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第106回『おみやげ はんだごて ほうれい線』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第106回『おみやげ はんだごて ほうれい線』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約49分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=5mnSBEVEZdA
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
今日は小学三年生の息子の初めての遠足だ。
いつもは寝坊がちな息子も朝からきゃっきゃっとはしゃいでいたが、私は不安でしかなかった。
遠足の予定が書かれた保護者へのプリントを見た日から、学校の先生にお電話を差し上げようかと何度も思ったがそのたびにやはり親が口を出すものではないのではないかと躊躇し、当日にまで至った次第である。
お弁当や水筒を詰めたリュックサックを家の中で何度も背負っては下ろす息子を、私はダイニングのテーブルから眺めていた。
「ほらほら、そんなに悩んでるとまたほうれい線ができちゃうよ。」
新聞から顔を上げた夫が、最近私が鏡を見ては気にしていたほうれい線をからかってきた。
「大丈夫だよ、遠足くらい。学校がちゃんと考えたやつなんだろ?」
「でも行先は毎年変わってるわ。Qさんのところのお姉ちゃんは去年大きなジグソーを見に行ったそうよ。」
「へー、俺も子供の頃はジグソーパズルやったからうらやましいなあ。それで今年はどこに行くの?」
息子の遠足の行先も知らない夫にあきれてしまった。
私ばかりが心配して、だから私ばかりほうれい線ができてしまうのだ。
すると遠足のしおりを片手に息子が駆け寄ってきた。
「ねえ、お母さんっ。おみやげは何がいい? 園芸用こて? ヘアーアイロン? でもはんだごてとか左官ごてもかっこいいよっ。」
夫が目を丸くして私の顔を見てきた。
「こて工場に行くんだって。」
「こて工場って小学生には渋すぎない? ていうかあれ全部同じ工場で作ってるの?」
「じゃないの? ヘアーアイロンだって理髪用のこてなんだし。」
夫は頭の中で考えが追い付いていないようだ。
「じゃあさっき行ったQさんの娘さんが行ったジグソーって。」
「電動のこぎりよ。大きな鉄板を真っ二つに切るのをみんなで見ていたそうよ。」
しかし今さら遠足の行先を変えることなんてできるわけがないし、息子を欠席させるわけにもいかない。
私たちは息子を笑顔で送り出した。
夕方、ドアが勢いよく開いて息子が遠足から帰ってきた。
「お母さんっ、ただいまーっ。おみやげはほうれい線アイロンにしたよっ。」
この子ったら……!
~・~・~・~・~
~感想~
ほうれい線は顔の表情の描写として使いようはいくらでもあるだろうと思い、はんだごてとおみやげというお題から話を考えていました。
はんだごてをおみやげにするならはんだごて工場への見学→はんだごて工場だけでなくこて全般にしよう→しかも小学生の遠足にしようとなりました。
なので書き始めは遠足の行先がこて工場だとわかるのがオチでした。
ほうれい線は普通に悩む母親の象徴みたいなものとして出したのですが、こてを検索していてヘアーアイロンもこての一種とわかり、ならば美容器具にほうれい線用のアイロンもあるのではないかと思い検索してみたらあったので、オチに持ってきました。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第106回『おみやげ はんだごて ほうれい線』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約49分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=5mnSBEVEZdA
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~・~・~・~・~
今日は小学三年生の息子の初めての遠足だ。
いつもは寝坊がちな息子も朝からきゃっきゃっとはしゃいでいたが、私は不安でしかなかった。
遠足の予定が書かれた保護者へのプリントを見た日から、学校の先生にお電話を差し上げようかと何度も思ったがそのたびにやはり親が口を出すものではないのではないかと躊躇し、当日にまで至った次第である。
お弁当や水筒を詰めたリュックサックを家の中で何度も背負っては下ろす息子を、私はダイニングのテーブルから眺めていた。
「ほらほら、そんなに悩んでるとまたほうれい線ができちゃうよ。」
新聞から顔を上げた夫が、最近私が鏡を見ては気にしていたほうれい線をからかってきた。
「大丈夫だよ、遠足くらい。学校がちゃんと考えたやつなんだろ?」
「でも行先は毎年変わってるわ。Qさんのところのお姉ちゃんは去年大きなジグソーを見に行ったそうよ。」
「へー、俺も子供の頃はジグソーパズルやったからうらやましいなあ。それで今年はどこに行くの?」
息子の遠足の行先も知らない夫にあきれてしまった。
私ばかりが心配して、だから私ばかりほうれい線ができてしまうのだ。
すると遠足のしおりを片手に息子が駆け寄ってきた。
「ねえ、お母さんっ。おみやげは何がいい? 園芸用こて? ヘアーアイロン? でもはんだごてとか左官ごてもかっこいいよっ。」
夫が目を丸くして私の顔を見てきた。
「こて工場に行くんだって。」
「こて工場って小学生には渋すぎない? ていうかあれ全部同じ工場で作ってるの?」
「じゃないの? ヘアーアイロンだって理髪用のこてなんだし。」
夫は頭の中で考えが追い付いていないようだ。
「じゃあさっき行ったQさんの娘さんが行ったジグソーって。」
「電動のこぎりよ。大きな鉄板を真っ二つに切るのをみんなで見ていたそうよ。」
しかし今さら遠足の行先を変えることなんてできるわけがないし、息子を欠席させるわけにもいかない。
私たちは息子を笑顔で送り出した。
夕方、ドアが勢いよく開いて息子が遠足から帰ってきた。
「お母さんっ、ただいまーっ。おみやげはほうれい線アイロンにしたよっ。」
この子ったら……!
~・~・~・~・~
~感想~
ほうれい線は顔の表情の描写として使いようはいくらでもあるだろうと思い、はんだごてとおみやげというお題から話を考えていました。
はんだごてをおみやげにするならはんだごて工場への見学→はんだごて工場だけでなくこて全般にしよう→しかも小学生の遠足にしようとなりました。
なので書き始めは遠足の行先がこて工場だとわかるのがオチでした。
ほうれい線は普通に悩む母親の象徴みたいなものとして出したのですが、こてを検索していてヘアーアイロンもこての一種とわかり、ならば美容器具にほうれい線用のアイロンもあるのではないかと思い検索してみたらあったので、オチに持ってきました。
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