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第142回『ぶっ飛ばす 諸行無常 ショートカット』

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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第142回『ぶっ飛ばす 諸行無常 ショートカット』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約47分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=77ZhhwlPzA8

↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/

~・~・~・~・~

車の中に積んであるのはロープ。
俺は自ら死ぬことを考えていた。
死ぬなら森の中で首を吊るのがいいと思った。
それも誰にも、少なくとも数年は見つからないような森の奥で。
そうすれば俺の体は朽ちて森の生き物のエサとなり、跡形も残らなくなるだろう。
世の中というのはなのだ。

死を選ぶのに特段の理由があるわけではなかった。
しいて言えば生きる理由が見当たらなかったのだ。
毎朝起きて、支度して、会社に行って、仕事して、帰って眠る毎日。
休日はその疲れを取るのに精いっぱいだ──もっともそれで完全に取れているわけではないが。
ストレスがたまっているのだろうが、どうすれば発散できるのかもわからない。
趣味があるわけではないし、温泉に行ったりスポーツをしたこともあったが、何も変わらなかった。
ただふつふつと、死について考える毎日が続いていたのだ。
それでたどり着いた死に方がこれだったのだ。
この死に方を思いついたときは少しうれしかったくらいだ。

案外俺はについて考えるのが趣味だったりして、そんなことも考えながら俺は峠道を運転していた。
横目には広大な森が広がっていた。
夜の森は絵の具のように黒々としていた。
すると突如大きくクラクションを鳴らす音が響いた。
ルームミラーには後続車のヘッドライトがぎらりと小刻みに揺れていた。
確かに俺は森への入り方を考えているうちに車のスピードは遅くなっていたのかもしれない。
俺は追い越してどうぞと言わんばかりに車を左側に寄せた。
しかし後続車は見晴らしのいい直線道路だというのに、一向に俺の車を追い越そうとしなかった。
それどころかそのままクラクションを鳴らし続けていた。
あおり運転だということは一目瞭然だった。
せっかく死ぬと決めた日だったというのになんでこんなことに、と俺のストレスはぐんぐんと上がっていった。
スピードを上げてもよかったが、それで事故を起こしたくはなかったので法定速度を守った。
俺が望んでいるのは死であって、中途半端な大けがは邪魔でしかなかったからだ。
すると後続車は道が急カーブに入った途端に対向車線へと飛び出し、エンジンをうならせててきた。
により突如目の前に現れたので、俺はあわててブレーキを踏んでスピードを落とした。
今度は前からあおるつもりなのかと思った瞬間、相手の車はスピンを起こし、車体をひしゃげながらガードレールを突き破り、森に向かって落下しながら爆発した。
あわてて車を停めて、残骸が降り注ぐ様を俺は見送った。
3分くらい見ていたが、他に車は一台も通らなかった。
辺りはとても静かだった。
俺は車をUターンさせて、家を目指した。
だな。」

万物は流転し、変化と消滅を繰り返すこと。
確かに俺をあおった車はスピンし、ひしゃげ、爆発した。
やはり俺はが好きらしい。
あおり運転をしてきた君には、俺の自殺を命がけで食い止めてくれて感謝する。
ルームミラーに映る俺の顔はとても晴れ晴れとしていた。

~・~・~・~・~

~感想~
とりあえずぶっ飛ばすとショートカットから車の話を考えました。
そこから諸行無常を検索してみると、流転・変化・消滅が車の事故として使えそうだなと思い、あおり運転をした人間が死ぬという勧善懲悪のようなブラックジョーク話にしました。
それにしたって諸行無常が好きという主人公の設定には無理がありすぎると思います。
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