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act12・新たなる一歩を踏み出すために
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翌朝。ジュリアンは、朝一番にダル気なクーフェイを引きずって、街の依頼所へとやって来ていた。依頼所には、ジュリアン達同様、張り紙を見て、魔族退治に参加しようと意気込む人々がわらわらと群がっている。
――すごい迫力……。
辺りを見渡せば、鎧で全身武装したフリーの傭兵から軽装の盗賊まで多種多様な職種の人々が我こそはと自信ありげに自身の獲物をちらつかせていた。
――場違いだよね、やっぱり。
そんな独特な緊張感に包まれた場に貧相な体付きをしたジュリアンが現れれば、みないいカモが来たとばかりにくつくつと笑い始める。
「っわ……!」
不意に体が軽くなり、ジュリアンは前のめりに倒れかける。嫌がらせでもされたのかと背後に目をやると、先程まで背中にくっついていたクーフェイが猫背気味に立っていた。
「クーフェイ?」
「……さっさとエントリーしに行くぞ」
ガスマスク越しにくぐもったクーフェイの声が聞こえた。心なしか、その声は少し不機嫌そうだ。
「おい、何だよ。あの貧相な2人組は」
ふと耳に入ってきた言葉にジュリアンの足はピタリと止まる。見れば、そこには体格のいい用心棒ともやしのようなひょろい体の魔法使いがいた。
「足でまといになるって分かんないのかよ」
「そうだそうだ」
ゲラゲラと下品な笑い声を上げる2人。それに賛同するかのように周りもおもむろに笑い始める。これではそこらのチンピラと分からないではないか。そう思いつつ、ジュリアンは聞こえないフリをして、止めていた足を踏み出した。
「ん?つか、あいつ、見た事あるぞ」
「あぁ、そりゃそうだ。あいつ、お人好しで有名なヴィンチェンティーノんとこの息子だぞ」
「……っ!」
魔法使いの言葉に再び、ジュリアンの足が止まる。
「あ~、あの無限金貸出機か。いや、スケープゴートの方があってるか」
「なら、危なくなったら、代わりに死んでもらうか。お人好しな両親譲りなら、それが本望だろう」
心ない言葉にジュリアンの胸は押し潰されたような感覚に陥る。言われ慣れているはずの言葉だが、ここまで酷い事を言われたのは初めてだ。
――……痛い。
「……あぁ、聞こえちまってたか。こりゃ悪ぃ」
「人が悪いッスよ。あ~ぁ、今にも泣きそうじゃないッスか」
魔法使いがジュリアンに近付き、いやらしく笑みを浮かべる。その笑みはまるで悪魔のようで、ジュリアンは思わず顔を背けてしまう。
「体同様、弱っち……」
用心棒が下品な笑みを浮かべ、言いかけた時、見覚えのあるブーツが勢いよく横を掠めていく。
「うるさいよ、脳筋」
用心棒の顔を思い切り踏みつけ、突如姿を現したのは神出鬼没のロロだ。ロロは用心棒の顔を地面代わりに後ろに飛び上がると、ガラ空きになっている腹部に鋭い蹴りをお見舞いした。細身のロロだが、魔力の込められたブーツから放たれた一撃は用心棒を吹き飛ばす程の勢いだった。
「ぐはっ……!」
地面に数回バウンドした用心棒は、野次馬化していた人々の中へと突っ込んでいく。
「ちょっ……、あいつってあのロロ=ルシエンテスじゃ……!?」
「マジかよ。本物初めて見た……」
「じゃあ、あの勇者くんって、ロロが気に入って、最近贔屓してるって噂の勇者くん!?」
ロロの登場に人々は驚いたり、感動したり、怯えたりと百面相している。その様に改めて、ロロがただ者ではないと実感するジュリアン。
「全く、こんなのが仲間じゃ先が思いやられるよ」
そんな人々を総スルーし、ロロはジュリアンに目をやる。
