色彩色盲

カミーユ R-35

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彼らの日常

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学校に着いてまずやる事は昼寝。と言っても今は授業中。教室には数学の先生が何やら黒板に書いている最中で俺達が教室に入ると声をかけてきた。

先生「伊藤、今日はいつもより早いじゃない。また夜遅くまで夜遊びしてたの? ほどほどにしときなさいよね」
俺が眠そうに入るといち早く気づかれ、少し驚く。光輝はと言うと、後ろで俺の影に隠れながら教室に続けて入っていた。

拓海「いや、昨日は早く寝たつもり……。ただ、少し夢見がちょっとな……」
先生「……あら、それが原因じゃないかしら?で?田賀。アンタは何どさくさに紛れて入って来てんのかしら。二人共挨拶は?」

光輝「うぐッ⁉ ケッ、ケイちゃんおはようさん…」「おはよう…」先生「宜しい…。ほら、さっさと席につきなさい。授業始まってるわよ!」
解放された俺は、渋々自分の席へと戻るのだった。授業も終わり、放課後。俺と光輝は二人で帰路についていた。普段なら一人で帰っているのだが、今日は違う。なぜなら光輝と俺と一緒に帰っているからだ。

拓海「で? 何でついて来てんだ?」(きっと今日は篝が居ないからだろ)だとは思っていたが俺は敢えて先に言わなかった。
光輝「今日は篝も居らへんし、一人で帰るの嫌やんか」

拓海「だから?」
光輝「だから! 今日は一緒に帰ろうや!」
拓海「……お前、友達いるだろ? そいつらと帰れよ」

光輝「いや、その……。ウチってあんまり友達いないから……」(嘘つけ…)って言いたい処だがある意味、光輝はクラスでもあまり友達がいない。理由は単純に俺達とよくつるんでいる事も理由の一つだが、光輝の見た目がちょっと目立つからというのが大きい。別に染めてる訳でもないのに金髪なのだ。おまけに瞳の色も青と日本人離れしている為、皆敬遠してしまうらしい……。(この見た目のせいで、1年の時はよく喧嘩ふっかけられてたな…)
拓海「まあ、別にいいけどさ」
光輝「ほんまか! じゃあ、一緒に帰ろ!」
拓海「ああ……」そして俺達は家路を急ぐ。
……と、その途中。俺はふとある事を思い出す。拓海「なあ、光輝。お前って、『月の雫』って知ってるか?」
光輝「月の雫? 何やそれ? そんなんあるんか?」俺は少し考えた後……。拓海「いや、やっぱいいや」と言って話を切った。そして俺達は家路についたのだった。……翌日。俺は学校に行く為、玄関を出ようとした。すると……。
拓海「……あれ? 光輝?」そこには光輝がいた。
拓海「お前、何しとん?」
光輝「いや……その……」
拓海「まさか、また喧嘩か!?」
光輝は1年の時、よく喧嘩をふっかけられていた。まあ、見た目がちょっとアレだから仕方ないのだが……。しかし、今はそんな事もなくなったと思っていたのだが……?すると光輝は……。
光輝「いや、そうじゃなくてさ……。今日、一緒に学校行かへん?」
拓海「え? なんで?」
光輝「いや……その……」
拓海「……まあええわ」そして俺達は一緒に登校したのだった。……学校に着いた後。俺は自分の席に座ったのだが……。
拓海「おい、光輝! お前、俺の席に座るな!」と俺が言うと光輝は……。
光輝「え? なんでやねん?」拓海「なんでって、そこは俺の席や!」すると光輝は……。
光輝「いや、だからなんで?」
拓海「いや……それやねんけど……」そこで俺は理解した。『ああ、そうか……。こいつはそういう奴やった……』と。そして俺は渋々、光輝に席を譲ったのだった。

拓海「それにしても光輝、お前昨日から変だ。変なモノでも食ったのか?」光輝「いや、別に……」そして俺はある疑問を聞いてみた。拓海「なあ、光輝。お前、なんかあったんか?」すると光輝はこう答えた。
光輝「え……? いや……別に何もあらへんけど……?」と答えていた。しかし、俺は見逃さなかった。光輝の奴、一瞬目が泳いだからだ。そして俺は確信した。『こいつ……絶対何か隠してやがる』と。光輝は一体何を隠しているんだ? そして、何故俺にあんな事を言ったんだ?俺は気になった。そこで光輝に聞いてみる事にした。拓海「なあ……光輝……」光輝「ん? なんや?」拓海「お前、昨日から変やで」俺はストレートに聞いた。すると光輝はこう答えた。光輝「いや……そんな事あらへんで……?」と。だが、俺にはその答えが嘘だとすぐに分かった。俺はすかさず、こう言い返した。拓海「いや、嘘やな」光輝「え……? なんで……?」拓海「なんでって……。お前目が泳いでんぞ」と俺は言い切った。すると光輝は……。光輝「いや……別に……」とだけ言って黙り込んだ。ははーんもしや…。拓海「お前もしかして篝が昨日から居ないから寂しがってんのか?」
すると
光輝は……光輝「な、な、何言うてんねん! そ……そんなわけあるかいな!」と明らかに動揺していた。俺は確信した。こいつ絶対篝が居なくて寂しいんだなと。そして俺はさらに追い討ちをかけるようにこう言った。拓海「お前って篝の事好きなのか?」すると光輝は顔を真っ赤にしながら……光輝「そ、そんなわけあるかい! 別に好きやあらへんわ!」と言った。しかし、その言い方は完全に好きと言っているようなものだった。俺はやれやれと思いながら、少しからかってやろうと思い……拓海「お前、それで隠せてると思ってんのか?」と言った。すると光輝は顔を真っ赤にしながら……光輝「う、うるさい! もう知らんわ!」と言ってトイレに行ってしまった。
(分かりやすい奴…)過ぎ去る光輝の後ろ姿を眺めながら更けていると丁度そこに篝が教室に入って来るのが見えた。クラスの連中に挨拶を交わしながら、コッチに近づいてくる篝。篝「おはよう拓海。光輝は?」第一声かそれかよ…。そう思いながらも俺は「おはよう篝。光輝ならトイレに行った」と言っておいた。篝は「そっか」とだけ言って、自分の席に着いた。しばらくして光輝が戻ってきて、今度は篝が来ていることに気づくと、ソワソワしだした。俺はその行動が面白すぎて笑った。拓海「お前、さっきから篝の事ばっかり気にしてんな」すると光輝は顔を真っ赤にしながら「そ、そんなことあらへんわ!」と慌てていた。そして俺は確信した。こいつ絶対篝の事好きなんだろう…。そしてその後、ホームルームが始まったが、光輝は変わらず篝を横目で気にし続けていた。(篝は普段通りだったが)俺はそんな2人を後ろから眺めながら「青春だな……」と呟きながらニヤニヤしていた。
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