十年愛 〜私が愛した人はズルイ人でした。それでも愛するのを止められないのは私の罪ですか?〜

朔良

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春疾風23《はるはやて》

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『マサか?俺だけど例の男の素性が分かったぞ。』

「・・、一条建設の跡取り息子だろ?」

『何だ知ってたのか?』

「今日、会社に来たよ。」

『そうなのか!?《一条海斗》なかなかヤンチャしてるみたいだな?新宿界隈では少し有名らしい。気に入った女はどんな手を使っても自分のモノにするらしい。』

「そっか・・。」

『後は、今流行りの媚薬系の薬物の元締めをしてるらしい。なんでも、飲みやすいとか甘いとかいって随分と売れてるらしいぞ?』

「わかった。マスターありがとう。」

『あぁ、マサ余り無理するなよ?』

「わかってる・・。」

電話を切るとため息をつく。

(やっぱり、彼奴只者ではないと思ったけど・・、どうするかな?)

しばし、考え込むと更衣室へ向かった。




「久堂さん?そろそろ、でたいんですけど大丈夫ですか?」

「あぁ、大丈夫だよ?」

「・・・・、」

「どうかした?」

「やっぱり一人で大丈夫ですよ?久堂さんはただでさえ、忙しいのに。」

「・・如月さん?俺、そこは譲歩出来ないって言ったよね?俺の心配は大丈夫だ。だから、考えすぎないでくれ。お願いだ。」

「く、久堂・・さん・・。」

「さぁ、行こうか?」

「・・わかりました。お願いします。」

2人で久堂の車に乗る。
ナビに住所を入れると、ルート案内が始まる。
お互い気まずいのか会話もなく、あっという間に海斗の家に着く。
見上げたのは都心の高級タワーマンションだった。

「俺近くで待ってるから、何かあったらすぐ連絡して?」

「・・はい。」

久堂の車から降りると、改めてタワーマンションを見あげた。
恐らく、とんでもない値段なんだろうと思う。
深呼吸を一つすると玄関ホールへ向かった。




ピンポーン・・
海斗の部屋にインターフォンの音が鳴る。モニターを見ると美咲だった。

「あぁ、美咲?今開けるから入っておいで?」

優しい口調に一瞬戸惑う。

「はい。失礼します。」

何とか営業としての態度を保った。
そのまま、エレベーターに乗り海斗の部屋の階で降りる。
すぐに、部屋がわかりインターフォンを再度鳴らすと海斗が満面の笑みを浮かべながら部屋へ案内してくれた。

「・・・・、お忙しい中お時間頂きありがとうございます。」

「美咲に会えるなら、他の事なんて些末な事さ。」

「・・・・。」

「さあ、コーヒーを淹れたから飲んで?冷めないうちにね?」

リビングのソファーに案内される。
目の前には、先程海斗が出してくれたコーヒーがある。

「・・・・。」

何も言わずにコーヒーカップを見つめる。

「ははっ、また何か入ってると思ってる?」

美咲の様子を伺うように顔を見つめてきた。

「ヘーキだよ?」

そう言って目の前でコーヒーを飲んだ。

「・・・・、いただきます。」

美咲は、カップを手に取ると躊躇すること無くコーヒーを飲んだ。
そんな美咲を見て海斗が笑う。

「あはは!!ホント美咲のその気が強いところ好きだわ!!」

海斗は美咲の隣に座ると顔を覗き込んだ。
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