「やぁ、勇者くん、怠惰くん。来てくれて嬉しいよ」
「……その呼び方止めろ」
「あらら、今日はいつにもまして不機嫌だね」
「短気なお前にだけは言われたくない」
――仲悪いな、本当……。
「ロロさん、あの……!」
「さ、気を取直してエントリーに行こうか」
野次馬の中からロロに好意を抱いているであろう、弓兵の少女が声をかけるが、ロロはまるで少女など眼中にないと言わんばかりに無視し続ける。これにはさすがに可哀想ではないかとジュリアンがロロを見れば、ロロは冷ややかな視線を辺りに振り撒いていた。
「おや、これは珍しいですね。あのロロ=ルシエンテスがこんな所にいるとは」
「げっ……!?」
――また厄介なのが……。
一難去ってまた一難とはよく言ったものだ。ジュリアンがゆっくりと声のした方に目をやると、そこには不敵な笑みを浮かべたベアートゥスが立っていた。案の定、ベアートゥスの登場により、ロロの機嫌は最上級に悪くなる。
「ジュリアン、開口一番に"げっ……!?"はないでしょう」
「つい条件反射で」
「どんな条件反射ですか、それ」
「勇者くん、そんな奴いいから早く」
ロロはそう言うと、ジュリアンの手首を掴み、歩き出した。絡む気力もないと言った感じらしい。その反応にベアートゥスは興が冷めたと目を据わらせた。
_______________
何とかエントリーを済ませたジュリアン、クーフェイ、ロロの3人はエントリーを終えたメンバーの集まる講堂へとやって来た。
「いたいた。遅いよ、3人とも!」
一足先に来ていたルアンナが手を振り、3人を呼ぶ。その両サイドには、フレデリック、グレーテル、ダルタニアンがいる。
「ごめんごめん。ちょっと色々あって……」
「早く席着いた方がいいぞ」
「あ、うん!」
フレデリックに言われ、3人は急いで席に着く。
「……もう大丈夫なのか?お前」
「ん?あぁ、大丈夫だよ」
気まずそうに尋ねてくるフレデリックにジュリアンは笑いながら返す。
「心配かけてごめんな」
「本当だよ。ルアンナなんかすごい落ち込んで……」
「わ~!!!言わなくていいから!!」
ルアンナに口を塞がれたグレーテルは、目でジュリアンに何か訴えかけてくる。が、残念ながらジュリアンにそれを読み取る能力はない。
「と、とにかく!元気になってよかったよ」
「ありがとうね、みんな」
「気にすんなって」
フレデリックはそう言うと、嬉しげに笑いながら、ジュリアンの頭を撫でた。
「和んでいる所悪いが、始まるぞ」
そんな4人にダルタニアンが声をかける。それと同時に講堂のステージに1人の男が姿を現す。
「シルヴィオ=シュヴァルツェンベルクだ!」
「うわぁ……!美形……」
シルヴィオ=シュヴァルツェンベルク――。とある戦いを勝利に導いたとされ、一部で英雄扱いされている人物だ。ロロ同様、レア度の高い美形にジュリアンは思わず、見とれてしまう。
――強さと顔のよさは比例するのかな。
「今回、魔族調査隊の隊長を務める事となったシルヴィオだ。皆、今日集まってくれた事を感謝する」
凛々しく、気高い雰囲気と声色にジュリアンは思わず、隣でだらけて座っているクーフェイに目をやる。
――これと同い年って何かの間違いであってほしい……。
「概要は依頼所に掲載した依頼書の通り、復活した魔族の調査だ。あくまで魔族の生態、行動などを調査するものであり、魔族を倒すものではない。が、奴らが攻撃してこないとも限らないため、十分警戒してほしい」
「あんな奴ら、さっさと倒しちまえばいいものを……」
シルヴィオの言葉にジュリアンの近くにいた用心棒風の男が呟いた。
――何だろう、この漂う死亡フラグ的なものは……。
「何も知らないというのは、幸せだね」
