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第4回『リモコン 回路図 謎かけ』
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YouTubeで行った
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第4回『リモコン 回路図 謎かけ』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約1時間6分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
https://www.youtube.com/watch?v=TRjCMCUPKMw
↓使用させていただいたサイト↓
ランダム単語ガチャ
https://tango-gacha.com/
~・~・~・~・~
ある日助手は博士の研究室に呼び出された。
「どうしたんですか? 最近はずっと研究室にこもりっぱなしでしたが。」
目の下に大きなクマを作った博士の目がニッカリと弧を描き笑った。
「まあな。おかげさまで睡眠不足で栄養不足だ。おまけに運動不足だ。お前さんは大丈夫か?」
白衣の下はガッチリとした体をしている助手は手を広げた。
「もちろん。僕はジムに通ってますから。」
博士は再び笑った。
「ふっ。それは結構。ところで助手、科学はつまらないものだと思うか?」
助手はかぶりを振った。
「まさか。それだったら僕は博士についてきてませんよ。科学には夢がつまっていますから。」
「素晴らしい。では科学には他に何がつまっていると思う?」
助手は少し考えた。
「夢と? えーと希望ですか? なんだか謎かけみたいですね。夢とほにゃらら、どちらも科学につまっているでしょうみたいな。」
「ふふふ。科学者にしては抽象的な答えばかりだな。その点では失格だぞ。よろしい。これを見たまえ。」
頭をかく助手をよそに博士は机の上のスイッチを押した。
すると大きなモーターの音とともにワイヤーを巻き取る音がして、部屋の壁が真っ二つに開いていった。
壁の先は巨大なガレージとなっていた。
「ここの存在は君も知らなかったろう。わしだけの秘密だからな。」
助手は口をあんぐり開けたままだった。
その理由はいつも仕事をしていたこの研究室の中にガレージがあったからだけではない。
鋼鉄の手足、樽のような胴、そして今にも光りだしそうな目。
ガレージには全長20mもあろうかというロボットが立っていたからである。
下からサーチライトで照らされたそれは助手には神か怪物のように思えた。
「長年仕事の合間を縫って作っていたのだ。追い込みの甲斐あってこのたび見事完成したのだ。」
助手は博士とロボットを交互に見ながらはしゃいだ。
「す、すごいです博士! まさか一人でこんなものを作っていたなんて! これ動くんですか?」
「当り前だ。そのためのロボットだ。今日は初始動だ。君には今からこのロボットに乗り込んでもらう。そのために来てもらった。」
助手の興奮はさらに上がった。
「僕ですか? 僕がこれに乗っていいんですか?」
「何度も言わせるな。だから来てもらったのだ。」
博士は点検事項をつぶやきながら始動のための準備を始めた。
「うれしいなあ。僕、ロボットを操縦するのが夢だったんですよ。」
分厚いマニュアルから目を離さずに博士はスイッチを次々に入れていっていた。
「操縦? 何を言っているんだ。」
「だって博士今言ったじゃないですか。僕に乗ってもらうって。それってパイロットになってもらうという意味じゃないんですか?」
「ああ、君は巨大ロボットというと車のように乗って操縦するという世代か。わしの世代は違うよ。ロボットはリモコンで操縦するもんだ。」
博士があごで差した方にはテーブルがあり、その上にはリモコンが置いてあった。
リモコンには歩くやしゃがむと書かれてあったり、そのほか赤や青に塗られただけなどのさまざまなボタンがあった。
「さっきの答えだがな、科学には人がつまっているのだよ。」
外部から操縦するのなら自分がロボットに乗り込む理由がさっぱりわからない助手ははあという返事をすることしかできなかった。
助手が視線を落とすと、テーブルにはリモコンのほかに一枚の紙があった。
そこに書かれてあるのは回路図であり、どうやらこのロボットのもののようだった。
助手が眺めていると回路図に見慣れない、というよりも見たことのない記号があった。
そもそもよく見てみるとこの回路図には電気回路にあるべき電源の記号がなかった。
電源がなければロボットは動かない。
となればこの見たことのない記号が電源なのか?
丸の中に「入」……電気を入れる……?
