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はじめての夜
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食は済ませてきたというユフィを、エリオットは二階の寝室へと案内した。
そこでやっと自室の粗末さを思い出す。ユフィが滞在を渋ったのも、今どこか浮かない顔をしているのもそのせいなのかもしれない。
――どうしよう、ユフィ様に僕のベッドは固いかもしれない……!
「エリオット? 入らないの?」
「あ、いえっ、どうぞ、こちらです……」
古びたドアを開き中を示すと、ユフィが物珍しそうに中へ入る。
ランプの柔らかな光が周囲を照らす。
最低限の家具と鉢植えが並ぶだけの室内を見回すと、くるりとエリオットの方を振り返った。
「……エリオットはどこで眠るの?」
「僕は隣の母さんの……あっ!」
シェリーは外出時、必ず自室に鍵をかける。この家に住み始めてすぐ、空き巣に入られた時からの習慣だ。何度も施錠する姿を眼にしていたのに、シェリーの部屋に入ることはほとんど無かったために失念していた。
「……し、下の作業台で寝ます」
「な、何を言ってるんだ、君の家じゃないか」
「でもユフィ様をそんなところで寝かせるわけには……!」
「……やっぱり、私は帰ることにするよ」
「えっ」
「私がそちらで寝るといってもエリオットは聞いてくれないだろうし、けれど私もエリオットにそんな不自由はさせたくない。だから今日のところは……」
「じゃ、じゃあ一緒に寝ましょう!」
つい、そう口にしてから、言ってしまった、と思った。ユフィが信じられないとでも言いたげな顔で目をぱちくりさせている。しかし後悔してももう遅い、エリオットは素直に白状することにした。
「そのベッド、貰い物なので大きめですし……二人でも、何とか眠れると思うんです」
「……」
「……ごめんなさい……、迷惑なのはわかってるんです。でも、今日はもっと一緒に居てほしくて。一人になったら、都合の良い夢でも見たんじゃないかなって不安になってしまいそうだから…………だめ、ですか?」
「っ……君は本当に……!」
呻《うめ》くように吐き捨てたユフィがエリオットを乱暴に引き寄せた。
驚いて顔を見上げる。眉根をきつく寄せ、ひどくつらそうな、険しい表情だった。その頬に差し込んだ朱は、灯火によるものではない。
「エリオット、君は何もわかってない……! 自分がどれだけ愛らしい存在なのか、今どんな顔をしているのか、私がどれだけ邪《よこしま》な人間であるのか、今、私がどれだけ必死になって理性で自身を抑えつけようとしているのか……!」
「ユ、ユフィさまっ……、あ」
ぐっ、と抱きすくめられた拍子に、下腹のあたりに何か固いものが当たる。それをぐりぐりと押しつけてくるユフィの双眸が濡れているのを見て、察せざるを得ない。
「自分が何を口走ったか理解してくれた? こんな状態の男と同衾しようだなんて……その、わかっただろう? ダメなんだよ、エリオット。このままでは君を怯えさせてしまう……無体を強いて、君に嫌われてしまうのは嫌なんだ、優しくしたい……」
はあ、と嘆息したユフィが、耐えかねた様子で首筋に鼻先を埋めてくる。その吐息をダイレクトに感じて、エリオットはびくりと震えた。
「ほら、これだけで怖がらせてしまっている……でも、いい匂いがするエリオットも悪い。君がこうして私を誘ったんだ、君の匂いを嗅いだだけで欲情してしまうような男を……今夜はどうにか辛抱するから、少しこうすることだけは、ゆるして……」
――ユフィ様が、そういうこと《、、、、、、》をしたいと思うぐらい、僕のことを愛してくれている……。
全身が滾るように熱い。心臓が口から飛び出てしまいそうだ。
エリオットはごくりと生唾を呑んで、そっとユフィの身体を抱きしめ返す。
その仕草をどう受け取ったのか、身を離したユフィの頬に両手を添えて――唇を重ねていた。
「――……」
数秒、触れるだけのキスだった。ユフィからの反応は無い。僕の勘違いだったのかな、嫌だったらどうしようと怯えつつ口づけを解く。
「あ、の……」
「……エリ、オット」
硬直したユフィと視線が交わった瞬間に、再び唇を塞がれていた。
「んんっ……う……」
反射的に口を引き結んでしまったのは一瞬だけ、すぐにユフィを迎え入れて全てを委ねた。何度も深く唇同士を噛み合わせると、粘膜が擦《こす》れて心地がよい。分け与えられた熱のせいで思考がぐずぐずに溶けていくのを感じる。後頭部を支えるように固定されてしまうと、もう逃《のが》れられないことを覚った。
潜り込んできた舌が、エリオットのそれを絡めとる。
エリオットは真上から押しつぶされそうになりながら、必死に縋りついて自ら舌先を差し出した。
「ふ、ぅ……っちゅ……は、かわいい、私のエリオット……」
「んぁ……」
ユフィはうっそりと艶笑して額に口づけると、エリオットの体を軽々と抱き上げてベッドに下ろした。
「怖くなったら、早めにいうんだよ?」
「は、い……んっ……」
ユフィがエリオットのシャツのボタンに手をかける。その動きが焦らすようにゆっくりしていると感じるのは、きっとエリオットが抵抗するだけの猶予をくれているためだ。
一番下まで外し終えると、薄い身体が夜気にさらされた。暑い日には半裸で作業したりすることも珍しくはないのに、どうしてこんなに恥ずかしいのか不思議でならない。