その呟きを聞いていたロロが呆れたように言った。
「では、チームの代表者はステージまで集まってくれ」
「行って来い、ジュリアン」
席を立つと同時にフレデリックに背中を叩かれたジュリアンは数歩前に進むと、叩かれた背中を摩り、ステージへと向かった。
――すごい迫力……。
辺りを見渡せば、鎧で全身武装したフリーの傭兵から軽装の盗賊まで多種多様な職種の人々が我こそはと自信ありげに自身の獲物をちらつかせていた。
――場違いだよね、やっぱり。
そんな独特な緊張感に包まれた場に貧相な体付きをしたジュリアンが現れれば、みないいカモが来たとばかりにくつくつと笑い始める。
「っわ……!」
不意に体が軽くなり、ジュリアンは前のめりに倒れかける。嫌がらせでもされたのかと背後に目をやると、先程まで背中にくっついていたクーフェイが猫背気味に立っていた。
「クーフェイ?」
「……さっさとエントリーしに行くぞ」
ガスマスク越しにくぐもったクーフェイの声が聞こえた。心なしか、その声は少し不機嫌そうだ。
「おい、何だよ。あの貧相な2人組は」
ふと耳に入ってきた言葉にジュリアンの足はピタリと止まる。見れば、そこには体格のいい用心棒ともやしのようなひょろい体の魔法使いがいた。
「足でまといになるって分かんないのかよ」
「そうだそうだ」
ゲラゲラと下品な笑い声を上げる2人。それに賛同するかのように周りもおもむろに笑い始める。これではそこらのチンピラと分からないではないか。そう思いつつ、ジュリアンは聞こえないフリをして、止めていた足を踏み出した。
「ん?つか、あいつ、見た事あるぞ」
「あぁ、そりゃそうだ。あいつ、お人好しで有名なヴィンチェンティーノんとこの息子だぞ」
「……っ!」
魔法使いの言葉に再び、ジュリアンの足が止まる。
「あ~、あの無限金貸出機か。いや、スケープゴートの方があってるか」
「なら、危なくなったら、代わりに死んでもらうか。お人好しな両親譲りなら、それが本望だろう」
心ない言葉にジュリアンの胸は押し潰されたような感覚に陥る。言われ慣れているはずの言葉だが、ここまで酷い事を言われたのは初めてだ。
――……痛い。
「……あぁ、聞こえちまってたか。こりゃ悪ぃ」
「人が悪いッスよ。あ~ぁ、今にも泣きそうじゃないッスか」
魔法使いがジュリアンに近付き、いやらしく笑みを浮かべる。その笑みはまるで悪魔のようで、ジュリアンは思わず顔を背けてしまう。
「体同様、弱っち……」
用心棒が下品な笑みを浮かべ、言いかけた時、見覚えのあるブーツが勢いよく横を掠めていく。
「うるさいよ、脳筋」
用心棒の顔を思い切り踏みつけ、突如姿を現したのは神出鬼没のロロだ。ロロは用心棒の顔を地面代わりに後ろに飛び上がると、ガラ空きになっている腹部に鋭い蹴りをお見舞いした。細身のロロだが、魔力の込められたブーツから放たれた一撃は用心棒を吹き飛ばす程の勢いだった。
「ぐはっ……!」
地面に数回バウンドした用心棒は、野次馬化していた人々の中へと突っ込んでいく。
「ちょっ……、あいつってあのロロ=ルシエンテスじゃ……!?」
「マジかよ。本物初めて見た……」
「じゃあ、あの勇者くんって、ロロが気に入って、最近贔屓してるって噂の勇者くん!?」
ロロの登場に人々は驚いたり、感動したり、怯えたりと百面相している。その様に改めて、ロロがただ者ではないと実感するジュリアン。
「全く、こんなのが仲間じゃ先が思いやられるよ」
そんな人々を総スルーし、ロロはジュリアンに目をやる。
「やぁ、勇者くん、怠惰くん。来てくれて嬉しいよ」
「……その呼び方止めろ」
「あらら、今日はいつにもまして不機嫌だね」
「短気なお前にだけは言われたくない」
――仲悪いな、本当……。
「ロロさん、あの……!」
