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第46回『防災訓練 耳 作曲』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第46回『防災訓練 耳 作曲』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約1時間1分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=WWnBpNMXAu8
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
ある音楽家に国から作曲の依頼が来た。
内容は防災訓練のテーマソングを作ってほしいというものだった。
というのも自然環境は変化し災害が増える中で防災訓練の重要性は日々高まっているものの、市民の間ではまだまだ防災意識が足りないのか市や消防署が防災訓練を開催しても参加者がいつも少ないことに頭を悩ませているのだった。
そこで子供向けの童謡を数多く作曲しているこの音楽家に白羽の矢が立った。
ぜひ国民の防災意識が高まり、訓練に積極的に参加したくなるような歌を作ってほしいというものだった。
テーマソングの歌詞も同封されていた。
確認すると作詞を担当したのは著名な絵本作家であり、確かに子どもにもわかりやすい言葉で日ごろからの災害への備えの大切さを訴えるものだった。
詩や文学に明るいわけではないが、音楽家にもこの詞が優れたものであることはわかった。
つまり音楽家はこの詞にメロディーをつけるだけでよいのだ。
音楽家は依頼を受けたもののこの仕事に気乗りがしなかった。
音楽家自身も防災訓練に主体的に参加したことはなかったが、その大切さはわかっているつもりだ。
依頼料は普段音楽家が受ける仕事よりは安かったものの、取り立ててその額に不満を感じたわけではない。
むしろそのような仕事を国から託されたことに名誉を感じていた。
ところが音楽家は童謡ばかりを作ってきたため最近自身の仕事に飽きを感じてきてしまっていて、童謡とは全く異なるタイプの音楽を作曲したいと思い始めていたのだ。
受けてしまった以上はこなさなくてはならない。
音楽家は今まで童謡の作曲で培ってきた技術を生かしてその日のうちにメロディーをつけてしまい依頼主に提出した。
テーマソングは大ヒットした。
防災訓練のテーマソングに大ヒットという言い方はおかしいが、美しい言葉と耳なじみのいいメロディーで国民に大いに受け入れられた。
この歌がきっかけで防災訓練に興味を持つ家庭は増え、防災訓練は毎年参加者でいっぱいだった。
会場ではもちろんそのテーマソングが流れ、みんなが歌っていた。
テレビやラジオでも頻繁に流され、国民の防災意識の維持に貢献した。
音楽家はその曲の出来栄えには満足していなかったがそれも当然である。
自分が気乗りしないばかりにほんの片手間で作ったものだからである。
絵本作家が血のにじむような努力で一文字一文字紡ぎ出したのに対して、自分のメロディーは一切の努力もせず教科書にのっとり流れ作業のように音符を当てはめたものだった。
自分が今までのキャリアで得たのは効率よく手を抜く方法だったのではないか──。
この歌が流れると、音楽家はまるで自分が手練手管で人から金を奪い取る詐欺師のように思えた。
子どもたちが笑顔でこの歌を歌っていると、音楽家にはまるでみんなが自分を笑っているように思えた。
防災訓練の参加は大事なことである。
訓練に参加することによりいざという事態に対処できるようになる。
だが、テーマソングの仕事に手を抜いたこの音楽家はテーマソングを耳にすることに恐怖を覚え、防災訓練に参加することは一度もなかった。
~・~・~・~・~
~感想~
防災訓練と作曲から、テーマソングを作ることになった作曲家の話で行こうと決め、そこに創作態度の教訓みたいなものを絡ませました。
当初作詞家も出てくる話を書いていたのですが、それだと大幅に長くなりそうなのでやめました。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第46回『防災訓練 耳 作曲』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約1時間1分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=WWnBpNMXAu8
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
ある音楽家に国から作曲の依頼が来た。
内容は防災訓練のテーマソングを作ってほしいというものだった。
というのも自然環境は変化し災害が増える中で防災訓練の重要性は日々高まっているものの、市民の間ではまだまだ防災意識が足りないのか市や消防署が防災訓練を開催しても参加者がいつも少ないことに頭を悩ませているのだった。
そこで子供向けの童謡を数多く作曲しているこの音楽家に白羽の矢が立った。
ぜひ国民の防災意識が高まり、訓練に積極的に参加したくなるような歌を作ってほしいというものだった。
テーマソングの歌詞も同封されていた。
確認すると作詞を担当したのは著名な絵本作家であり、確かに子どもにもわかりやすい言葉で日ごろからの災害への備えの大切さを訴えるものだった。
詩や文学に明るいわけではないが、音楽家にもこの詞が優れたものであることはわかった。
つまり音楽家はこの詞にメロディーをつけるだけでよいのだ。
音楽家は依頼を受けたもののこの仕事に気乗りがしなかった。
音楽家自身も防災訓練に主体的に参加したことはなかったが、その大切さはわかっているつもりだ。
依頼料は普段音楽家が受ける仕事よりは安かったものの、取り立ててその額に不満を感じたわけではない。
むしろそのような仕事を国から託されたことに名誉を感じていた。
ところが音楽家は童謡ばかりを作ってきたため最近自身の仕事に飽きを感じてきてしまっていて、童謡とは全く異なるタイプの音楽を作曲したいと思い始めていたのだ。
受けてしまった以上はこなさなくてはならない。
音楽家は今まで童謡の作曲で培ってきた技術を生かしてその日のうちにメロディーをつけてしまい依頼主に提出した。
テーマソングは大ヒットした。
防災訓練のテーマソングに大ヒットという言い方はおかしいが、美しい言葉と耳なじみのいいメロディーで国民に大いに受け入れられた。
この歌がきっかけで防災訓練に興味を持つ家庭は増え、防災訓練は毎年参加者でいっぱいだった。
会場ではもちろんそのテーマソングが流れ、みんなが歌っていた。
テレビやラジオでも頻繁に流され、国民の防災意識の維持に貢献した。
音楽家はその曲の出来栄えには満足していなかったがそれも当然である。
自分が気乗りしないばかりにほんの片手間で作ったものだからである。
絵本作家が血のにじむような努力で一文字一文字紡ぎ出したのに対して、自分のメロディーは一切の努力もせず教科書にのっとり流れ作業のように音符を当てはめたものだった。
自分が今までのキャリアで得たのは効率よく手を抜く方法だったのではないか──。
この歌が流れると、音楽家はまるで自分が手練手管で人から金を奪い取る詐欺師のように思えた。
子どもたちが笑顔でこの歌を歌っていると、音楽家にはまるでみんなが自分を笑っているように思えた。
防災訓練の参加は大事なことである。
訓練に参加することによりいざという事態に対処できるようになる。
だが、テーマソングの仕事に手を抜いたこの音楽家はテーマソングを耳にすることに恐怖を覚え、防災訓練に参加することは一度もなかった。
~・~・~・~・~
~感想~
防災訓練と作曲から、テーマソングを作ることになった作曲家の話で行こうと決め、そこに創作態度の教訓みたいなものを絡ませました。
当初作詞家も出てくる話を書いていたのですが、それだと大幅に長くなりそうなのでやめました。
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