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第80回『ビリヤード 円運動 コンビニエンスストア』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第80回『ビリヤード 円運動 コンビニエンスストア』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約1時間10分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=Jji_8VUvQUY
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
そこには強盗が不可能なコンビニがある。
正確に言えば強盗に成功した者がいないコンビニである。
なぜみな失敗したのか?
その理由を強盗した者は誰一人語らない。
なぜなら全員死者となっているからだ。
老衰や病気で死んだわけではない。
強盗をしたときに店員から反撃され、命を落としたからだ。
次第に強盗たちの興味は金そのものよりも、強盗がことごとく殺されてしまう謎や攻略そのものになってきた。
名を上げようと幾人もの強盗が挑んだが、無事に帰ってくる者はなく墓の数だけが増えていった。
ゆえに強盗の間ではそのコンビニは不沈の城と呼ばれ、恐れられていた。
今夜もまた一人の強盗がそのコンビニの前に立っていた。
彼はまだ売り出し中で経験の浅い強盗であったが、幼少期より近所の強盗塾に通っていて腕には自信があった。
昔気質の強盗とは違い、ITも積極的に取り入れていった。
なにより彼は若く、野心があった。
彼が下調べした限り、立地条件も人の目の数も他のコンビニと大して変わらない。
だとすれば強盗の先輩たちがやられてきた理由はこのコンビニそのものにあると予想できた。
彼はズボンのポッケをぱんぱんと軽く叩いてみた。
ピストルは入っている。
先日おもちゃ屋で購入し、アクリル絵の具で塗装した特別なものだ。
これなら誰が見ても本物っぽく見えるし、なによりかっちょいい。
カラーボールをぶつけられたときは躊躇なく服を脱ぎ捨てられるように数日前から筋トレはしてきたので、野外での全裸には自信がある。
念のため腹部にはマジックで線も書いておいたので、遠目にはムキムキに見える。
体にカラーボールの塗料がついてしまったときのために、濃硫酸の小瓶も持っている。
これをかけて皮膚ごと塗料を剥いでしまえば、あんなものは何の意味もないことを彼は知っていた。
彼はゆっくりと息を吐いた。
顔にはパンストをかぶっているので少し苦しかった。
しかし気持ちを切り替えるには十分だった。
準備万端だ。
コンビニの客が途切れた。
いるのは中年の女性の店員一人だけだ。
やるなら今しかない。
彼は突入した。
「金を出せ!」
レジに立つ女性に向けてピストルをかまえた。
女性は動かなかった。
だがそれは恐怖で動けないというわけではなかった。
顔には余裕から来る笑いが浮かんでいるように彼には見えた。
目線を追ったかぎりピストルには目もくれていなかったから、おもちゃだとばれたわけではないことはわかった。
その目は明らかにまた来たかというものだった。
きっと死んでいった多くの強盗もこの目を最後に見たのだろう。
彼の全身に一気に寒気が走ったが、ここでくじけるわけにはいかない。
むしろもう後に引くことはできないのだ。
彼はもう一度金を出せと言った。
すると女性はようやく口を開いた。
「コンビニのフランチャイズを始めて、24時間365日営業してきた。」
情に訴えかけてくるのかと警戒した彼は歯を食いしばった。
「フランチャイズを始める前は、ここは何だったか知ってるかい?」
「?」
強盗には関係がないので、彼は過去の土地利用のことまでは調べていなかった。
「ビリヤード場さ!」
女性が持ち上げた右手にはひもが握られており、その先にはビリヤードのボールが結ばれていた。
ひもによる激しい円運動により勢いのついたボールが彼の右手に叩きつけられ、ピストルははじかれ床にカラカラと転がった。
彼がピストルに気取られた瞬間に、女性は飛び上がり彼を押し倒した。
床に倒れうめき声をもらした彼の上に女性は馬乗りとなった。
彼が見上げると、女性はビリヤードのキューを額に向って構えていた。
「フフフフフ。最初のボールで無事だったのはそう何人もいないよ。だがそういう運のよかった奴らもキューの一突きで脳に穴が開いていったよ。」
自分なんかがかなう相手ではなかったと悟った彼は観念し、大の字となった。
彼の全身から力が抜け戦意を喪失したことを確認した女性は、パンストを脱がしにかかった。
「楽に死なせてやるには、正確に額を突く必要があるからねえ。」
彼は死を覚悟し目をつぶった。
しかし待てどキューの一撃は一向にやってこない。
どうしたのだろうと彼は恐る恐る目を開けてみた。
すると女性は彼を見つめたままほほを赤く染めていた。
その目は明らかに一目ぼれだった。
彼と目が合うと、女性はあわてて目をそらした。
「や、やだっ、こんなおばさんをそんな真剣な目で見ないでよっ。」
過去数々の名うての強盗をボールの円運動とキューのピストン運動によって返り討ちにしてきたこのコンビニ。
彼は確信した。
今、自分が助かる方法はただ一つ。
この女性との夜のピストン運動……。
~・~・~・~・~
~感想~
強盗の話を思いついたので、それを悪ふざけしながら書いていきました。
当初は強盗も普通に死ぬ予定でしたが、反撃という意外性を出すために店員を中年の女性にしたところで下ネタのオチを思いつきました。
せっかく筋トレをしたという描写を入れたのだから、女性はこれに興奮させても良かったのかもしれません。
反撃を始めたあとは女性のことをもっと恐ろしく描いたほうた良かったかもしれません。
そもそもボールには今までの強盗の血で真っ赤になっているという予定だったのですが、これを書き忘れました。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第80回『ビリヤード 円運動 コンビニエンスストア』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約1時間10分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=Jji_8VUvQUY
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
そこには強盗が不可能なコンビニがある。
正確に言えば強盗に成功した者がいないコンビニである。
なぜみな失敗したのか?