「さ、気を取直してエントリーに行こうか」
野次馬の中からロロに好意を抱いているであろう、弓兵の少女が声をかけるが、ロロはまるで少女など眼中にないと言わんばかりに無視し続ける。これにはさすがに可哀想ではないかとジュリアンがロロを見れば、ロロは冷ややかな視線を辺りに振り撒いていた。
「おや、これは珍しいですね。あのロロ=ルシエンテスがこんな所にいるとは」
「げっ……!?」
――また厄介なのが……。
一難去ってまた一難とはよく言ったものだ。ジュリアンがゆっくりと声のした方に目をやると、そこには不敵な笑みを浮かべたベアートゥスが立っていた。案の定、ベアートゥスの登場により、ロロの機嫌は最上級に悪くなる。
「ジュリアン、開口一番に"げっ……!?"はないでしょう」
「つい条件反射で」
「どんな条件反射ですか、それ」
「勇者くん、そんな奴いいから早く」
ロロはそう言うと、ジュリアンの手首を掴み、歩き出した。絡む気力もないと言った感じらしい。その反応にベアートゥスは興が冷めたと目を据わらせた。
_______________
何とかエントリーを済ませたジュリアン、クーフェイ、ロロの3人はエントリーを終えたメンバーの集まる講堂へとやって来た。
「いたいた。遅いよ、3人とも!」
一足先に来ていたルアンナが手を振り、3人を呼ぶ。その両サイドには、フレデリック、グレーテル、ダルタニアンがいる。
「ごめんごめん。ちょっと色々あって……」
「早く席着いた方がいいぞ」
「あ、うん!」
フレデリックに言われ、3人は急いで席に着く。
「……もう大丈夫なのか?お前」
「ん?あぁ、大丈夫だよ」
気まずそうに尋ねてくるフレデリックにジュリアンは笑いながら返す。
「心配かけてごめんな」
「本当だよ。ルアンナなんかすごい落ち込んで……」
「わ~!!!言わなくていいから!!」
ルアンナに口を塞がれたグレーテルは、目でジュリアンに何か訴えかけてくる。が、残念ながらジュリアンにそれを読み取る能力はない。
「と、とにかく!元気になってよかったよ」
「ありがとうね、みんな」
「気にすんなって」
フレデリックはそう言うと、嬉しげに笑いながら、ジュリアンの頭を撫でた。
「和んでいる所悪いが、始まるぞ」
そんな4人にダルタニアンが声をかける。それと同時に講堂のステージに1人の男が姿を現す。
「シルヴィオ=シュヴァルツェンベルクだ!」
「うわぁ……!美形……」
シルヴィオ=シュヴァルツェンベルク――。とある戦いを勝利に導いたとされ、一部で英雄扱いされている人物だ。ロロ同様、レア度の高い美形にジュリアンは思わず、見とれてしまう。
――強さと顔のよさは比例するのかな。
「今回、魔族調査隊の隊長を務める事となったシルヴィオだ。皆、今日集まってくれた事を感謝する」
凛々しく、気高い雰囲気と声色にジュリアンは思わず、隣でだらけて座っているクーフェイに目をやる。
――これと同い年って何かの間違いであってほしい……。
「概要は依頼所に掲載した依頼書の通り、復活した魔族の調査だ。あくまで魔族の生態、行動などを調査するものであり、魔族を倒すものではない。が、奴らが攻撃してこないとも限らないため、十分警戒してほしい」
「あんな奴ら、さっさと倒しちまえばいいものを……」
シルヴィオの言葉にジュリアンの近くにいた用心棒風の男が呟いた。
――何だろう、この漂う死亡フラグ的なものは……。
「何も知らないというのは、幸せだね」
その呟きを聞いていたロロが呆れたように言った。
「では、チームの代表者はステージまで集まってくれ」
「行って来い、ジュリアン」
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