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#04・魔法の言葉
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不良グループ神威感染事件の翌日。
ラボには不良グループから集めたアンプルでワクチンを作ろうと実験に取り掛かっている、研究員達がいた。
朝から忙しなく動いている研究員達の中には、イグナシオとオズワルドの姿もあった。
「リヒト、こっち手伝ってくれ」
「ラファエロ、手を貸してくれないかい?」
「へいへい」
「はーい」
リヒトとラファエロは言われるがままに、ラボ内を駆け巡っては実験道具を運んだり、新しいアンプルを持って来たりと大忙しだ。
「ここをこうして、あれをああしようと思うんだけど、どう思う?」
「ん~……、それよりもここをああした方がよくないかな?」
「……あぁ、なるほど。さすがだね、ラファエロ」
オズワルドがラファエロに指摘された通りに数式を書き換える。
理系方面に弱いリヒトには、パッと見、ただの記号にしか見えない。
「失礼しまーす」
不意に声と共にラボの自動ドアが開いた。
聞き覚えのある声にリヒトが振り向くと、そこにはミレイユがいた。
手にはニコラエヴィッチに渡せと言われたであろう資料が山積みになっていた。
――よく転ばずに運べたな……。
「神威感染者達の資料を届けに来……あわわっ!!」
案の定、資料のせいで前が見えないミレイユは何もない所でズルリと足を滑らせた。
その様をたまたま目にしてしまったイグナシオは「あ……」っと小さく声を上げた。
「っと!」
バサバサっとミレイユの手から放たれた資料がラボの床に落ちていく。
「危ないなぁ……、大丈夫?」
とっさに倒れそうになったミレイユの腰を抱きとめたラファエロがミレイユに尋ねた。
「あ……う、うん……」
「怪我とかない?」
ミレイユの体をちゃんと立たせてあげると、ラファエロはミレイユの体を見回した。
「……うん、ないみたいだね。今度からは気をつけなよ?」
「あ、あの!」
作業に戻ろうとしたラファエロの手をミレイユが掴む。
「ん?何?」
「わ、私、ミレイユ=ヴェントっていうの」
「あぁ、リヒト達の知り合いの。僕はラファエロ=サヴァレーゼ、よろしくね」
ラファエロは笑みを浮かべると、いつものようにスっと手を差し出した。
ミレイユは少し躊躇したものの、ラファエロの手に自身の手を重ねた。
――……落ちたな、こいつ。
リヒトはラファエロにキラキラとした視線を送るミレイユを見て、複雑な心境になった。
「ラファエロってすごいいい子じゃない!かっこかわいいし!イグナシオが嫌う理由がちっぽけに思えてくる」
「お前、ここラボなんだから静かにしろよ」
リヒトがミレイユに注意した。
ミレイユは「ごめん、つい……」っと自身の口を自身の手で慌てて、塞いだ。
「お前、助けられたからって何、気に入ってんだよ。単純な奴だな」
「人は単純なものだよ?イグナシオ」
ミレイユはそう答えると、床にばらまいてしまった資料を集め始めた。
「それにしても、昨日は大収穫だったね。ニコが喜んでたよ、いい数値が取れたって」
「あいつでも喜んだりすんだな」
「リヒト、ニコだって人間なんだよ」
資料をせっせと拾うミレイユを見て、手持ち無沙汰になっていたリヒトは自分の周りに落ちている資料を拾い始めた。
「これでワクチンが出来たら、万々歳なんだけどね……」
「どんな感じなの?」っとミレイユがイグナシオに尋ねると、イグナシオは何とも言えないというような表情を浮かべた。
「そっか……。難しいんだね」
「俺にはさっぱり分かんねぇけどな」
同意を求めるように視線を投げてきたミレイユにリヒトが言った。
「じゃあ、私戻るね。資料はここに置いとくよ」
資料を拾い終えたミレイユは資料を机の上に置くと、早足でラボを後にした。
――あいつも頑張ってんのな。
「ありがとう、ラファエロ。助かったよ」
「どういたしまして」
オズワルドがラファエロの肩をポンっと軽く叩いた。