その理由を強盗した者は誰一人語らない。
なぜなら全員死者となっているからだ。
老衰や病気で死んだわけではない。
強盗をしたときに店員から反撃され、命を落としたからだ。
次第に強盗たちの興味は金そのものよりも、強盗がことごとく殺されてしまう謎や攻略そのものになってきた。
名を上げようと幾人もの強盗が挑んだが、無事に帰ってくる者はなく墓の数だけが増えていった。
ゆえに強盗の間ではそのコンビニは不沈の城と呼ばれ、恐れられていた。
今夜もまた一人の強盗がそのコンビニの前に立っていた。
彼はまだ売り出し中で経験の浅い強盗であったが、幼少期より近所の強盗塾に通っていて腕には自信があった。
昔気質の強盗とは違い、ITも積極的に取り入れていった。
なにより彼は若く、野心があった。
彼が下調べした限り、立地条件も人の目の数も他のコンビニと大して変わらない。
だとすれば強盗の先輩たちがやられてきた理由はこのコンビニそのものにあると予想できた。
彼はズボンのポッケをぱんぱんと軽く叩いてみた。
ピストルは入っている。
先日おもちゃ屋で購入し、アクリル絵の具で塗装した特別なものだ。
これなら誰が見ても本物っぽく見えるし、なによりかっちょいい。
カラーボールをぶつけられたときは躊躇なく服を脱ぎ捨てられるように数日前から筋トレはしてきたので、野外での全裸には自信がある。
念のため腹部にはマジックで線も書いておいたので、遠目にはムキムキに見える。
体にカラーボールの塗料がついてしまったときのために、濃硫酸の小瓶も持っている。
これをかけて皮膚ごと塗料を剥いでしまえば、あんなものは何の意味もないことを彼は知っていた。
彼はゆっくりと息を吐いた。
顔にはパンストをかぶっているので少し苦しかった。
しかし気持ちを切り替えるには十分だった。
準備万端だ。
コンビニの客が途切れた。
いるのは中年の女性の店員一人だけだ。
やるなら今しかない。
彼は突入した。
「金を出せ!」
レジに立つ女性に向けてピストルをかまえた。
女性は動かなかった。
だがそれは恐怖で動けないというわけではなかった。
顔には余裕から来る笑いが浮かんでいるように彼には見えた。
目線を追ったかぎりピストルには目もくれていなかったから、おもちゃだとばれたわけではないことはわかった。
その目は明らかにまた来たかというものだった。
きっと死んでいった多くの強盗もこの目を最後に見たのだろう。
彼の全身に一気に寒気が走ったが、ここでくじけるわけにはいかない。
むしろもう後に引くことはできないのだ。
彼はもう一度金を出せと言った。
すると女性はようやく口を開いた。
「コンビニのフランチャイズを始めて、24時間365日営業してきた。」
情に訴えかけてくるのかと警戒した彼は歯を食いしばった。
「フランチャイズを始める前は、ここは何だったか知ってるかい?」
「?」
強盗には関係がないので、彼は過去の土地利用のことまでは調べていなかった。
「ビリヤード場さ!」
女性が持ち上げた右手にはひもが握られており、その先にはビリヤードのボールが結ばれていた。
ひもによる激しい円運動により勢いのついたボールが彼の右手に叩きつけられ、ピストルははじかれ床にカラカラと転がった。
彼がピストルに気取られた瞬間に、女性は飛び上がり彼を押し倒した。
床に倒れうめき声をもらした彼の上に女性は馬乗りとなった。
彼が見上げると、女性はビリヤードのキューを額に向って構えていた。
「フフフフフ。最初のボールで無事だったのはそう何人もいないよ。だがそういう運のよかった奴らもキューの一突きで脳に穴が開いていったよ。」
自分なんかがかなう相手ではなかったと悟った彼は観念し、大の字となった。
彼の全身から力が抜け戦意を喪失したことを確認した女性は、パンストを脱がしにかかった。
「楽に死なせてやるには、正確に額を突く必要があるからねえ。」
彼は死を覚悟し目をつぶった。
しかし待てどキューの一撃は一向にやってこない。
どうしたのだろうと彼は恐る恐る目を開けてみた。
すると女性は彼を見つめたままほほを赤く染めていた。
その目は明らかに一目ぼれだった。
彼と目が合うと、女性はあわてて目をそらした。
「や、やだっ、こんなおばさんをそんな真剣な目で見ないでよっ。」
過去数々の名うての強盗をボールの円運動とキューのピストン運動によって返り討ちにしてきたこのコンビニ。
彼は確信した。
今、自分が助かる方法はただ一つ。
この女性との夜のピストン運動……。
~・~・~・~・~
~感想~
強盗の話を思いついたので、それを悪ふざけしながら書いていきました。
当初は強盗も普通に死ぬ予定でしたが、反撃という意外性を出すために店員を中年の女性にしたところで下ネタのオチを思いつきました。
せっかく筋トレをしたという描写を入れたのだから、女性はこれに興奮させても良かったのかもしれません。
反撃を始めたあとは女性のことをもっと恐ろしく描いたほうた良かったかもしれません。
そもそもボールには今までの強盗の血で真っ赤になっているという予定だったのですが、これを書き忘れました。
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