YouTubeのライブ配信にてガチャで決めた3つのお題で三題噺を即興で書いてます。

鉄砲E

文字の大きさ
上 下
29 / 174

第29回『怒り へそ曲がり 先見の明』

しおりを挟む
YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第29回『怒り へそ曲がり 先見の明』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約55分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=vfy8JknXXUA

↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/

~・~・~・~・~

Qグループと言えば国民なら知らない人なんていないほどの巨大な企業だった。
その傘下の会社は電機から不動産、製薬に保険とあらゆる業界に名を連ねていて、しかもどれもがそれぞれでトップクラスの大企業だった。
ただ一つ、Qトイズというおもちゃ会社だけが毎年のように赤字を計上していた。
この会社は出すおもちゃがことごとくヒットせず、出来上がるのは在庫の山ばかりだった。
ある日、Qグループの会長の元に役員が直訴に来た。
「会長! Qトイズは畳みましょう。」
役員はの拳を振り上げた。
しかし会長は熱いほうじ茶をすするばかりだった。
「まあまあ落ち着いて。君もお茶を飲んだらどうかね。」
会長はそう言ってデスクのわきにある急須に視線を送った。
急須の横には見るからに高級そうな茶筒が置いてあり、会長室いっぱいにほうじ茶の清涼な香りが漂っていた。
「そんなことを言ってる場合ではありません。会長だってご存じでしょう。QトイズはわがQグループの恥です!」
「経営がいつもうまく行くとは限らないのは君だってよくわかってるだろう。」
役員を熱弁を続けた。
「もちろんです。だから不採算の企業は整理するべきだと言っているのです。」
「そんなにもうかってないかね、Qトイズは。」
役員は手にしていたタブレットPCを会長の前に出した。
そこにはQトイズの業績がまとめられた資料が画面いっぱいに表示されていた。
「見てください。彼らが作るおもちゃはどれも全くヒットしてません。」
売れ行きを現す帯グラフはどの月もどのおもちゃも帯というには恥ずかしいほど短くつぶれていて、目標個数を全く達成できていないことは一目瞭然だった。
「投げるとmp3を再生するフリスビーに、ベアリング並みの精度を持った球のけん玉。どれも独創的だねえ。」
会長は茶飲み話のように語ったのが役員をヒートアップさせた。
「良く言えばですよね! 何度もあそこの社長とも話しましたよ、もうちょっと流行りを見て絶対に売れるものを作ったらどうだって。そうしたらなんて言ったと思います? うちは他にないものを作る、ですよ! あいつはただのですよ!」
会長は湯呑で両手を温めながら役員の顔を見上げた。
「若いねえ。」
役員はQトイズの社長と会ったときの顔を思い浮かべた。
「いえ、けっこう現場が長かったみたいなので、あまり若くは。」
「若いってのは君のことだよ。」
「え?」
「俺にはがある人との区別はつかないよ。」
学生時代から働き始め、1代で関連企業が100社を超え日本の経済界に大きな影響を及ぼすQグループを創始した男が静かに湯呑をデスクに置くと、役員はすごすごと会長室を後にした。


~・~・~・~・~
~感想~

企業もののドラマのような話をイメージしました。
先見の明の一番楽な使い方だと思います。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》

小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です ◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ ◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます! ◆クレジット表記は任意です ※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください 【ご利用にあたっての注意事項】  ⭕️OK ・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用 ※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可 ✖️禁止事項 ・二次配布 ・自作発言 ・大幅なセリフ改変 ・こちらの台本を使用したボイスデータの販売

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

処理中です...