十年愛 〜私が愛した人はズルイ人でした。それでも愛するのを止められないのは私の罪ですか?〜

朔良

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変わりゆく関係14

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月も変わり、新たな目標を目指して他の営業は動いていたが美咲だけは違った。
中田からのメール攻撃が再開していた。朝から中田のメールを見て頭を抱えた。
とりあえず、ノートパソコンを閉じて現実逃避した。全体朝礼前、美咲は会社の敷地の角に座り込んでぼんやりしていた。
すると、作業の為車を動かしに来た中垣に見つかってしまった。

「なんだ、如月か?ビックリした。こんな所で何してんだ?」

「中垣君・・。」

美咲の顔を覗き込んだ中垣は美咲の前にしゃがみ込んだ。

「如月?どうした??お前・・眼が死んでるぞ?」

「えっ?そんな事・・。」

「あるだろ!?何かあったか?」

心配そうにする中垣を見て、美咲は笑顔を向けた。

「やだなぁ?そんな事無いって!ほら、朝礼始まるよ?」

そう言うと中垣の脇をすり抜けていった。そんな美咲の後ろ姿を何も言わずに見送った。
朝礼も終わり、各自自分の仕事をこなす。美咲もノートパソコンを開くとメールの画面が開いたままだった。
中田は電話や直接会ったりすると然程何も言わないが、メールになると全然違った。
つらつらと車に関しての事を送ってくる。しかも、例のサイトの情報が殆だ。
何度も『サイトの情報を鵜呑みにしないでくれ』と言っても無駄だった。
サイトの情報が全て間違えている訳では無いが、どこからそんな話が出てきたのか?って程の情報もある。明らかに悪意を持って書き込まれた情報もポツポツとあった。
しかも、回答はメールでとの事もありなかなか説明しづらかった。

(やっぱり、登録しない方が良かったんじゃ?このままだといつ納車出来るかわからないな・・。)

画面を眺めながら上の空だった。

「・・さん?如月さん?」

「えっ?」

気が付くと久堂が後ろに立っていた。

「あ、久堂さん。何でしょうか?」

「・・ちょっとこっち来て?」

久堂の後を付いていくと、休憩室だった。二人で部屋に入ると久堂はドアを締めた。

「さっき、中垣君が言ってきたんだけど・・何かあった?」

「えっ?・・・。」

「如月さん?一人で何でもやろうとしないで?その為に上司や同僚が居るんだから。そういう人達を最大限利用しないと。勿論、俺のこともね?」

「久堂さん・・・。」

美咲は心を決めて中田の事を相談した。

「そっか。そんな事になってたんだね?ごめん。気が付いてあげられなくて・・。順調だと思ってたからさ。」

「久堂さんが謝らないで下さい。私がいけないんです。久堂さんに報告しなかった事も、中田さんの対応も・・。」

「そんな事無いよ?如月さんの気持ちはわかってるから。自分の顧客の事で他の皆の仕事の邪魔をしたくなかったんだよね?」

「・・・・。」

「優しいね??わかった、とりあえずお客さんの所には俺も一緒に行くよ。」

「ありがとうございます。すみません・・・。久堂さん忙しいのに。」

「全然大丈夫だよ?だから気にしないで?ひとまず、中田さんにアポ取っておいて?いつでも良いから。」

「わかりました。」

「うん。如月さんが元気無いと心配だから。」

「久堂さん・・。」

「じゃあ、アポだけよろしくね?」

「はい、わかりました。」

二人で休憩室から出ると早速中田にアポのメールを送った。

(後は返事を待つだけだな。)

久堂に話した事で大分気が楽になった。
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