「いや~、ラファエロは戦闘員よりも俺の助手の方が向いてるんじゃないかな?ねぇ、今からでも俺の助手、やる気ないかい?」
――オズワルドがここまで懐くとはな。
「そうした方がいいんじゃないか?そうすりゃ、兄貴のコネだとか言われなくなるかも知れないぜ?」
和やかなムードを見事にぶち壊すイグナシオの言葉にリヒトは盛大なため息を吐いた。
「大体、何が"期待の大型ルーキー"だよ。大した活躍もしてないクセに」
「イグナシオ」
――全然懲りてねぇ……。
「昨日だって、俺とリヒトだけで充分だったしな」
「はぁ……、いい加減止めない?その後輩イジメ」
「聞かされてるこっちが不快になる」っとオズワルドがイグナシオに言った。
「君がラファエロに何かされた訳でもないのに、いつまでもグチグチネチネチと……。女々しいよ、イグナシオ」
「お前に関係ないだろ」
「関係ならあるよ。俺はラファエロの友達だからね」
オズワルドの言葉にイグナシオは苦虫を噛み潰したような表情になる。
「くだらねぇ……。何が友達だよ」
吐き出したイグナシオの一言に空気は一気に不穏になる。
「……僕、トレーニングあるから行くね」
そんな空気に耐えられなくなったのか、ラファエロが席を外した。
その寂しげな背中にリヒトの胸は罪悪感でいっぱいになった。
――大丈夫じゃねぇよな、どう見ても……。
「イグナシオ、とりあえず頭冷やしてから来い」
リヒトはイグナシオにそう言い放つと、急いでラファエロを追いかけた。
「ラファエロ!」
「リヒト?」
まさか追いかけて来るとは思っていなかったというラファエロの表情にリヒトはフッと笑みを浮かべる。
「トレーニングすんだろ?俺も付き合う」
「イグナシオはいいの?」
恐る恐る尋ねるラファエロにリヒトは「お前のが心配だからな」っと答えた。
「僕が心配?」
「あぁ。何か昨日から元気ねぇ気がしてよ」
リヒトに言われ、ラファエロはあからさまにしまったという顔をした。
どうやら、図星らしい。
「昨日も言ったが、初めてであそこまで出来りゃ上等なんだぞ?お前が落ち込む必要なんかどこにも……」
「ううん。イグナシオの言った通りだよ」
ラファエロがフルフルと頭を横に振る。
いつもの明るさはどこへやら、今のラファエロからは明るさが一切感じられない。
「……僕はね、アドリアーノみたいになりたいんだ」
ラファエロは静かに語り始めた。
「僕の家は、僕以外がみんな男で、父さんは母さんに似た僕が嫌いだったんだ。だからなのか、分かんないけど、僕を兄貴達と同じように男として扱われてきたの」
「男として扱われたのは別に苦じゃなかったけどね」っとラファエロが付け足す。
「けど、僕が完全な男になれる訳もなくて、父さんには毎日叱られてばっかりだった。『お前が女だから、弱いんだ』、『女のお前に何が守れるんだ』って」
ラファエロの声が震え出す。
そのあまりの弱々しさにリヒトは思わず、ラファエロを抱きしめたくなった。
「僕はそれが嫌になって、ある日、父さんに言ったんだ。『だったら、女なんかやめてやる』って。そしたら、兄貴達全員にすごい剣幕で怒られちゃって」
「今、思い出しても怖いよ」っと言いながら、ラファエロが両腕を擦った。
「兄貴達は僕が生まれてきて、嬉しかったみたいで、だから僕がそんな事言ったのが許せなかったんだって。その時にね、アドリアーノが言ってくれたんだ。『周りから愛されてる自覚を持って、自分自身を好きになれ』って」
その言葉がよっぽど嬉しかったのか、ラファエロの頬には自然と赤みがさし、いつものような可愛らしい笑みが溢れた。
不意打ちの笑顔にリヒトは思わず、カァーっと顔を赤らめた。
「僕は、その言葉に答えたい。だから、何が何でも頑張りたいんだ。アドリアーノのいる場所に辿り着くまでは」
「……なら、俺達も頑張らねぇとな」
ポンっとリヒトがラファエロの肩に手を置いた。
思いも寄らない、リヒトの返答にラファエロは大きな目を更に見開かせた。
「新人指導が終わっても、しばらくは俺達と一緒なんだ。俺達がフォロー出来るとこはしっかりフォローしてやるから、あんま1人で頑張ろうとすんな」
――お前はもう充分頑張ってんだからよ。
「……ありがとう、リヒト」
