十年愛 〜私が愛した人はズルイ人でした。それでも愛するのを止められないのは私の罪ですか?〜

朔良

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葛藤6

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「何か飲む?」

「あ、はい。少し喉が乾いたのでお水頂けますか?」

「だったら、スポーツドリンクがあるから飲んだほうが良いね。」

冷蔵庫からスポーツドリンクとコップを持って戻ってきた。

「起きれる?」

「はい。」

久堂が背中を支えながら起き上がる。まだ、熱が高いせいか少し目眩がした。

「如月さん?大丈夫?」

「はい、ありがとうございます。」

久堂からコップを受け取るとスポーツドリンクを飲んだ。乾いていた身体に染み渡る。お陰で一息つけた。

「先生はいつ頃来たんですか?何となく先生と話したのは覚えてますけど・・。」

「9時前ぐらいかな?」

「そうなんですか。今の時期は一番忙しいのに、申しわけなかったかな。」

「そんな事無いと思うよ?如月さんのこと凄く心配してた。」

「・・・そう・・ですか?」

「うん。」

「ふふっ、皆過保護だから・・。」

美咲はクスリと笑った。

「過保護なんかじゃないよ!皆、如月さんの事が大切なんだよ!?だから、そんな風に思わないで?」

「・・・・。」

美咲は静かに笑った。

「もう一度寝た方がいい。今は余計なことは考えないでユックリ休んで?」

久堂にソッと押し倒され、布団を掛けてくれた。
氷水の中のタオルを絞り額に乗せた。
タオルが気持ち良くて目を閉じた。
夜の12時頃に美園が帰ってきた。

「久堂さん、美咲どうです?」

「あ、今は眠ってます。少し前に起きたのでスポーツドリンクを飲んでましたけど。」

美園は美咲のそばに来て顔を見つめた。

「・・・・・。」

「そうですか。水分が取れてれば少し安心です。」

ベッドの近くにバッグを置いた。

「後は俺が付いてますから、久堂さんはもう大丈夫ですよ?」

「・・はい。」

暫く美咲の顔を見てスーツの上着を着た。

「また、明日来ても大丈夫ですか?」

一瞬美園は美咲の顔を見た

「大丈夫ですよ。」

「わかりました。また明日来ます。」

「わかりました。」

後ろ髪を引かれるように部屋を後にした。自分の車に乗込むとため息をついた。

(・・・・、結局おれのしてることって・・。)

嫌な考えが頭をよぎる。




✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻




一方、久堂が去った部屋には美園と美咲だけだった。
寝ているはずの美咲に声を掛けた。

「こらっ、美咲?本当は起きてるんだろ?」

額のタオルを取りながら言った。

「やっぱり、バレてました?」

「まぁ、普通の人なら騙せるだろうけどな?」

「せんせぇにはきかないか・・。」

「まぁな。で、どうなんだ?とりあえず熱計れ?」

体温計を受け取る。

「うーん、まだ全然駄目かな?」

「そうか・・。」

体温計のアラームが鳴る。見てみると、まだ40℃熱があった。美園は体温計を見るとバッグの中から薬を出した。

「とりあえず、抗生剤と鎮痛剤飲んでおけ?」

コップに水を入れてくれた。

「はぁーい。」

薬を飲むと一息ついた。

「せんせぇ、忙しいのにごめんね?」

「まぁ、俺は美咲の主治医だからな?遠慮なんかするなよ。」

「ふふっ、ありがとう。」

「薬も飲んだし、今日の所はとりあえず寝ろ!!今はそれが第一だ。」

「わかりました。」

ベッドに横になると美園を見上げた。

「ありがとね、先生。」

「いいから眠れ?元気な顔を見せてくれるのが一番だからな?」

美園は、美咲の髪を撫でながら優しい笑みを浮かべた。
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