十年愛 〜私が愛した人はズルイ人でした。それでも愛するのを止められないのは私の罪ですか?〜

朔良

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同期

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「今日はもう帰っても良いよ?」

夢中でカタログに目を通していた。気が付くと17時過ぎだった。

「あっ、はい。」

「まぁ、これから時間はたっぷりあるから気長にね!」

久堂さんはイタズラっぽい笑顔を浮かべていた。

帰り支度をして、残っている社員に挨拶する。

「お先に失礼します。お疲れ様でした。」

「おお、おつかれー。」
「お疲れ様。」
「また明日ねー。」

口々に挨拶をしてくれた。チラリと久堂さんを見ると笑顔で
「お疲れ様。」
と言ってくれた。



自分の車は近くの社員用駐車場に停めていた。

「如月!」

後ろから声を掛けられ振り向くと中垣君達同期のメンバーが居た。

「お疲れ様。中垣君達ももう上がり?」

「そう。それより如月これから暇?」

「えっ?うん。帰るだけだけど?」

「じゃあ、同期のメンバーで飯でも食べに行かない?」

「良いね!行こうか?」





✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻




会社近くのファミレスに5人で入店する。
適当に座ると隣の席に中垣君が座ってきた。
それぞれメニューを見て注文をするとドリンクバーで飲み物を持ってきた。

アイスカフェオレを飲みながら皆に質問する。

「皆は今日は何してたの?」

「ああ、自己紹介とかして簡単な説明してもらって終わりかな?」

中垣君が答える。

「そうなんだ。じゃあ、こっちと変わらないね?」

「如月は一人だから大変だろ?」

「うん。でも、営業なんて結局一人だし。沢山覚えることがあるけどね。」

「そっか。」

そんな、他愛もない話をしていると注文した料理が運ばれてきた。
新しい出合いに少し心が弾んだ。

食事も終わり、皆と別れて自分の車に乗り込む。
一息つくと車を走らせた、10分程でマンションの駐車場に車を停める。
5階の一部屋に入ると真っ暗な室内の電気をつけた。
そのまま、荷物を置くとベッドに横になった。

「取り敢えず、入社式無事に終わって良かった。皆、良い人そうだし。・・・・久堂さん・・か。」

目を閉じると、あの人懐っこい笑顔を思い出す。鼓動がトクトクと走り出す。

「いやいや、何考えてんのっ!とにかく、今は仕事を覚える事!!」

起き上がると自分の頬を叩く。

「明日も仕事だしお風呂にでも入ってこようっと。」
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