夜明けの丿怪物

カミーユ R-35

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第11話『変化』

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それから3日が立ち平穏な日々を過ごしているが、あの日から任堂の姿を見ていない。菅本さんに訪ねるも「あの方は普段からお忙しい方なので」と言われてしまった。

「あの任堂さんは今どちらに?」
「あぁ、今は海外での仕事がありまして暫く戻ってこないと思いますよ」そう言われてしまい少し寂しさを感じる自分に驚くが、それよりも任堂に会えず寂しいと思っている事に驚いた。
「どうかされましたか?」
「い、いえなんでもないですッ」慌てて否定すると菅本はクスリと笑った後再び仕事に戻って行ったのでホッと胸を撫で下ろす。そして今日もまた1日が始まるのだった。

そんなある日の事だった、いつものように部屋で過ごしていると突然部屋のドアが開き任堂が入ってきたのだ。久しぶりの登場に驚きつつも、それよりもいきなりキスをしてきた事の方が何倍も驚く。離れようとするも頭を掴まれ逃げられないようにされてしまう。
「んっ!んんッ!」(苦しい)必死に抵抗しようとするが力が強すぎてビクともしない。
「ぷはっ」ようやく解放された時には既に酸欠状態で頭がクラクラしていた。そんなソラを見て任堂はニヤリと笑うと言った。
「久しぶりだな、ソラ」その言葉にドキリとするがすぐに平静を装うと視線を逸らす。だがそれが気に入らなかったのか再び口付けてきたのだ。しかも先程よりも激しいもので息つく暇もないほどだった為次第に意識が朦朧としてきてしまう。(もうダメだ)そう思った時だった、急に唇を離され解放されると同時に床に崩れ落ちる。肩で息をしながら任堂を見上げると、彼は満足そうな表情を浮かべていた。

「な、なんでここに」
「お前さんに会いにきた」そう言って手を差し伸べてくるがその手を振り払うと立ち上がる。そしてキッパリと言った。
「僕はあなたのモノにはなりませんッ」そう言い放ち部屋を出ようとしたが腕を掴まれ引き止められる。
「離してください!」必死に抵抗するも力で敵うはずもなくズルズルと引き摺られていく。

「相変わらず生意気なやつだな。久しぶりでご主人様の顔を忘れたか?」そしてベッドの上に放り投げられたかと思うと、そのまま覆い被さってきた任堂に再び唇を奪われるのだった。今度は触れるだけの優しいものではなく舌を入れてきて歯列をなぞったり上顎を舐めたりと好き勝手暴れ回る。
「んふぅ、ちゅぱっ」クチュクチュと水音が部屋に響き渡る中、次第に身体の力が抜けていき抵抗出来なくなった頃ようやく解放された。

「はぁ、はぁ」肩で息をしながら任堂を睨むが彼は余裕そうな表情を浮かべていた。それが悔しくて思わず顔を背けると首筋を舐められる感触がしてゾクッとした感覚に襲われる。
「ひゃあっ!?」変な声が出てしまい慌てて口を塞ぐとクスリと笑われた気がしたので睨みつけるが効果はないようだ。それどころか今度は耳まで舐められてしまう始末である。ピチャッという音がダイレクトに伝わり顔が真っ赤になっていくのが分かるほどだった。そして耳元で囁かれる言葉は酷く甘く蕩けるような声だった。
「可愛いな」その言葉を聞いた瞬間心臓がドクリと跳ねるのを感じた。そして同時に胸の奥が熱くなるような感覚に襲われる。(なんだろうこれ)初めての感覚に戸惑っているうちにいつの間にか服を脱がされていたようで、肌が外気に晒される感覚で我に返った時にはもう遅かった。既に上半身裸になっており下半身に至っては何も身につけていない状態だったのだから当然である。恥ずかしさのあまり手で隠そうとするも腕を掴まれ阻止されてしまう。そのまま両手を頭の上で固定されると再びキスをされた。しかも先程よりも激しく貪るようなキスだ。

