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BIRTHDAY
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怒涛の年度末、3月が何とか終わり新年度を迎えていた。
今年度は、整備の人間しか新入社員が居なかった。
1年前の自分を思い出しながら満開の桜を見上げた。
(色んな事があった1年だったな・・・。)
桜を見上げている美咲の隣に久堂が立つ。
「如月さん?どうしたの?ぼんやりして。」
「久堂さん・・、今年度も頑張らないとなって思って・・。」
「それだけ?」
久堂を見上げると優しい笑みを浮かべていた。
「それだけ・・ですよ。」
美咲はチラリと隣の駐車場を見た。長嶺がいつも車を停めていた場所には他の車が停まっていた。
「・・・・・。」
「・・・、そういえば如月さん誕生日もうすぐだよね?」
「えっ?はい。良く知ってますね?」
「まぁ、如月さんの事ならね!」
「ふふっ、何ですかそれ。」
「今年は俺がお祝いしたいんだけど・・良いかな?」
「無理・・してないですか?」
「全然?」
久堂と美咲の関係は、有耶無耶の状態だった。
駄目だとわかっていても、久堂を拒絶出来ないでいた。
お互い、好意があるのは明らかだが久堂には家庭がある。美咲は久堂の家庭を壊してまで貫きたいとは思っていなかった。
しかし、だからといって拒むことも出来ないでいた。
「とりあえず、誕生日の夜は空けておいてね?」
悪戯っぽい笑顔を浮かべた。
「・・・わかりました。」
「うん。」
1年とりあえず無事に過ごし新たな新年度を迎えられて安堵していた。
と言っても、月が変われば、、年度が変われば全てがリセットされて0になる。
結局のところは、営業なんてそんなものだ。花形の職種だと思う人も多いかもしれないが、実際は地道な営業が実になる仕事だ。華やかでもなんでも無い。
春の少し暖かく清々しい風が美咲の頬を撫でる。
(とにかく、頑張らないとな・・。)
新しい年度、月になり改めて身を引き締めた。
4月5月と何とかやり過ごした。
新車の納車の準備の為に新車センターへ顔を出す。
ここでは、輸入された新車保管や顧客に売れた車両の納車前点検やアクセサリーの取り付け等をしている営業所だ。
今年、入社した新人のメカニックの子が1人配属されていた。
新車センターに顔を出すと、事務の女性と所長が居る。
「お疲れ様です。納車準備に来ました。」
「お疲れさん。車はもう上がってるよ?いつ納車の?」
新車センターの所長の柴崎が言う。
「柴崎さん。納車は金曜の午後なんです。土日に使いたいらしくて。」
「そっか?じゃあ、洗車が終わったら工場に入れておいていいよ?」
「ありがとうございます。」
奥の新車が置いてある所から車を引き出して、納車前の準備をする。
新車センターの角で洗車していると、新入社員の山田君が話しかける。
「如月さん、納車ですか?」
「うん。そうだよ。明日の午後だけどね。」
自分に後輩が出来たのがこそばゆくて、でもしっかりしないとって思った。
「この車山田くんがやってくれたんだ?ありがとね?」
「殆ど先輩がやったんだけどね?」
「ふふっ、早く一人で作業したいって感じだね?」
「それは、そうですよっ!」
「そっか?多分みんな見てくれてるから大丈夫だと思うよ?」
「そうですかね?」
「そうだよ!」
山田君は他の整備士に呼ばれてしまった。
美咲は洗車の続きをして終わらせた。
所長にお願いして、新車センターを後にした。
今年度は、整備の人間しか新入社員が居なかった。
1年前の自分を思い出しながら満開の桜を見上げた。
(色んな事があった1年だったな・・・。)
桜を見上げている美咲の隣に久堂が立つ。
「如月さん?どうしたの?ぼんやりして。」
「久堂さん・・、今年度も頑張らないとなって思って・・。」
「それだけ?」
久堂を見上げると優しい笑みを浮かべていた。
「それだけ・・ですよ。」
美咲はチラリと隣の駐車場を見た。長嶺がいつも車を停めていた場所には他の車が停まっていた。
「・・・・・。」
「・・・、そういえば如月さん誕生日もうすぐだよね?」
「えっ?はい。良く知ってますね?」
「まぁ、如月さんの事ならね!」
「ふふっ、何ですかそれ。」
「今年は俺がお祝いしたいんだけど・・良いかな?」
「無理・・してないですか?」
「全然?」
久堂と美咲の関係は、有耶無耶の状態だった。
駄目だとわかっていても、久堂を拒絶出来ないでいた。
お互い、好意があるのは明らかだが久堂には家庭がある。美咲は久堂の家庭を壊してまで貫きたいとは思っていなかった。
しかし、だからといって拒むことも出来ないでいた。
「とりあえず、誕生日の夜は空けておいてね?」
悪戯っぽい笑顔を浮かべた。
「・・・わかりました。」
「うん。」
1年とりあえず無事に過ごし新たな新年度を迎えられて安堵していた。
と言っても、月が変われば、、年度が変われば全てがリセットされて0になる。
結局のところは、営業なんてそんなものだ。花形の職種だと思う人も多いかもしれないが、実際は地道な営業が実になる仕事だ。華やかでもなんでも無い。
春の少し暖かく清々しい風が美咲の頬を撫でる。
(とにかく、頑張らないとな・・。)
新しい年度、月になり改めて身を引き締めた。
4月5月と何とかやり過ごした。
新車の納車の準備の為に新車センターへ顔を出す。
ここでは、輸入された新車保管や顧客に売れた車両の納車前点検やアクセサリーの取り付け等をしている営業所だ。
今年、入社した新人のメカニックの子が1人配属されていた。
新車センターに顔を出すと、事務の女性と所長が居る。
「お疲れ様です。納車準備に来ました。」
「お疲れさん。車はもう上がってるよ?いつ納車の?」
新車センターの所長の柴崎が言う。
「柴崎さん。納車は金曜の午後なんです。土日に使いたいらしくて。」
「そっか?じゃあ、洗車が終わったら工場に入れておいていいよ?」
「ありがとうございます。」
奥の新車が置いてある所から車を引き出して、納車前の準備をする。
新車センターの角で洗車していると、新入社員の山田君が話しかける。
「如月さん、納車ですか?」
「うん。そうだよ。明日の午後だけどね。」
自分に後輩が出来たのがこそばゆくて、でもしっかりしないとって思った。
「この車山田くんがやってくれたんだ?ありがとね?」
「殆ど先輩がやったんだけどね?」
「ふふっ、早く一人で作業したいって感じだね?」
「それは、そうですよっ!」
「そっか?多分みんな見てくれてるから大丈夫だと思うよ?」
「そうですかね?」
「そうだよ!」
山田君は他の整備士に呼ばれてしまった。
美咲は洗車の続きをして終わらせた。
所長にお願いして、新車センターを後にした。
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