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狂い咲き7
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「んっ・・・まって~~はっ・・。」
咄嗟にトウジの胸を押し返そうとするが逆に手を取られてしまった。空いた手で美咲の腰を引き寄せた。
「もう、待てない。」
段々と深くなる口づけと花々の甘い香りに頭がクラクラして何も考えられなくなる。
視界に映るトウジの顔が滲んで見える。そのまま意識が遠退いていった。
力の抜けた美咲の身体を抱き上げる。
「ずっと一緒だ、サキ・・。」
もう一度触れるだけの口づけををする。
『これ以上はもう無理だ・・。一緒に逃げよう、俺達の事を知らない場所に。サキ・・ずっと一緒だ。』
『トウジさん・・。本当に良いのですか?貴方は次期当主になられる方です。そうすれば・・。』
『それ以上は言わないでくれ。次期当主だろうがサキの前では何の魅力も感じない。俺が欲しいのはお前だけだ。』
『トウジ・・さん、、、。』
『俺と一緒に生きてくれるか?生活は苦しくなるだろう、サキ・・君にも貧しい想いをさせてしまうかもしれない・・。』
『ふふっ、何言ってるんですか?私だってトウジさんと一緒にいれるだけで幸せです。』
『サキっ!!』
トウジに強く強く抱き締められた。
フッと目を覚ますと見慣れない天井だった。火の爆ぜる音か聞こえた。
身体を起こして辺りを見回す。
自分に掛けられていたのは質素な布団だったがお日様の匂いがした。
出入口の側には囲炉裏があり鍋がかけられている。どう見ても現代ではない。
何度も『そんな訳無い』と否定するが目の前の状況が物語っていた。
「・・・・。」
暫く、ボンヤリとしていると出入口の扉が開いた。戻ってきたのはトウジだった。
「あぁ、サキ目が覚めたんだね?」
「トウジ・・さん。」
布団のそばまで来ると美咲の顔を覗き込む。
「夕飯の準備をしてたんだ、こっちへおいで?」
手を取られて立ち上がると、まだ少し目眩がした。
「あっ・・。」
「サキ?大丈夫?」
トウジが美咲の身体を支えた。
「ごめんなさい、大丈夫ですから・・。」
距離を取ろうとするがトウジが強く肩を抱いた。
囲炉裏の前に座らせると隣に座り鍋の様子を見た。
「もう出来たみたいだ、サキ食べられそう?」
「あ、はい。大丈夫です。」
「・・・・、サキ?」
「?」
「ハハッ、そんなに緊張することは無い。今まで通りで良いんだ。」
今まで通りと言われても、それが解らないので困惑して黙ってしまう。
トウジは美咲の頬に手を伸ばすと優しく撫でた。
「サキ・・。」
優しく柔らかく名を呼ばれる。サキではないがそれが何故か嬉しくて愛おしくてたまらない気持ちになった。
美咲は感じ取っていた、自分の中に違う人格が居ることを・・。それが、きっと「サキ」なんだろうと・・。
「大丈夫。食べれるよ?」
そう言うと嬉しそうに鍋から御椀に注いでくれた物を渡される。
受取り中を見ると野菜が沢山入ったスープの様だった。
一口スープを飲むと、温かくてホッとした。
「美味しい・・・・。」
思わず出てしまった言葉を聞きトウジは嬉しそうだった。
「良かった、サキに気に入ってもらえて。沢山作ったから遠慮なく食べてね?」
「はい、ありがとうございます。」
「うん。」
いつの間にかに時が過ぎ、辺りは暗くなっていた。
咄嗟にトウジの胸を押し返そうとするが逆に手を取られてしまった。空いた手で美咲の腰を引き寄せた。
「もう、待てない。」
段々と深くなる口づけと花々の甘い香りに頭がクラクラして何も考えられなくなる。
視界に映るトウジの顔が滲んで見える。そのまま意識が遠退いていった。
力の抜けた美咲の身体を抱き上げる。
「ずっと一緒だ、サキ・・。」
もう一度触れるだけの口づけををする。
『これ以上はもう無理だ・・。一緒に逃げよう、俺達の事を知らない場所に。サキ・・ずっと一緒だ。』
『トウジさん・・。本当に良いのですか?貴方は次期当主になられる方です。そうすれば・・。』
『それ以上は言わないでくれ。次期当主だろうがサキの前では何の魅力も感じない。俺が欲しいのはお前だけだ。』
『トウジ・・さん、、、。』
『俺と一緒に生きてくれるか?生活は苦しくなるだろう、サキ・・君にも貧しい想いをさせてしまうかもしれない・・。』
『ふふっ、何言ってるんですか?私だってトウジさんと一緒にいれるだけで幸せです。』
『サキっ!!』
トウジに強く強く抱き締められた。
フッと目を覚ますと見慣れない天井だった。火の爆ぜる音か聞こえた。
身体を起こして辺りを見回す。
自分に掛けられていたのは質素な布団だったがお日様の匂いがした。
出入口の側には囲炉裏があり鍋がかけられている。どう見ても現代ではない。
何度も『そんな訳無い』と否定するが目の前の状況が物語っていた。
「・・・・。」
暫く、ボンヤリとしていると出入口の扉が開いた。戻ってきたのはトウジだった。
「あぁ、サキ目が覚めたんだね?」
「トウジ・・さん。」
布団のそばまで来ると美咲の顔を覗き込む。
「夕飯の準備をしてたんだ、こっちへおいで?」
手を取られて立ち上がると、まだ少し目眩がした。
「あっ・・。」
「サキ?大丈夫?」
トウジが美咲の身体を支えた。
「ごめんなさい、大丈夫ですから・・。」
距離を取ろうとするがトウジが強く肩を抱いた。
囲炉裏の前に座らせると隣に座り鍋の様子を見た。
「もう出来たみたいだ、サキ食べられそう?」
「あ、はい。大丈夫です。」
「・・・・、サキ?」
「?」
「ハハッ、そんなに緊張することは無い。今まで通りで良いんだ。」
今まで通りと言われても、それが解らないので困惑して黙ってしまう。
トウジは美咲の頬に手を伸ばすと優しく撫でた。
「サキ・・。」
優しく柔らかく名を呼ばれる。サキではないがそれが何故か嬉しくて愛おしくてたまらない気持ちになった。
美咲は感じ取っていた、自分の中に違う人格が居ることを・・。それが、きっと「サキ」なんだろうと・・。
「大丈夫。食べれるよ?」
そう言うと嬉しそうに鍋から御椀に注いでくれた物を渡される。
受取り中を見ると野菜が沢山入ったスープの様だった。
一口スープを飲むと、温かくてホッとした。
「美味しい・・・・。」
思わず出てしまった言葉を聞きトウジは嬉しそうだった。
「良かった、サキに気に入ってもらえて。沢山作ったから遠慮なく食べてね?」
「はい、ありがとうございます。」
「うん。」
いつの間にかに時が過ぎ、辺りは暗くなっていた。
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