ラファエロは照れたように笑うと、リヒトの手を取り、トレーニングルームへ向かった。
ラボには不良グループから集めたアンプルでワクチンを作ろうと実験に取り掛かっている、研究員達がいた。
朝から忙しなく動いている研究員達の中には、イグナシオとオズワルドの姿もあった。
「リヒト、こっち手伝ってくれ」
「ラファエロ、手を貸してくれないかい?」
「へいへい」
「はーい」
リヒトとラファエロは言われるがままに、ラボ内を駆け巡っては実験道具を運んだり、新しいアンプルを持って来たりと大忙しだ。
「ここをこうして、あれをああしようと思うんだけど、どう思う?」
「ん~……、それよりもここをああした方がよくないかな?」
「……あぁ、なるほど。さすがだね、ラファエロ」
オズワルドがラファエロに指摘された通りに数式を書き換える。
理系方面に弱いリヒトには、パッと見、ただの記号にしか見えない。
「失礼しまーす」
不意に声と共にラボの自動ドアが開いた。
聞き覚えのある声にリヒトが振り向くと、そこにはミレイユがいた。
手にはニコラエヴィッチに渡せと言われたであろう資料が山積みになっていた。
――よく転ばずに運べたな……。
「神威感染者達の資料を届けに来……あわわっ!!」
案の定、資料のせいで前が見えないミレイユは何もない所でズルリと足を滑らせた。
その様をたまたま目にしてしまったイグナシオは「あ……」っと小さく声を上げた。
「っと!」
バサバサっとミレイユの手から放たれた資料がラボの床に落ちていく。
「危ないなぁ……、大丈夫?」
とっさに倒れそうになったミレイユの腰を抱きとめたラファエロがミレイユに尋ねた。
「あ……う、うん……」
「怪我とかない?」
ミレイユの体をちゃんと立たせてあげると、ラファエロはミレイユの体を見回した。
「……うん、ないみたいだね。今度からは気をつけなよ?」
「あ、あの!」
作業に戻ろうとしたラファエロの手をミレイユが掴む。
「ん?何?」
「わ、私、ミレイユ=ヴェントっていうの」
「あぁ、リヒト達の知り合いの。僕はラファエロ=サヴァレーゼ、よろしくね」
ラファエロは笑みを浮かべると、いつものようにスっと手を差し出した。
ミレイユは少し躊躇したものの、ラファエロの手に自身の手を重ねた。
――……落ちたな、こいつ。
リヒトはラファエロにキラキラとした視線を送るミレイユを見て、複雑な心境になった。
「ラファエロってすごいいい子じゃない!かっこかわいいし!イグナシオが嫌う理由がちっぽけに思えてくる」
「お前、ここラボなんだから静かにしろよ」
リヒトがミレイユに注意した。
ミレイユは「ごめん、つい……」っと自身の口を自身の手で慌てて、塞いだ。
「お前、助けられたからって何、気に入ってんだよ。単純な奴だな」
「人は単純なものだよ?イグナシオ」
ミレイユはそう答えると、床にばらまいてしまった資料を集め始めた。
「それにしても、昨日は大収穫だったね。ニコが喜んでたよ、いい数値が取れたって」
「あいつでも喜んだりすんだな」
「リヒト、ニコだって人間なんだよ」
資料をせっせと拾うミレイユを見て、手持ち無沙汰になっていたリヒトは自分の周りに落ちている資料を拾い始めた。
「これでワクチンが出来たら、万々歳なんだけどね……」
「どんな感じなの?」っとミレイユがイグナシオに尋ねると、イグナシオは何とも言えないというような表情を浮かべた。
「そっか……。難しいんだね」
「俺にはさっぱり分かんねぇけどな」
同意を求めるように視線を投げてきたミレイユにリヒトが言った。
「じゃあ、私戻るね。資料はここに置いとくよ」
資料を拾い終えたミレイユは資料を机の上に置くと、早足でラボを後にした。
――あいつも頑張ってんのな。
「ありがとう、ラファエロ。助かったよ」
「どういたしまして」
オズワルドがラファエロの肩をポンっと軽く叩いた。
「いや~、ラファエロは戦闘員よりも俺の助手の方が向いてるんじゃないかな?ねぇ、今からでも俺の助手、やる気ないかい?」
――オズワルドがここまで懐くとはな。
「そうした方がいいんじゃないか?そうすりゃ、兄貴のコネだとか言われなくなるかも知れないぜ?」
