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第12回『ロマンティック 最高級品 ハングリー精神』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第12回『ロマンティック 最高級品 ハングリー精神』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約55分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=fTNAMlbOEnk
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
「初デートでは何を食べたい?」
スマホから顔を上げた美嘉は後ろの席にいる梢に聞いた。
梢は授業が終わったばかりだというのにもうスマホをいじっていた美嘉にあきれながら答えた。
「えー、何急に。まさか美嘉彼氏できたの?」
「ぎゃははは。違うって。何がいいかなーって。」
それはいかにも高校生の女の子らしい、将来の甘酸っぱい理想を夢想しあう会話だった。
「うーん、やっぱりそれは彼氏と話し合って決めるんじゃない? 何が食べたい?って。時間がいつなのかにもよるし。」
梢の優等生のような回答に美嘉は両足をばたばたと振って、隣りの席の椅子を蹴ってしまった。
何事かと驚いた女生徒に美嘉は謝るジェスチャーをした。
「かーっ。違うって。これはね、戦いなのよ。」
「戦いって自分と彼氏との?」
「ううん。恋との戦い。この恋は正解なのかってことよ。」
さっき謝っていた美嘉のジェスチャーは、まるで海外の政治家の演説のようなジェスチャーに変わっていた。
「あー、今後を占うみたいな感じ? それならわかるかも。」
少し乗ってきた梢の反応に美嘉のボルテージは上がった。
「そういうこと! で、梢は? 梢なら初デートの食事は何がいい?」
身を乗り出す美嘉に梢は少し視線をそらしながら考えた。
「うーん、やっぱり好きなものを食べたいなー。おからハンバーグとかセロリとか。」
美嘉は机にごんごんと頭をぶつけた。
「っかー。違うでしょ~。それじゃ何もわからないでしょ~。」
「わからない?」
梢は先ほど占いのようなものと言ったことを思い出した。
しかしそれでも美嘉の言うわからないという言葉の意味がわからなかった。
「つまりね、初デートの食事に何をチョイスするかで彼氏が私のことをどう思っているのか、それにそれに彼氏がどれほどの男かってのもわかるのよ!」
でも美嘉だって男の子と付き合ったことないじゃんと言いたかったが、ひとまず梢は美嘉の力説にうなづいた。
「おしゃれなレストランとか?」
梢が雑誌でよく見かけるような文句を言うと、美嘉は指をさして同意した。
「そう、そういうの! そういう店選ぶってことなら彼氏もデートをロマンティックなものにしたいってことがわかるでしょ! 本気度が高いわ! これはポイントゲットよ! 美嘉ポイント!」
美嘉ポイントという今初めて出た言葉に笑う梢を無視して美嘉は話を続けた。
「でもね、その答えだとまだ私という女の値段は測れてないわ。ここはずばり高級レストランに連れて行ってほしいところよね。私という最高級の女を手に入れたければ、食事も最高級品でもてなしてくれなくちゃ!」
美嘉がアニメの高慢な女性のように自分の胸に手を当てて言うと、美嘉と梢は笑った。
「あはは、何それ。それ彼氏におごってもらう前提じゃん。ひっどー。」
「ねー。こっちが高校生ならあっちも多分高校生じゃん。高級レストランに普通に入る高校生! それこそねーわ!」
美嘉が自分で自分に突っ込むと、二人はまた大笑いした。
「そもそも美嘉って高級な味わかるの?」
梢はいつも美嘉とお昼ご飯を食べるが、彼女が家から持ってきたお弁当なのに対して美嘉はコンビニの菓子パンとデザートが常だった。
惣菜パンを買うことは少なくデザートにもクリームやチョコがかかっていて、美嘉にとって食事はハイカロリーであることの方が重要なんじゃないかと梢には思えた。
「そうだよねー。そんなこと言ってたら私なんか一生彼氏なんかできないわ。」
美嘉は自分の足をもみながら答えた。
「そもそもお腹が空いていたらなんでもおいしいよね。」
梢は美嘉に菓子パン中心の食事を改めてほしい気持ちも込めた。
「そうそう。つまり恋に大切なのは常にハングリー精神でいることだよ。そうすれば何食ってもうまいし彼氏とうまくいってハッピーってなるし。」
肉体的にお腹を空かせるって話をしてんだからハングリー精神はちげえだろ、先ほど美嘉に椅子を蹴られた生徒は次の授業のノートを広げながら心の中でつぶやいた。
