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第93回『トンボ 劇場版 歌詞カード』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第93回『トンボ 劇場版 歌詞カード』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約45分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=4Yimw8XD1eA
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
「ねえ、明日下の子を映画に連れて行ってあげてよ。」
遅い夕食を取っている夫に言った。
明日は土曜日で普段なら二人とも休日だが、私は急遽仕事が入ったのだ。
下の子が毎週テレビの前に座って夢中になって見ていた特撮ヒーローの劇場版だった。
「見に行くという約束をよっぽど楽しみにしているのか、今日は珍しく早く寝たんだから。」
「そうか、わかったよ。」
夫はご飯を食べながらスマホで劇場について調べ始めた。
すると上の姉がテーブルにやってきた。
「なになに映画? 私が連れて行ってあげようか?」
映画館は駅前なので、上の子なら確かに一人でも行ける場所だ。
「でも、映画はゆうがいつも見てるヒーローのやつよ。あんた退屈しちゃうでしょ。」
「しないもん!」
食い気味に反論した。
上の子は一度もそのテレビを見たことがないし、そもそも男の子向けの内容なので絶対に退屈するはずだ。
私は困ってしまった。
「いいんじゃないか。ちいはもうお姉さんだもんな。じゃあ明日はちいにゆうを任せようかな。」
夫がそう言うと、上の子は飛び上がって喜んだ。
「やったあ! 明日はパパはゆっくりしててよ!」
じゃあお言葉に甘えてそうしようかな、と言いながら夫は上映時間のスケジュール表を拡大させた。
「ちょっと、大丈夫なの?」
不安な私は夫に聞いた。
しかし夫が答える前に上の子は私に言った。
「大丈夫だって! ゆう君が疲れたって言ったら私がおんぶしてあげるから!」
そうか、上の子はお姉さんらしいことをやりたかったのかと思った。
映画館なら道順もわかるし、入れば指定の座席に座るだけだ。
特撮の映画だから周りは親子連れが多いから安心だろうという算段もあるのかもしれない。
これぐらいなら勉強になるかなと思った。
「よし、俺が行こう!」
突如夫が意見を真逆に翻した。
「ちいも映画を見たいなら一緒についてくるといい。」
夫は上の子の気持ちをわかっていなかった。
それではお姉さんらしいことができないので、私は夫を制止しようとした。
すると夫は振り向きざまに言った。
「だって弟をおんぶして帰るなんて赤とんぼみたいじゃないかっ。」
赤とんぼと突然言われてなんのことかと思ったが、すぐにそれが童謡の赤とんぼのことなのだろうと気付いた。
私は小学生の音楽の時間に配られた歌詞カードの印字を思い出した。
確かに歌詞の一番で主人公は姐やにおんぶされた。
そして三番になると姐やは、十五で嫁に行く。
予感の芽は少しでもつぶしておきたいらしい。
考えすぎの夫の目には少しだけ涙が浮かんでいた。
~・~・~・~・~
~感想~
強引に締めた話です。
オチから逆算して子どもへのしつけや愛情をどう表現していこうかとは考えましたが、面倒になりなるようになれという感じで書いていきました。
もっとも歌詞の姐やは女中かなにかであって姉ではないとは思ってます。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第93回『トンボ 劇場版 歌詞カード』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約45分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=4Yimw8XD1eA
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
「ねえ、明日下の子を映画に連れて行ってあげてよ。」
遅い夕食を取っている夫に言った。
明日は土曜日で普段なら二人とも休日だが、私は急遽仕事が入ったのだ。
下の子が毎週テレビの前に座って夢中になって見ていた特撮ヒーローの劇場版だった。
「見に行くという約束をよっぽど楽しみにしているのか、今日は珍しく早く寝たんだから。」
「そうか、わかったよ。」
夫はご飯を食べながらスマホで劇場について調べ始めた。
すると上の姉がテーブルにやってきた。
「なになに映画? 私が連れて行ってあげようか?」
映画館は駅前なので、上の子なら確かに一人でも行ける場所だ。
「でも、映画はゆうがいつも見てるヒーローのやつよ。あんた退屈しちゃうでしょ。」
「しないもん!」
食い気味に反論した。
上の子は一度もそのテレビを見たことがないし、そもそも男の子向けの内容なので絶対に退屈するはずだ。
私は困ってしまった。
「いいんじゃないか。ちいはもうお姉さんだもんな。じゃあ明日はちいにゆうを任せようかな。」
夫がそう言うと、上の子は飛び上がって喜んだ。
「やったあ! 明日はパパはゆっくりしててよ!」
じゃあお言葉に甘えてそうしようかな、と言いながら夫は上映時間のスケジュール表を拡大させた。
「ちょっと、大丈夫なの?」
不安な私は夫に聞いた。
しかし夫が答える前に上の子は私に言った。
「大丈夫だって! ゆう君が疲れたって言ったら私がおんぶしてあげるから!」
そうか、上の子はお姉さんらしいことをやりたかったのかと思った。
映画館なら道順もわかるし、入れば指定の座席に座るだけだ。
特撮の映画だから周りは親子連れが多いから安心だろうという算段もあるのかもしれない。
これぐらいなら勉強になるかなと思った。
「よし、俺が行こう!」
突如夫が意見を真逆に翻した。
「ちいも映画を見たいなら一緒についてくるといい。」
夫は上の子の気持ちをわかっていなかった。
それではお姉さんらしいことができないので、私は夫を制止しようとした。
すると夫は振り向きざまに言った。
「だって弟をおんぶして帰るなんて赤とんぼみたいじゃないかっ。」
赤とんぼと突然言われてなんのことかと思ったが、すぐにそれが童謡の赤とんぼのことなのだろうと気付いた。
私は小学生の音楽の時間に配られた歌詞カードの印字を思い出した。
確かに歌詞の一番で主人公は姐やにおんぶされた。
そして三番になると姐やは、十五で嫁に行く。
予感の芽は少しでもつぶしておきたいらしい。
考えすぎの夫の目には少しだけ涙が浮かんでいた。
~・~・~・~・~
~感想~
強引に締めた話です。
オチから逆算して子どもへのしつけや愛情をどう表現していこうかとは考えましたが、面倒になりなるようになれという感じで書いていきました。
もっとも歌詞の姐やは女中かなにかであって姉ではないとは思ってます。
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