違う、これは「入」ではなく「人」だ。
助手はロボットの背後に回り見上げた。
ロボットの背中には人が入れるほどの大きさのハムスターの回し車のようなものがあった。
助手は博士を見た。
博士はうなずいた。
「科学には人がつまっているんだ。」
ライブ配信にて三題噺を即興で書きました 第4回『リモコン 回路図 謎かけ』
の完成テキストです。
お題はガチャで決めました。
お題には傍点を振ってあります。
所要時間は約1時間6分でした。
詳しくは動画もご覧いただけたら幸いです。↓
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~・~・~・~・~
ある日助手は博士の研究室に呼び出された。
「どうしたんですか? 最近はずっと研究室にこもりっぱなしでしたが。」
目の下に大きなクマを作った博士の目がニッカリと弧を描き笑った。
「まあな。おかげさまで睡眠不足で栄養不足だ。おまけに運動不足だ。お前さんは大丈夫か?」
白衣の下はガッチリとした体をしている助手は手を広げた。
「もちろん。僕はジムに通ってますから。」
博士は再び笑った。
「ふっ。それは結構。ところで助手、科学はつまらないものだと思うか?」
助手はかぶりを振った。
「まさか。それだったら僕は博士についてきてませんよ。科学には夢がつまっていますから。」
「素晴らしい。では科学には他に何がつまっていると思う?」
助手は少し考えた。
「夢と? えーと希望ですか? なんだか謎かけみたいですね。夢とほにゃらら、どちらも科学につまっているでしょうみたいな。」
「ふふふ。科学者にしては抽象的な答えばかりだな。その点では失格だぞ。よろしい。これを見たまえ。」
頭をかく助手をよそに博士は机の上のスイッチを押した。
すると大きなモーターの音とともにワイヤーを巻き取る音がして、部屋の壁が真っ二つに開いていった。
壁の先は巨大なガレージとなっていた。
「ここの存在は君も知らなかったろう。わしだけの秘密だからな。」
助手は口をあんぐり開けたままだった。
その理由はいつも仕事をしていたこの研究室の中にガレージがあったからだけではない。
鋼鉄の手足、樽のような胴、そして今にも光りだしそうな目。
ガレージには全長20mもあろうかというロボットが立っていたからである。
下からサーチライトで照らされたそれは助手には神か怪物のように思えた。
「長年仕事の合間を縫って作っていたのだ。追い込みの甲斐あってこのたび見事完成したのだ。」
助手は博士とロボットを交互に見ながらはしゃいだ。
「す、すごいです博士! まさか一人でこんなものを作っていたなんて! これ動くんですか?」
「当り前だ。そのためのロボットだ。今日は初始動だ。君には今からこのロボットに乗り込んでもらう。そのために来てもらった。」
助手の興奮はさらに上がった。
「僕ですか? 僕がこれに乗っていいんですか?」
「何度も言わせるな。だから来てもらったのだ。」
博士は点検事項をつぶやきながら始動のための準備を始めた。
「うれしいなあ。僕、ロボットを操縦するのが夢だったんですよ。」
分厚いマニュアルから目を離さずに博士はスイッチを次々に入れていっていた。
「操縦? 何を言っているんだ。」
「だって博士今言ったじゃないですか。僕に乗ってもらうって。それってパイロットになってもらうという意味じゃないんですか?」
「ああ、君は巨大ロボットというと車のように乗って操縦するという世代か。わしの世代は違うよ。ロボットはリモコンで操縦するもんだ。」
博士があごで差した方にはテーブルがあり、その上にはリモコンが置いてあった。
リモコンには歩くやしゃがむと書かれてあったり、そのほか赤や青に塗られただけなどのさまざまなボタンがあった。
「さっきの答えだがな、科学には人がつまっているのだよ。」
外部から操縦するのなら自分がロボットに乗り込む理由がさっぱりわからない助手ははあという返事をすることしかできなかった。
助手が視線を落とすと、テーブルにはリモコンのほかに一枚の紙があった。
そこに書かれてあるのは回路図であり、どうやらこのロボットのもののようだった。
助手が眺めていると回路図に見慣れない、というよりも見たことのない記号があった。
そもそもよく見てみるとこの回路図には電気回路にあるべき電源の記号がなかった。
電源がなければロボットは動かない。
となればこの見たことのない記号が電源なのか?
丸の中に「入」……電気を入れる……?
違う、これは「入」ではなく「人」だ。
助手はロボットの背後に回り見上げた。
ロボットの背中には人が入れるほどの大きさのハムスターの回し車のようなものがあった。
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