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最期の別れ
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結城と久堂が帰った後、テーブルの上を片付けベランダに出る。
夏が過ぎ秋の匂いがした。
胸いっぱいに空気を吸い込んで深呼吸をした。
「・・・・・。」
翌日の月曜日、美咲は長嶺に電話をした。
「長嶺さん?今大丈夫ですか?」
『うん・・。』
「話があるのですが、これから時間ありますか?」
『わかった。17時頃美咲のマンションに行くよ。』
「・・・・。わかりました。」
お互い気まずいまま電話を切る。
美咲は大きなため息を吐いた。
(これで終わりか・・・・。)
空を見上げると何処までも高い青空が広がっていた。
その空に向かって手を伸ばす、何かを掴むように手を握る。
(お父さん、お母さん、これで良いんだよね?お互いに住む世界が違った。ただそれだけだよね・・・・?)
長嶺の事を思い出すと涙が溢れた。
こんなに好きになった人は居なかった。愛してくれた人も。でも、人生なんて上手く行かない。
「分不相応な相手だったって事だよね?」
ベランダから室内に入ると、一陣の風が吹き抜けた。
美咲の部屋のインターホンが鳴る。
「どうぞ?」
ドアを開けると長嶺が気まずそうに立っていた。
長嶺を室内に招くと淹れておいたコーヒーを出す。
重い沈黙が二人を包むが、その沈黙を破ったのは美咲だった。
「長嶺さん?お父様とお母様から話は聞きました。長嶺さんも聞いてますか?」
「・・・・・ああ。」
美咲は視線を落とした。
「そう・・ですか。」
「・・・・・。」
長嶺は美咲に縋り付いた。
「うそ・・だよな?金で動いたなんてっ?」
「・・・・・。」
「坂巻に動画を見せられたんだ!!あんなのっ!嘘だよな。嘘って言ってくれっ!!」
「・・・・。動画?・・・・・見ての通りですよ?」
「うそだっ!!金で俺を諦めたって事かっ?俺より金を・・選んだ・・のか?」
「・・・・。100億。私に払ってでも長嶺さんを必要としてるんだよ?ご両親は。」
「あいつらは、金で何でも解決するしか脳が無いんだ!!」
「長嶺さんは、その動画を見てどう思ったの?」
「・・・・信じられなかった。」
「でも、・・・・それが現実だよ?」
「・・・・・。」
「もともと、私と長嶺さんじゃ住む世界がが違ったんだよ!私には勿体ない位の人だったの。」
「そんな事無いっ!!」
美咲の手首を掴むと引き寄せ抱きしめた。
「美咲はここに居るのに?諦めろって?そんなの出来る訳無いっ!」
身体を離すと美咲を見つめる。でも、視線を合わせてくれない。
「美咲?俺を見て?」
それでも視線を合わせようとしない。
「もう、終ったの・・。私は貴方よりお金を取った。」
「うそだっ!!じゃあ、俺の顔を見て言ってくれ?」
思わず美咲の腕を握る手に力が入る。
「何度同じ事を聞かれても答えは一緒。だから・・、私を恨んでくれていいよ?」
「・・・・・。」
美咲の手を離し、フラフラと玄関に向うその後ろ姿に
「さようなら、・・・・愛してた。」
呟くが、最後まで聞くことなく長嶺は部屋を出ていった。
まるで二人を隔てる様に扉が閉まる。
美咲は拳を握り締めた。
「ごめんなさい。ごめんなさい。」
頬を涙がつたう。
「私に泣く権利なんてないっ。」
後から後から溢れる涙を拭った。
夏が過ぎ秋の匂いがした。
胸いっぱいに空気を吸い込んで深呼吸をした。
「・・・・・。」
翌日の月曜日、美咲は長嶺に電話をした。
「長嶺さん?今大丈夫ですか?」
『うん・・。』
「話があるのですが、これから時間ありますか?」
『わかった。17時頃美咲のマンションに行くよ。』
「・・・・。わかりました。」
お互い気まずいまま電話を切る。
美咲は大きなため息を吐いた。
(これで終わりか・・・・。)
空を見上げると何処までも高い青空が広がっていた。
その空に向かって手を伸ばす、何かを掴むように手を握る。
(お父さん、お母さん、これで良いんだよね?お互いに住む世界が違った。ただそれだけだよね・・・・?)
長嶺の事を思い出すと涙が溢れた。
こんなに好きになった人は居なかった。愛してくれた人も。でも、人生なんて上手く行かない。
「分不相応な相手だったって事だよね?」
ベランダから室内に入ると、一陣の風が吹き抜けた。
美咲の部屋のインターホンが鳴る。
「どうぞ?」
ドアを開けると長嶺が気まずそうに立っていた。
長嶺を室内に招くと淹れておいたコーヒーを出す。
重い沈黙が二人を包むが、その沈黙を破ったのは美咲だった。
「長嶺さん?お父様とお母様から話は聞きました。長嶺さんも聞いてますか?」
「・・・・・ああ。」
美咲は視線を落とした。
「そう・・ですか。」
「・・・・・。」
長嶺は美咲に縋り付いた。
「うそ・・だよな?金で動いたなんてっ?」
「・・・・・。」
「坂巻に動画を見せられたんだ!!あんなのっ!嘘だよな。嘘って言ってくれっ!!」
「・・・・。動画?・・・・・見ての通りですよ?」
「うそだっ!!金で俺を諦めたって事かっ?俺より金を・・選んだ・・のか?」
「・・・・。100億。私に払ってでも長嶺さんを必要としてるんだよ?ご両親は。」
「あいつらは、金で何でも解決するしか脳が無いんだ!!」
「長嶺さんは、その動画を見てどう思ったの?」
「・・・・信じられなかった。」
「でも、・・・・それが現実だよ?」
「・・・・・。」
「もともと、私と長嶺さんじゃ住む世界がが違ったんだよ!私には勿体ない位の人だったの。」
「そんな事無いっ!!」
美咲の手首を掴むと引き寄せ抱きしめた。
「美咲はここに居るのに?諦めろって?そんなの出来る訳無いっ!」
身体を離すと美咲を見つめる。でも、視線を合わせてくれない。
「美咲?俺を見て?」
それでも視線を合わせようとしない。
「もう、終ったの・・。私は貴方よりお金を取った。」
「うそだっ!!じゃあ、俺の顔を見て言ってくれ?」
思わず美咲の腕を握る手に力が入る。
「何度同じ事を聞かれても答えは一緒。だから・・、私を恨んでくれていいよ?」
「・・・・・。」
美咲の手を離し、フラフラと玄関に向うその後ろ姿に
「さようなら、・・・・愛してた。」
呟くが、最後まで聞くことなく長嶺は部屋を出ていった。
まるで二人を隔てる様に扉が閉まる。
美咲は拳を握り締めた。
「ごめんなさい。ごめんなさい。」
頬を涙がつたう。
「私に泣く権利なんてないっ。」
後から後から溢れる涙を拭った。
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