十年愛 〜私が愛した人はズルイ人でした。それでも愛するのを止められないのは私の罪ですか?〜

朔良

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狂い咲き4

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暫く歩くと小さなログハウス調の建物がありそこからコーヒーの良い香りがした。

「ここだよ。」

お店のドアを開けながら言った。ドアベルが鳴ると店内から明るい声が聴こえた。

「いらっしゃいませ~。って、あら結城さん?ご無沙汰ねぇ。」

「おはよう、ママにマスター。最近忙しくてなかなか来れなくてね・・、この連休滞在する予定なんだ。」

「そうなの。あら?そちらのお嬢さんは?こんな美人さんと一緒なんて隅に置けないわね?」

「この子は俺の親友の娘さんだよ。今は俺が父親代わりって感じかな。」

「おはようございます。如月美咲って言います。」

「美咲ちゃんね?宜しくね?席は好きな所を使って?」

「ありがとうございます。」

二人で窓際の席に座りメニユーを見る。

「ママ、モーニングを2つお願いします。」

「はーい。ちょっと待っててね~。」

暫くするとテーブルにモーニングが運ばれてきた。

「うわー、美味しそうですね?頂きます!」

「ふふっ、どうぞ召し上がれ。」

結城と二人でゆったりとした朝の食事を済ます。
食事が終わると、マスターやママに声を掛けてカフェを後にした。

帰り道に今日はどうするか話した。

「今日、どうします?」

「そうだなぁ、ドライブも兼ねて黒部ダムにでも行ってみるかい?」

「あっ!良いですねっ!」

「後は何か気になる所があったら寄れば良いしな?」

「うん。」

足取りも軽やかに別荘に戻る。
結城の車に乗り込み、黒部ダムを目指して出発した。
まだ紅葉も残っていて美しい自然を感じた。約1時間程で目的地に着いた。
車を降りて、散策しながら他愛もない話をしてダムに着く。
広大なダムに圧倒された。そのまま、遊歩道や慰霊碑等を見て回った。
帰りに、遅いランチをとって別荘には夕方に着いた。

「はぁー、楽しかった。昴おじさん、ありがとうね?」

「うん?どうした急に。」

「・・・・、ううん、何となく。」

「そっか?」

「うん。」

言葉にしなくてもお互いの気持ちが解りあえて心が温かくなった。
その時結城の携帯が鳴る。

「悪い、クライアントからだ。」

「うん、大丈夫だよ?」

二階の部屋で電話に出た。
30分程でリビングに戻って来た。

「大丈夫ですか?何かトラブル?」

「ああ、顧問弁護士をしてる企業でトラブルがあったみたいなんだ・・。それで、悪いんだけど・・。」

「大丈夫だよ?昴おじさんは仕事優先して?」

「でも、一人にしてしまうし・・。」

「もー、私も大人なんだからお留守番位出来るよ?だから心配しないで行ってきて?」

「申し訳ない。なるべく早く戻る様にするから。」

「本当に私の事は気にしなくて大丈夫。帰り気を付けて下さいね?」

「ありがとう、この埋め合わせは必ずするから!」

結城はパソコンや荷物を持って車に乗り込んだ。

「気を付けてね?おじさん!」

「ああ、ありがとう。」

結城の車を静かに見送った。



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