す所はない。
一気に階段を駆け上がるが、エリックの銃弾が葵の左腕を掠める。
「っ・・・。」
階段から落ちそうになるが手摺に捕まる。尚も、エリックの銃弾が葵を狙う。
階段を駆け下りると、エリックに銃口を向けた。
「・・・。」
「・・・。」
お互いの銃が火をふいた。
エリックの銃弾が葵の胸を貫いた。その場に倒れ込むと葵の胸からは血が溢れた。
「ア・・オイ・・。」
エリックはライフルを下ろすと呆然と葵を見下ろした。
一方、司は人目のつかない場所に車を停めて待機していた。
廃ビルからは発砲音が聞こえてきていた。
「葵・・。」
その時、葵のスマホが鳴った。
「もしもし?・・・。あなたはっ!!」
電話を切ると、耳に着けていた無線で葵とエリックに話しかけた。
「司だっ!今、アレクから連絡があった!ソフィアさんを無事に保護したそうだ!だから、二人がやり合う必要はもう無いんだっ!だからやめてくれっ!!」
葵からもエリックからも返事がない。
「葵っ!エリックっ!返事してくれっ!?」
その瞬間、廃ビルから爆発音が轟いた。
司は車から飛び降りる。
「あおいーーーーーー!!!」
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