「ふぅ、んむぅっ」口内に侵入してきた舌が歯列をなぞるように動いたり舌を絡め取られたりする度にビクビク震えてしまう。そして同時に胸の先端を摘まれた瞬間身体に電気が流れたかのような衝撃に襲われたのだ。
「ひゃあんっ!」自分でも驚くほどの高い声が出てしまい慌てて口を塞ぐも既に遅かったようだ。
「お前さんは、ココを攻められるのが余程嬉しい様だな…」ニヤリと笑うと再び同じ場所を刺激し始める。今度は先程よりも強く摘まれたため痛みと共に強い快感に襲われてしまったソラだったが、それでも必死に耐えようとしたものの、結局耐えきれず絶頂を迎えてしまった。

「あ、あああっ!」ビクビクと痙攣しながら絶頂を迎えた後ぐったりとしているソラを見て任堂は満足そうな笑みを浮かべると耳元で囁いた。
「今日はここまでにしておいてやる」それだけ言うと部屋を出て行く。残されたソラはしばらく呆然としていたがやがて我に帰ると慌ててシャワー室へと駆け込んだのだった。

それからというもの任堂は毎日のように部屋に訪れてはソラの身体を弄ぶようになった。時には優しく、時には激しく攻め立てられる度に甘い声で鳴かされる羽目になるのだが、それでも決して屈するまいと心に誓っていた為何とか耐え忍んでいたのだ。そんなある日のこと、いつものように部屋に来た任堂だったが今日は様子が違った。いつもならばすぐに行為を始めるのだが何故か何もしてこないのである。不思議に思って首を傾げていると突然抱きしめられた。突然の事に驚ていると任堂は可笑しそう目を細めた。

「今日は趣向を変えてみようかと思ってな」そう言うとベッドの上に押し倒してきた。抵抗する間もなく服を脱がされてしまうと下着姿のまま押し倒される形になったソラは、恥ずかしさのあまり顔を背けようとしたが顎を掴まれてしまい正面を向かされる。そのままキスをされたかと思うと首筋や鎖骨、胸元などに次々と痕を残していく任堂に困惑していると今度は下半身の方へと移動していった。そして太腿の内側を強く吸われたり甘噛みされたりしているうちに段々と変な気分になってきてしまう。
(なんだろうこれ)初めての感覚に戸惑っているうちにいつの間にか脱がされ裸になっていたようで、肌に直接触れられる感覚に思わず身を捩らせる。
「んっ」
「どうした?気持ち良いのか?」そう問いかけられ慌てて首を横に振るが身体は正直なもので、既に反応を示してしまっていた。それを見抜かれたのかニヤリと笑われてしまうと恥ずかしさのあまり顔を背けようとするも再び顎を掴まれ阻止されてしまう。そのまま深く口づけられると舌を絡め取られたり歯列をなぞられたりする度にビクビク震えてしまい、恥ずかしくなる。(何で……ッ)普段とは違って優しく扱われているせいか余計に感じてしまっている自分に戸惑いを覚えるソラだったが、それでも身体は正直に反応してしまっていたようで、ナニからは愛液が溢れ始めていた。

「ふっ、もうこんなになっているぞ?」そう言いながら指先で先端を弄られる度に身体が跳ねてしまう。そんな様子を楽しむかのように執拗に弄ってくる。(やだ…もうッ)とうとう我慢できなくなり無意識から自ら腰を動かし始めていた。それを見た任堂はニヤリと笑うと一気に挿入してきたのだった。
「ああぁっ!!」突然の衝撃に驚きの声を上げるが構わず激しく突き上げてくるためすぐに快楽に溺れてしまいそうになるが、何とか耐えようとするも激しいピストン運動によって強制的にイカされてしまうことになったのだった。(結局また負けた)悔しいはずなのに何故か嬉しい気持ちになっている自分に戸惑いつつ意識を手放すのだった。

ふと…目が覚めソラは無意識に隣を確認するも、誰もいなかったためほっとしつつも寂しさを感じている自分に気づき驚く。
「俺は一体何を考えているんだよ」そう呟きながらも、頭に浮かぶ任堂の顔をかき消すかのように頭を左右に振るが一向に消えず、むしろ余計に意識してしまう結果となり自分に苛立ちを覚えつつも再び目を閉じる。しかし興奮した意識の中、直ぐに眠る事など出来るはずもなく悶々する。(変だ…あの人に会ってから、僕どうかしてる)


