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第61回『アンドーナツ スプレー モノラル』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第61回『アンドーナツ スプレー モノラル』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約41分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=5qLZ8pCtd_E
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
日曜日だというのに家にお菓子が一つもないことに気付いた私は、部屋着のままサンダルをはいて近所のコンビニまで買いに行った。
コンビニからの帰り道、暖かく風がそよふくうららかな天気だったのでいっそ公園で食べてしまおうかとも思ったが、買ったアンドーナツは一人で食べるには量が多すぎるし飲み物もなかったのでやはり予定通り家でお茶を入れて食べることにした。
家に帰ると、父はリビングで趣味のオーディオをいじっていた。
いや、クロスにクリーナーをスプレーしてはレコードを拭いていたので、父はレコードのクリーニングをしていたようだ。
父のレコードの在庫は膨大で、どうやら今日はレコードの掃除の日と決めていたようだ。
レコード好きが高じると、音楽を聴くだけでなくこうして掃除に忙殺されるのもまた至上の喜びになるらしい。
「おお、ゆうこ、お帰り。」
私がただいまと言うと、父は笑顔で答えた。
だがこの笑顔が私に対してではなく、大好きなレコードに囲まれているからだということは私は知っている。
音楽なんてスマホで何百万もの曲を一発で聞ける時代だというのに、古いレコードを大事にしている父の感覚が私にはわからなかった。
中にはモノラル録音されたものも多くあり、私にはそれがいい音質だとはとても思えなかった。
それでも父がレコードを眺めているときの横顔を見ればそれがかけがえのない宝物だということは私にもわかっていた。
「お父さん、アンドーナツ買ってきたよ。食べない?」
「ありがとう。でもまだ始めたばかりだから、もう少ししたらもらうよ。」
父はクロスでゆっくりとレコードを拭きながら答えた。
せっかくのアンドーナツなのだからもっと喜んで食べてほしいと子どものように拗ねてしまった私はちょっとふざけたことを口に出してしまった。
「お父さん、もし今私がアンドーナツをレコードに向かって投げたら、怒る?」
19歳にもなって言うことではないとわかっていた。
「怒るよ。」
父がそう言うのも当然だ。
そんなことをすれば父の大切なコレクションに油がついてしまう。
レコードに油は禁物だ。
だから父はこうして熱心にクリーニングをしているのだ。
「ゆうこを食べ物を粗末にする子になってほしくないからね。」
私は今日という日曜日の午前中まで忘れていた。
父の宝物はレコードと私だったということを。
~・~・~・~・~
~感想~
どのお題も話を先導する「これ」といった使い方が思いつかず苦労しました。
なのでとりあえずアンドーナツとスプレーでモノラルレコードを拭いている状況を作って、いい話系で締めれば形になるだろうと、オチは決まらないまま書いていきました。
早く終わらせたかったので母親は全く出てきませんが、どこかにはいたと思います。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第61回『アンドーナツ スプレー モノラル』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約41分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=5qLZ8pCtd_E
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
日曜日だというのに家にお菓子が一つもないことに気付いた私は、部屋着のままサンダルをはいて近所のコンビニまで買いに行った。
コンビニからの帰り道、暖かく風がそよふくうららかな天気だったのでいっそ公園で食べてしまおうかとも思ったが、買ったアンドーナツは一人で食べるには量が多すぎるし飲み物もなかったのでやはり予定通り家でお茶を入れて食べることにした。
家に帰ると、父はリビングで趣味のオーディオをいじっていた。
いや、クロスにクリーナーをスプレーしてはレコードを拭いていたので、父はレコードのクリーニングをしていたようだ。
父のレコードの在庫は膨大で、どうやら今日はレコードの掃除の日と決めていたようだ。
レコード好きが高じると、音楽を聴くだけでなくこうして掃除に忙殺されるのもまた至上の喜びになるらしい。
「おお、ゆうこ、お帰り。」
私がただいまと言うと、父は笑顔で答えた。
だがこの笑顔が私に対してではなく、大好きなレコードに囲まれているからだということは私は知っている。
音楽なんてスマホで何百万もの曲を一発で聞ける時代だというのに、古いレコードを大事にしている父の感覚が私にはわからなかった。
中にはモノラル録音されたものも多くあり、私にはそれがいい音質だとはとても思えなかった。
それでも父がレコードを眺めているときの横顔を見ればそれがかけがえのない宝物だということは私にもわかっていた。
「お父さん、アンドーナツ買ってきたよ。食べない?」
「ありがとう。でもまだ始めたばかりだから、もう少ししたらもらうよ。」
父はクロスでゆっくりとレコードを拭きながら答えた。
せっかくのアンドーナツなのだからもっと喜んで食べてほしいと子どものように拗ねてしまった私はちょっとふざけたことを口に出してしまった。
「お父さん、もし今私がアンドーナツをレコードに向かって投げたら、怒る?」
19歳にもなって言うことではないとわかっていた。
「怒るよ。」
父がそう言うのも当然だ。
そんなことをすれば父の大切なコレクションに油がついてしまう。
レコードに油は禁物だ。
だから父はこうして熱心にクリーニングをしているのだ。
「ゆうこを食べ物を粗末にする子になってほしくないからね。」
私は今日という日曜日の午前中まで忘れていた。
父の宝物はレコードと私だったということを。
~・~・~・~・~
~感想~
どのお題も話を先導する「これ」といった使い方が思いつかず苦労しました。
なのでとりあえずアンドーナツとスプレーでモノラルレコードを拭いている状況を作って、いい話系で締めれば形になるだろうと、オチは決まらないまま書いていきました。
早く終わらせたかったので母親は全く出てきませんが、どこかにはいたと思います。
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