十年愛 〜私が愛した人はズルイ人でした。それでも愛するのを止められないのは私の罪ですか?〜

朔良

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パーティー7

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「悪いけどもう少し挨拶に付き合ってもらえるかな?」

「ふふっ、大丈夫ですよ。」

「ありがとう、じゃ行こうか?」

そんな話をしていると後から声を掛けられた。

「結城先生?ご無沙汰しております。」

振り返ると30代後半位のスタイリッシュな男性が立っていた。

「あぁ、片桐さん。ご無沙汰しております。中原大臣は益々ご活躍の様だね?」

結城と挨拶をかわす。

「美咲、こちら中原外務大臣の秘書官を務めている片桐さんだ。」

「こんばんは。如月と申します宜しくお願い致します。」

片桐は美咲に視線を向けた。お互いに視線が合う。何となく冷たい感じがした。

「こんな美しい女性と同伴なんて結城先生も隅に置けませんね?」

「ははっ、私の自慢の娘みたいなものです。」

結城と片桐は暫く話をしていたので少し距離を取った。
会場を見回すと大分人が増えてきた。

(凄い人。人に酔いそう・・。)

「美咲。一人にして申し訳なかったね?何も無かったかい?」

結城が美咲の側に近付く。

「大丈夫ですよ。お話はもう終わったんですか?」

「あぁ、そろそろ挨拶が始まるみたいだからね。」

壇上を見ると、一人の中年の男性が登壇したところだった。

「始まるみたいですね?」

「うん。まぁ、挨拶だけだろうけどね?」

「そうなんですか?」

「あぁ、大体そんなもんだ。」

「ふぅ~ん。そうなんだ。」

会場の後方で挨拶を聴く。30分程すると、結城が言った通り党首の左澤は秘書官やSPを引き連れて会場を後にした。




✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻




「何であの薄汚い野良猫がここに居るのよっ!!」

結城が片桐と話をしている間席を外した美咲を見つめる悪意が籠もった視線があった。




「昴おじさん、私何だか人に酔ったみたいなのでテラスに行ってきても良いですか?」

「大丈夫かい?一緒に行こうか?」

「大丈夫です。外の空気にあたれば良くなると思うので。」

「わかった。俺はまだ挨拶があるから終わったらテラスに行くから。」

「わかりました。」

そう言うと結城と別れた。テラスに向かう途中懐かしい香りがした。長嶺がいつも付けていた香水の匂いだった。
慌てて辺りを見回す。

(まさか、居るわけ無いよね・・・・。)

気を取り直してテラスへ出て深呼吸をした。

(うん。少し楽になったかな?)

テラスにはテーブルと椅子が置いてあり中庭のイルミネーションが見れるようになっていた。
ひとまず、近くの椅子に座る。
ため息を吐くと辺りを見回した。

(長嶺さんと同じ香水付けてるなんて、他にも居るよね・・。)

ボンヤリと中庭のイルミネーションを眺めた。
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