そう心の中で呟いていると突如銃声が鳴り響いた。何事かと慌てて飛び起きると周りを見渡すも特に異常はないようだ。ホッとしたの束の間、再び銃声が鳴り響くと同時に部屋のドアが吹き飛ぶ。
「なッ⁉」驚きのあまり固まっていると拳銃を片手に任堂が入ってくるや否、任堂は声を少し荒げて言った。
「ソラ、逃げるぞッ」
「えっ?」一瞬何を言っているのか分からず呆然としていると、任堂は無理矢理立たせるとそのまま手を引き走り出した。訳が分からないまま走らされる。
「な、何が起きてるのッ⁉逃げるって誰からッ??」不安げな表情で問いかけるソラだったが、任堂は真剣な表情のまま答えた。
「まだ俺にもわからん」
「え?」一瞬何を言っているのか分からず聞き返すが任堂はそのまま続けた。
「だが、俺の邪魔するなら誰であろうと殺す」殺意の籠もった瞳に、ソラの顔から血の気が引いた。まさか何かの冗談かと思ったが、その目を見る限り本気のようだと感じ取れる。その為余計に恐怖心が生まれ、このままではいけないと思い慌てて反論するソラだったが聞く耳を持たない任堂によってそのまま連れ出されてしまったのだった。それから暫く相手の様子を伺いながら逃げていたが、急に立ち止まりソラを抱き寄せた。
「動くな」任堂の様子にただ事ではないと察したソラは息を呑むと不安げに見上げる。するの何故か目を手で覆い隠されてしまったがここは素直に従う事にした。暗闇の中、近付いてくる足音が聞こえて来たかと思うと突然発砲音が鳴り響くと同時に誰かの呻き声が聞こえ、慌てて手を退かそうとするもそのまま抱き寄せられる。そして耳元で囁かれた言葉に一瞬理解が追いつかなかったがすぐに理解した。

「俺が合図したら走れ」「で、でも…」口籠るソラを安心させるかのように背中を優しく叩けば耳元でこう囁いた。
「俺が必ず守る」その言葉を信じ、ゆっくりと頷くソラを確認した任堂は合図を出すと同時にソラは走り出し、その後を任堂も続けて付いてくる。背後では銃声が鳴り響いる。どうやら敵の数が多く、このままでは追いつかれてしまうだろうと判断した任堂はソラに声をかける。

「ソラ、少し手荒な真似するが我慢しろよ」それだけ言うと突然担がれ走り出した。突然の事に驚きの声を上げるソラだったが構わず走り続けた。暫くして何とか追っ手を撒く事が出来たようで、二人は路地裏に身を隠していた。息を整えながら辺りを見渡すと既に夜になっており、月明かりが照らしているだけだった。
「大丈夫か?」心配そうに聞いてくる任堂に対して大丈夫だと答えるが正直怖くてたまらない。しかし、変に心配をかけたく無いが為に、ソラは微笑んだ。すると暫く沈黙が続いた後、不意に任堂が「悪かったな」と静かに言った。

「えっ?」突然謝られた事に驚きの声を上げるも、何も言えなくなるソラ。それは彼が全て悪い訳ではなくむしろ自分の方こそ迷惑ばかりかけてしまっている事に対して申し訳なく思っていたからだ。そのためその事を正直に伝える事にしたのだが、その前に抱きしめられてしまいそのままキスされてしまった事で遮られてしまう。

「んっ、んぅっ!」息苦しさに口を開けるとすぐさま舌を入れられてしまい口内を犯し尽くされてしまうソラだったが拒む事が出来ず受け入れてしまっていた。(こんな時に…こんな時なのに…)自分のとった行動に戸惑いながらも何処か受け入れている自分がいた。そんなソラを見て任堂は満足そうに目を細めるとと再び唇を重ねてきた。今度は触れるだけの優しいものだったがそれだけに余計に意識してしまう結果となり更に体が熱くなっていくのを感じた。
「あ、あの……どうして僕なんかを?」
「さぁな」そうはぐらかされてしまうも、それ以上追及する事はなかった。何故なら彼が自分を必要としてくれている事がわかったからだった。
「なぁ、ソラ」名前を呼ばれて顔を上げると真剣な眼差しで見つめ返される。その真っ直ぐな瞳に目を逸らす事が出来なくなる。
「俺は、お前が欲しい」そう言われた瞬間、心臓が大きく跳ねた。そして顔が熱くなるのを感じたソラは動揺してしまい何も言えなくなってしまう。そんなソラの様子を見て任堂は拳銃で撃った───…。
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