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第12回『ロマンティック 最高級品 ハングリー精神』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
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詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
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「初デートでは何を食べたい?」
スマホから顔を上げた美嘉は後ろの席にいる梢に聞いた。
梢は授業が終わったばかりだというのにもうスマホをいじっていた美嘉にあきれながら答えた。
「えー、何急に。まさか美嘉彼氏できたの?」
「ぎゃははは。違うって。何がいいかなーって。」
それはいかにも高校生の女の子らしい、将来の甘酸っぱい理想を夢想しあう会話だった。
「うーん、やっぱりそれは彼氏と話し合って決めるんじゃない? 何が食べたい?って。時間がいつなのかにもよるし。」
梢の優等生のような回答に美嘉は両足をばたばたと振って、隣りの席の椅子を蹴ってしまった。
何事かと驚いた女生徒に美嘉は謝るジェスチャーをした。
「かーっ。違うって。これはね、戦いなのよ。」
「戦いって自分と彼氏との?」
「ううん。恋との戦い。この恋は正解なのかってことよ。」
さっき謝っていた美嘉のジェスチャーは、まるで海外の政治家の演説のようなジェスチャーに変わっていた。
「あー、今後を占うみたいな感じ? それならわかるかも。」
少し乗ってきた梢の反応に美嘉のボルテージは上がった。
「そういうこと! で、梢は? 梢なら初デートの食事は何がいい?」
身を乗り出す美嘉に梢は少し視線をそらしながら考えた。
「うーん、やっぱり好きなものを食べたいなー。おからハンバーグとかセロリとか。」
美嘉は机にごんごんと頭をぶつけた。
「っかー。違うでしょ~。それじゃ何もわからないでしょ~。」
「わからない?」
梢は先ほど占いのようなものと言ったことを思い出した。
しかしそれでも美嘉の言うわからないという言葉の意味がわからなかった。
「つまりね、初デートの食事に何をチョイスするかで彼氏が私のことをどう思っているのか、それにそれに彼氏がどれほどの男かってのもわかるのよ!」
でも美嘉だって男の子と付き合ったことないじゃんと言いたかったが、ひとまず梢は美嘉の力説にうなづいた。
「おしゃれなレストランとか?」
梢が雑誌でよく見かけるような文句を言うと、美嘉は指をさして同意した。
「そう、そういうの! そういう店選ぶってことなら彼氏もデートをロマンティックなものにしたいってことがわかるでしょ! 本気度が高いわ! これはポイントゲットよ! 美嘉ポイント!」
美嘉ポイントという今初めて出た言葉に笑う梢を無視して美嘉は話を続けた。
「でもね、その答えだとまだ私という女の値段は測れてないわ。ここはずばり高級レストランに連れて行ってほしいところよね。私という最高級の女を手に入れたければ、食事も最高級品でもてなしてくれなくちゃ!」
美嘉がアニメの高慢な女性のように自分の胸に手を当てて言うと、美嘉と梢は笑った。
「あはは、何それ。それ彼氏におごってもらう前提じゃん。ひっどー。」
「ねー。こっちが高校生ならあっちも多分高校生じゃん。高級レストランに普通に入る高校生! それこそねーわ!」
美嘉が自分で自分に突っ込むと、二人はまた大笑いした。
「そもそも美嘉って高級な味わかるの?」
梢はいつも美嘉とお昼ご飯を食べるが、彼女が家から持ってきたお弁当なのに対して美嘉はコンビニの菓子パンとデザートが常だった。
惣菜パンを買うことは少なくデザートにもクリームやチョコがかかっていて、美嘉にとって食事はハイカロリーであることの方が重要なんじゃないかと梢には思えた。
「そうだよねー。そんなこと言ってたら私なんか一生彼氏なんかできないわ。」
美嘉は自分の足をもみながら答えた。
「そもそもお腹が空いていたらなんでもおいしいよね。」
梢は美嘉に菓子パン中心の食事を改めてほしい気持ちも込めた。
「そうそう。つまり恋に大切なのは常にハングリー精神でいることだよ。そうすれば何食ってもうまいし彼氏とうまくいってハッピーってなるし。」
肉体的にお腹を空かせるって話をしてんだからハングリー精神はちげえだろ、先ほど美嘉に椅子を蹴られた生徒は次の授業のノートを広げながら心の中でつぶやいた。
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