和やかなムードを見事にぶち壊すイグナシオの言葉にリヒトは盛大なため息を吐いた。
「大体、何が"期待の大型ルーキー"だよ。大した活躍もしてないクセに」
「イグナシオ」
――全然懲りてねぇ……。
「昨日だって、俺とリヒトだけで充分だったしな」
「はぁ……、いい加減止めない?その後輩イジメ」
「聞かされてるこっちが不快になる」っとオズワルドがイグナシオに言った。
「君がラファエロに何かされた訳でもないのに、いつまでもグチグチネチネチと……。女々しいよ、イグナシオ」
「お前に関係ないだろ」
「関係ならあるよ。俺はラファエロの友達だからね」
オズワルドの言葉にイグナシオは苦虫を噛み潰したような表情になる。
「くだらねぇ……。何が友達だよ」
吐き出したイグナシオの一言に空気は一気に不穏になる。
「……僕、トレーニングあるから行くね」
そんな空気に耐えられなくなったのか、ラファエロが席を外した。
その寂しげな背中にリヒトの胸は罪悪感でいっぱいになった。
――大丈夫じゃねぇよな、どう見ても……。
「イグナシオ、とりあえず頭冷やしてから来い」
リヒトはイグナシオにそう言い放つと、急いでラファエロを追いかけた。
「ラファエロ!」
「リヒト?」
まさか追いかけて来るとは思っていなかったというラファエロの表情にリヒトはフッと笑みを浮かべる。
「トレーニングすんだろ?俺も付き合う」
「イグナシオはいいの?」
恐る恐る尋ねるラファエロにリヒトは「お前のが心配だからな」っと答えた。
「僕が心配?」
「あぁ。何か昨日から元気ねぇ気がしてよ」
リヒトに言われ、ラファエロはあからさまにしまったという顔をした。
どうやら、図星らしい。
「昨日も言ったが、初めてであそこまで出来りゃ上等なんだぞ?お前が落ち込む必要なんかどこにも……」
「ううん。イグナシオの言った通りだよ」
ラファエロがフルフルと頭を横に振る。
いつもの明るさはどこへやら、今のラファエロからは明るさが一切感じられない。
「……僕はね、アドリアーノみたいになりたいんだ」
ラファエロは静かに語り始めた。
「僕の家は、僕以外がみんな男で、父さんは母さんに似た僕が嫌いだったんだ。だからなのか、分かんないけど、僕を兄貴達と同じように男として扱われてきたの」
「男として扱われたのは別に苦じゃなかったけどね」っとラファエロが付け足す。
「けど、僕が完全な男になれる訳もなくて、父さんには毎日叱られてばっかりだった。『お前が女だから、弱いんだ』、『女のお前に何が守れるんだ』って」
ラファエロの声が震え出す。
そのあまりの弱々しさにリヒトは思わず、ラファエロを抱きしめたくなった。
「僕はそれが嫌になって、ある日、父さんに言ったんだ。『だったら、女なんかやめてやる』って。そしたら、兄貴達全員にすごい剣幕で怒られちゃって」
「今、思い出しても怖いよ」っと言いながら、ラファエロが両腕を擦った。
「兄貴達は僕が生まれてきて、嬉しかったみたいで、だから僕がそんな事言ったのが許せなかったんだって。その時にね、アドリアーノが言ってくれたんだ。『周りから愛されてる自覚を持って、自分自身を好きになれ』って」
その言葉がよっぽど嬉しかったのか、ラファエロの頬には自然と赤みがさし、いつものような可愛らしい笑みが溢れた。
不意打ちの笑顔にリヒトは思わず、カァーっと顔を赤らめた。
「僕は、その言葉に答えたい。だから、何が何でも頑張りたいんだ。アドリアーノのいる場所に辿り着くまでは」
「……なら、俺達も頑張らねぇとな」
ポンっとリヒトがラファエロの肩に手を置いた。
思いも寄らない、リヒトの返答にラファエロは大きな目を更に見開かせた。
「新人指導が終わっても、しばらくは俺達と一緒なんだ。俺達がフォロー出来るとこはしっかりフォローしてやるから、あんま1人で頑張ろうとすんな」
――お前はもう充分頑張ってんだからよ。
「……ありがとう、リヒト」
ラファエロは照れたように笑うと、リヒトの手を取り、トレーニングルームへ向かった。
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