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第17回『思考回路 エコバッグ 摩擦』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第回『』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約1時間3分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=vHZqGulaWAU
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
「じゃあ待ち合わせは駅前ってことで。」
真一は電話を切ったあと、よく考えてみればこれが由美との初めてのデートになるのかもしれないなと思った。
今まで何度も食事をしてきたが、どれも平日の会社が終わってから会うというものであまりムードのあるものではなかった。
付き合い始めてから休日はお互い忙しくてスケジュールを合わせることができなかったが、この度ようやく日曜日に会えることができるようになったのだった。
といっても由美は午後から仕事が入っているので会えるのは午前中だけであり、軽くショッピングだけすることになった。
しかもそのショッピングも近所のスーパーに由美の夕食の買い出しの付き添いだった。
夕食よりもムードがないように思えるが、二人でスーパーに買いに行くなんて同棲してるようで真一の胸は高鳴った。
日曜日、真一が駅前で待っていると由美の声が聞こえた。
スマホから顔を上げた真一の目に飛び込んだのは、私服姿の由美だった。
今までは会社帰りのスーツ姿の由美しか見たことがないので真一には新鮮に映った。
クリーム色のロングスカートに薄いピンク色のブラウス、そしてそのブラウスの両肩にぐいっと食い込んでいるのは真っ赤なランドセルだった。
「ラ、ランドセル?」
真一はぎょっとした。
しかし由美はなんでもないようにそうだよと答えた。
周りを歩く人たちもいい大人なのにランドセルを背負う由美をじろじろと見ていた。
「えーと、最近そういうの流行ってるの……?」
「流行ってるっていうかこれが普通だよね。」
うそつけ!
みんなお前のこと変態を見る目で見てるじゃねえか!
ファッションに熱心ではない真一もこれが絶対に流行っていないということはわかっていた。
しかし真一の戸惑いをよそに由美はいたずらっぽい笑みを浮かべ真一の顔をのぞきこんだ。
「あれ~? 真一君はお買い物のとき持って行かないの~?」
「当り前だろ! そもそもそんなの持ってねえよ!」
すると由美は少し真顔になった。
「もうだめだよ真一君。エコバッグはちゃんと持ってなきゃ。」
エコバッグという一言に驚く真一を気にするでもなく、由美は環境だとかビニール袋だとかを説いていた。
「てことは由美はエコバッグとしてランドセルを持ってるのか?」
今更要約するようなことを言う真一に由美はきょとんとした。
「そうだよ? 小学生のときのバッグをそのまま使ってる。」
「しかも小学生のときのかよ!」
「当り前じゃん。わざわざ買いなおすわけないじゃん。エコのためにやってるんだから。」
由美は胸を張った。
「確かにそうだけど! だけど、そのっ。大人のお前がランドセルを背負ったらっ……。」
「私が背負ったら、何?」
「エコというよりエロじゃん……。」
真一は由美がランドセルを背負ってる姿を見てからずっと思っていたことをとうとう打ち明けた。
20代前半の由美は背が低く肌もきれいで、年齢を言うといつも相手に驚かれるくらいの童顔だった。
由美と初めて会ったのは大学時代の友人からの紹介で、真一は由美に一目ぼれを
「うっわ~~。ランドセルでエロいと思う思考回路、引っくわ~。」
由美はどん引きしてた。
ランドセルを背負って買い物に来る思考回路をした奴に言われたくない、真一は思った。
結局その日はあの場で別れてしまった。
しかしその夜、思い直し冷静になった真一は由美に電話で誠心誠意を尽くし謝り許してもらった。
本当は破局してもおかしくなかった。
ランドセルをエコバッグにする思考回路と、それをエロいと思う思考回路の衝突で生じた摩擦。
それを一夜にして解消してしまうのだから真一が帰宅後にランドセルを背負う由美を思い出しながら行った摩擦は偉大である。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第回『』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約1時間3分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=vHZqGulaWAU
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
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~・~・~・~・~
「じゃあ待ち合わせは駅前ってことで。」
真一は電話を切ったあと、よく考えてみればこれが由美との初めてのデートになるのかもしれないなと思った。
今まで何度も食事をしてきたが、どれも平日の会社が終わってから会うというものであまりムードのあるものではなかった。
付き合い始めてから休日はお互い忙しくてスケジュールを合わせることができなかったが、この度ようやく日曜日に会えることができるようになったのだった。
といっても由美は午後から仕事が入っているので会えるのは午前中だけであり、軽くショッピングだけすることになった。
しかもそのショッピングも近所のスーパーに由美の夕食の買い出しの付き添いだった。
夕食よりもムードがないように思えるが、二人でスーパーに買いに行くなんて同棲してるようで真一の胸は高鳴った。
日曜日、真一が駅前で待っていると由美の声が聞こえた。
スマホから顔を上げた真一の目に飛び込んだのは、私服姿の由美だった。
今までは会社帰りのスーツ姿の由美しか見たことがないので真一には新鮮に映った。
クリーム色のロングスカートに薄いピンク色のブラウス、そしてそのブラウスの両肩にぐいっと食い込んでいるのは真っ赤なランドセルだった。
「ラ、ランドセル?」
真一はぎょっとした。
しかし由美はなんでもないようにそうだよと答えた。
周りを歩く人たちもいい大人なのにランドセルを背負う由美をじろじろと見ていた。
「えーと、最近そういうの流行ってるの……?」
「流行ってるっていうかこれが普通だよね。」
うそつけ!
みんなお前のこと変態を見る目で見てるじゃねえか!
ファッションに熱心ではない真一もこれが絶対に流行っていないということはわかっていた。
しかし真一の戸惑いをよそに由美はいたずらっぽい笑みを浮かべ真一の顔をのぞきこんだ。
「あれ~? 真一君はお買い物のとき持って行かないの~?」
「当り前だろ! そもそもそんなの持ってねえよ!」
すると由美は少し真顔になった。
「もうだめだよ真一君。エコバッグはちゃんと持ってなきゃ。」
エコバッグという一言に驚く真一を気にするでもなく、由美は環境だとかビニール袋だとかを説いていた。
「てことは由美はエコバッグとしてランドセルを持ってるのか?」
今更要約するようなことを言う真一に由美はきょとんとした。
「そうだよ? 小学生のときのバッグをそのまま使ってる。」
「しかも小学生のときのかよ!」
「当り前じゃん。わざわざ買いなおすわけないじゃん。エコのためにやってるんだから。」
由美は胸を張った。
「確かにそうだけど! だけど、そのっ。大人のお前がランドセルを背負ったらっ……。」
「私が背負ったら、何?」
「エコというよりエロじゃん……。」
真一は由美がランドセルを背負ってる姿を見てからずっと思っていたことをとうとう打ち明けた。
20代前半の由美は背が低く肌もきれいで、年齢を言うといつも相手に驚かれるくらいの童顔だった。
由美と初めて会ったのは大学時代の友人からの紹介で、真一は由美に一目ぼれを
「うっわ~~。ランドセルでエロいと思う思考回路、引っくわ~。」
由美はどん引きしてた。
ランドセルを背負って買い物に来る思考回路をした奴に言われたくない、真一は思った。
結局その日はあの場で別れてしまった。
しかしその夜、思い直し冷静になった真一は由美に電話で誠心誠意を尽くし謝り許してもらった。
本当は破局してもおかしくなかった。
ランドセルをエコバッグにする思考回路と、それをエロいと思う思考回路の衝突で生じた摩擦。
それを一夜にして解消してしまうのだから真一が帰宅後にランドセルを背負う由美を思い出しながら行った摩擦は偉大である。
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