185 / 221
忘却の楔35
しおりを挟む
帝都ホテルの駐車場に車を停める。一度目を瞑り大きく息を吐いた。
(よしっ!行こう。今の私の気持ちをちゃんと話すんだ!)
ロビーからエレベーターに乗り客室のドアの前まで来た。
チャイムを鳴らすと雅也がドアを開けてくれた。
「いらっしゃい。どうぞ?」
「お邪魔します。」
ソファーに腰掛けると向いに雅也が座った。譲の姿がなかった。
「あぁ、兄さんなら席を外してる。」
美咲の感情がわかっているかのように付け加えた。
「・・そうですか・・・・。」
「それで?話って?」
「私は・・雅也さんの元には戻れないです・・。」
「・・・・それは、どうしてか聞いても良い?」
「私達の関係は1年前に終わったんです・・。そして、お互いの道を歩き始めた。その間の時間を無しには出来ない。」
「他に好きな人でも出来た?」
「それは・・、今はそんな気持ちになれないです。」
「だったら!俺は長嶺の家も仕事も美咲のためなら捨てられる!あの時、美咲を信じられなかった償いをさせて欲しい。俺には君が必要なんだ!!」
「・・・・、ごめんなさい・・。」
美咲は誠心誠意頭を下げた。
「でも、駄目だよ?家からも仕事からも逃げちゃ。私が偉そうに言えた事ではないけど、それは違うと思う。」
「・・っつ・・・・。」
雅也は悔しそうに俯いてしまった。
「私は、雅也さんの事大好きで大切な人だった。だから、私のせいで自分が決めた事を違えないで欲しい。」
「・・だった・・か。美咲の中ではもう過去の事・・なんだな?俺との事は。」
「・・・・。」
「・・・・。」
二人の間に沈黙が落ちる。
「雅也さん?貴方には貴方のやるべき事が沢山あるじゃないですか?私はそんな雅也さんが好きです。いつも一生懸命で優しくて・・だから離れるんです。私の気持ち・・わかって下さい。」
「・・・・、わかった。美咲?ありがとう。俺は君に出会えて幸せだった。これからは、お互い信じた道を歩こう・・。」
「・・・・はい。」
一人になった部屋でため息をついた。
「雅也?」
戻って来た譲が雅也を気遣う様に声を掛けた。
「兄さん。俺、ニューヨークに戻るよ。美咲と約束したんだ自分の道を歩こうって。」
「・・・・。」
「兄さん?俺の為にありがとう。でも、俺本当にもう大丈夫だから一緒に帰ろう?」
「わかった。それが、お前たちの出した答えなら俺は何も言わない。」
「うん。」
(よしっ!行こう。今の私の気持ちをちゃんと話すんだ!)
ロビーからエレベーターに乗り客室のドアの前まで来た。
チャイムを鳴らすと雅也がドアを開けてくれた。
「いらっしゃい。どうぞ?」
「お邪魔します。」
ソファーに腰掛けると向いに雅也が座った。譲の姿がなかった。
「あぁ、兄さんなら席を外してる。」
美咲の感情がわかっているかのように付け加えた。
「・・そうですか・・・・。」
「それで?話って?」
「私は・・雅也さんの元には戻れないです・・。」
「・・・・それは、どうしてか聞いても良い?」
「私達の関係は1年前に終わったんです・・。そして、お互いの道を歩き始めた。その間の時間を無しには出来ない。」
「他に好きな人でも出来た?」
「それは・・、今はそんな気持ちになれないです。」
「だったら!俺は長嶺の家も仕事も美咲のためなら捨てられる!あの時、美咲を信じられなかった償いをさせて欲しい。俺には君が必要なんだ!!」
「・・・・、ごめんなさい・・。」
美咲は誠心誠意頭を下げた。
「でも、駄目だよ?家からも仕事からも逃げちゃ。私が偉そうに言えた事ではないけど、それは違うと思う。」
「・・っつ・・・・。」
雅也は悔しそうに俯いてしまった。
「私は、雅也さんの事大好きで大切な人だった。だから、私のせいで自分が決めた事を違えないで欲しい。」
「・・だった・・か。美咲の中ではもう過去の事・・なんだな?俺との事は。」
「・・・・。」
「・・・・。」
二人の間に沈黙が落ちる。
「雅也さん?貴方には貴方のやるべき事が沢山あるじゃないですか?私はそんな雅也さんが好きです。いつも一生懸命で優しくて・・だから離れるんです。私の気持ち・・わかって下さい。」
「・・・・、わかった。美咲?ありがとう。俺は君に出会えて幸せだった。これからは、お互い信じた道を歩こう・・。」
「・・・・はい。」
一人になった部屋でため息をついた。
「雅也?」
戻って来た譲が雅也を気遣う様に声を掛けた。
「兄さん。俺、ニューヨークに戻るよ。美咲と約束したんだ自分の道を歩こうって。」
「・・・・。」
「兄さん?俺の為にありがとう。でも、俺本当にもう大丈夫だから一緒に帰ろう?」
「わかった。それが、お前たちの出した答えなら俺は何も言わない。」
「うん。」
0
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説



アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。





ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる