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第172回『商店街 領収書 ショッピングモール』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第172回『商店街 領収書 ショッピングモール』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約46分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=KQ43t99WBzk
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
その商店街からお客が目に見えて減り始めていた。
原因は間違いなく近くにできた大型のショッピングモールだ。
そこには食べ物から日用品までいろんな店が入っていて、おまけに品ぞろえはどこも豊富でおしゃれときていた。
店構えは古く、店に並ぶ品物も昔から変わらない商店街とは雲泥の差だ。
だからお客さんはみんなそっちに流れて行ってしまったというわけだ。
困った商店街の店主たちは組合会議を開いた。
組合会長は口を開いた。
「みなさんはあのショッピングモールに行ったことはありますか?」
しかし言ったことのある者は一人もいなかった。
「戦うにはまずは敵を知ること。みなさん、次回の会議までにショッピングモールに行ってなにか買い物をしてきてください。」
出席していた店主から質問が挙がった。
「敵情視察っていうんなら、買う必要はないんじゃないんですか?」
「そうですよ。わざわざ相手を儲けさせる必要なんてないですよ。」
他の店主たちもうなずく中、会長はかぶりを振った。
「いいえ。購入する際にもどんなサービスがあるかわからないじゃないですか。行って選んで買い物をする。こうして初めてお客さんの気持ちがわかるんです。」
店主たちはわかったようなわからないような顔を浮かべていた。
「お金のことなら気にしないでください。経費とし
その日はそれで解散することになった。て組合費から出しますよ。だから領収書は必ずもらってきてください。」
1か月後、再び組合会議が開かれた。
「どうですか、みなさん。ショッピングモールで買い物をしてきましたか。」
組合会長が尋ねると、店主たちは笑顔で答えた。
「はい。私は食品屋さんに行って、すき焼きの具材一式を買いました。」
「私はスポーツ用品店に行って、ゴルフクラブを買いました。」
「私は洋服屋に行って、夏物の服を買いました。」
店主たちは次々と報告して、買った物を満足げに見せびらかした。
どれも大変いいものばかりだ。
驚いたのは組合会長だった。
確かに経費として落とすとは言ったが、それはみんなが値段の安い物を買ってくれるものと期待していたからだ。
「困りましたねえ。これでは、組合費がいくらあっても足りませんよ。」
すると、目を輝かせながら店主たちはいっせいに会長に笑顔を向けた。
「会長、組合費のことは気にしないでください。」
「私たちはさっき相談したんです。」
「これらは経費じゃなく、自分のお金で買おうって。」
それを聞いて会長は目を丸くした。
「そうしてくれると助かりますが、それで本当にいいんですか?」
ショッピングモールで買い物をしてみようと提案したのは自分なので、会長は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「いいんですよ。だってこれ前から欲しかったものだし。」
「ええ。私のはこの商店街には売ってないものですし。」
「商店街ではやってないセールで安く買えましたし。」
「商店街じゃ使えない電子マネーが使えて、貯まっていたポイントも消化できましたし。」
「子供を連れて行ったら大はしゃぎで、いい家族サービスができましたし。」
店主たちは口をそろえて言った。
「だから自分のお金で買います!」
そう言って店主たちは領収書を高々と上げてびりびりに破き始めた。
組合会議には一面領収書の紙切れが舞い、それは桜の花びらのようだった。
「これは完敗だね、」
組合会長は頭をかいて苦笑した。
「ショッピングモールに。」
まもなく商店街のお店は軒並みつぶれた。
~・~・~・~・~
~感想~
お題が奇跡的に関連性のあるものだったので、だからこそちゃんとオチを作らねばと思いました。
なので商店街とショッピングモールを素直に対比させ、領収書がキーワードになる話にしました。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第172回『商店街 領収書 ショッピングモール』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約46分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=KQ43t99WBzk
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
その商店街からお客が目に見えて減り始めていた。
原因は間違いなく近くにできた大型のショッピングモールだ。
そこには食べ物から日用品までいろんな店が入っていて、おまけに品ぞろえはどこも豊富でおしゃれときていた。
店構えは古く、店に並ぶ品物も昔から変わらない商店街とは雲泥の差だ。
だからお客さんはみんなそっちに流れて行ってしまったというわけだ。
困った商店街の店主たちは組合会議を開いた。
組合会長は口を開いた。
「みなさんはあのショッピングモールに行ったことはありますか?」
しかし言ったことのある者は一人もいなかった。
「戦うにはまずは敵を知ること。みなさん、次回の会議までにショッピングモールに行ってなにか買い物をしてきてください。」
出席していた店主から質問が挙がった。
「敵情視察っていうんなら、買う必要はないんじゃないんですか?」
「そうですよ。わざわざ相手を儲けさせる必要なんてないですよ。」
他の店主たちもうなずく中、会長はかぶりを振った。
「いいえ。購入する際にもどんなサービスがあるかわからないじゃないですか。行って選んで買い物をする。こうして初めてお客さんの気持ちがわかるんです。」
店主たちはわかったようなわからないような顔を浮かべていた。
「お金のことなら気にしないでください。経費とし
その日はそれで解散することになった。て組合費から出しますよ。だから領収書は必ずもらってきてください。」
1か月後、再び組合会議が開かれた。
「どうですか、みなさん。ショッピングモールで買い物をしてきましたか。」
組合会長が尋ねると、店主たちは笑顔で答えた。
「はい。私は食品屋さんに行って、すき焼きの具材一式を買いました。」
「私はスポーツ用品店に行って、ゴルフクラブを買いました。」
「私は洋服屋に行って、夏物の服を買いました。」
店主たちは次々と報告して、買った物を満足げに見せびらかした。
どれも大変いいものばかりだ。
驚いたのは組合会長だった。
確かに経費として落とすとは言ったが、それはみんなが値段の安い物を買ってくれるものと期待していたからだ。
「困りましたねえ。これでは、組合費がいくらあっても足りませんよ。」
すると、目を輝かせながら店主たちはいっせいに会長に笑顔を向けた。
「会長、組合費のことは気にしないでください。」
「私たちはさっき相談したんです。」
「これらは経費じゃなく、自分のお金で買おうって。」
それを聞いて会長は目を丸くした。
「そうしてくれると助かりますが、それで本当にいいんですか?」
ショッピングモールで買い物をしてみようと提案したのは自分なので、会長は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
「いいんですよ。だってこれ前から欲しかったものだし。」
「ええ。私のはこの商店街には売ってないものですし。」
「商店街ではやってないセールで安く買えましたし。」
「商店街じゃ使えない電子マネーが使えて、貯まっていたポイントも消化できましたし。」
「子供を連れて行ったら大はしゃぎで、いい家族サービスができましたし。」
店主たちは口をそろえて言った。
「だから自分のお金で買います!」
そう言って店主たちは領収書を高々と上げてびりびりに破き始めた。
組合会議には一面領収書の紙切れが舞い、それは桜の花びらのようだった。
「これは完敗だね、」
組合会長は頭をかいて苦笑した。
「ショッピングモールに。」
まもなく商店街のお店は軒並みつぶれた。
~・~・~・~・~
~感想~
お題が奇跡的に関連性のあるものだったので、だからこそちゃんとオチを作らねばと思いました。
なので商店街とショッピングモールを素直に対比させ、領収書がキーワードになる話にしました。
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