そっと肩を押されて、ベッドに押し倒された。自重を乗せないように覆いかぶさってきたユフィが、ちろちろと首筋に舌を這わせ始める。
「ん……くすぐっ、た……い……」
「不思議だな、エリオットは汗まで甘い……」
「ひゃっ……」
舐められたことより、ユフィの声が近いことの方にぞくぞくする。恥じらうエリオットの姿に気を良くしたのか、鎖骨に軽く歯を立てたり、肩口に吸い付いたりと、甘やかすように愛撫が加速する。
「それだけじゃない、声も反応も……こんなところまで可愛いなんて……」
ユフィは嫣然《えんぜん》と囁きながら、はだけたシャツからまろび出た、胸の桃色の尖頂《せんちょう》を指先でなぞった。
「ふ、普通です、可愛くなんか……んん……や……」
左胸のそれを指で弾いたかと思うと、右胸をべろりと舐めてくる。初めて、そこでユフィの舌が長いことを知る。舌の腹で押しつぶすようにねっとりとねぶられたあと、舌先でつつくように捏ねられると倦むような熱を持つ。
「ひっ、ん、……~~~っ」
「……ふふ、真っ赤になった」
ちゅ、とそこを弱く吸い上げられて腰が浮いた。太腿の間の欲望が疼いている。たまらず両足を擦り合わせると、何かを察知したユフィがズボンの上からそこを撫で上げた。
「ぁ、っ……!」
「嬉しいな、かたくなり始めてる……そろそろ窮屈だよね」
「ん、待って、んっ、う……!」
忍び込んできたユフィの手が、緩く兆したそこを直に引きずり出した。あの美しいユフィの指に触れられたのだと考えただけで、花茎がしっかりと芯を持つ。
「あ、びくびくしてる……さわられるのも初めてなのかな? ふふ、光栄だな……けど、もっと気持ちよくなってもらうには……ああ、いいものを持っていた」
ユフィは懐から小さな小瓶を取り出して、その中身を自身の手に垂らした。ふわり、清々しく色濃い花の匂いが立ち上る。
「手や足を保護するのに使う香油だよ。これなら舐めても、体内に入り込んでも平気」
「それ、どうするんですか……っ、ぁ、あっ!」
香油に塗《まみ》れててらてらと輝く指を見せつけたユフィは、そのままエリオットの欲芯を握りこんだ。香油を塗り込むように上下に扱かれる。最初はゆっくりと、徐々に速度を上げて、追い込まれていく。
襲い来る快感にエリオットは惑乱した。
「や、んっ、……っく、ふ、だ、だめっ……」
「ほんとうに? それなら、すごく気持ちよさそうな顔をしているのはどうして? ここだって、とろとろ嬉しそうに漏らしてしまっているよ?」
「っ、ちが、んっ、あっ、ぁ……ひ、う……やだ、やだやだ、やっ――」
むずがるエリオットに宥めるようなキスをしつつ、ユフィはぱっ、と手を離してしまう。与えられる刺激が突然失われたことに、エリオットは戸惑った。急には止まれず、快感を失ってなおまだへこへこと腰が揺れてしまっている。浅ましくもユフィの手の動きに合わせて腰が動いていたらしい。
「ぁ、ぁう……?」
羞恥と喪失感に放心するエリオットを、ユフィは挑発的な笑みで見下ろす。
「ごめんね……エリオットが嫌がることはしたくないから……止めてくれてありがとう。……嫌、だったんだよね?」
言いながら、ユフィはとろりと涎をこぼすエリオットの先端にぐちぐちと指をうずめて虐めてきた。これまでとは異なる快感にがくりと体が跳ねる。
「や、ぁ、んっ、ちが、ちが、くて」
「何が違うのかな……? 嫌なのかそうでないのか、ちゃんと口にしてくれないとわからないな……」
「んんっ! う、ぁ……ちがい、ます、やじゃなくて、きもちい……っ、~~~ぁぁぁっ」
「そう。正直な良い子だね、エリオットは」
ぺろりと舌なめずりをしたユフィが、焦らすようにすっかり反り立ったエリオットの花芯を焦らすように扱く。もどかしくて、気持ちが良くて背筋がのけぞった。射精《だ》したいのに、まだ足りない。もっとぐちゃぐちゃに擦り上げてもらえないと上り詰められない。
「ふ、ぁぁっ、ユフィ、さま、もっと……もっと、して……」
「っ……! ああ、もちろんだよエリオット。……ちょっと待ってね」
甘ったるくも切迫した笑みを浮かべたユフィだが、なぜか再び欲芯を解放してしまう。そして身悶えするエリオットの前で、神官服の上衣を脱ぎ捨てた。慌ただしい手つきで下履きに手をかけ、そこから十分に屹立した自身の雄茎を取り出す。
――こ、れを……いれる、んだよね……⁉
自分のものとは比べ物にならない大きさにエリオットが慄いていると、ユフィはいそいそとエリオットの太腿に乗り上げ、互いの欲茎を重ね合わせた。
両手でぴったりと密着した状態で扱かれると、その卑猥さに目の前がくらくらしてくる。
「ふ、ぁ、ん……ユフィ様のも、ぬるぬるして、る」
「ああ、幸せすぎてずっと張り詰めたまま痛いぐらいだったからっ……ふふ、エリオットと想いが通じ合ったときからもうこんな状態だったんだよ。ずっとこうして君と肌を重ねたいと思っていた……夢でも見てるみたいだ……っ、う、結構くるな、これ」
両手で包むように擦りながら、ユフィが小さく腰を動かす。ぬちゃぬちゃと淫らな水の音がする。自身がこぼしたものと、ユフィが溢れさせたものがそこで交わっているのだと想像しただけで、腰が蕩《とろ》けてしまいそうになる。
その振動が本当に犯されているかのような錯覚を呼び、エリオットは惑った。
――すご、い、気持ち良くてしあわせだけど、これって繋がった《、、、、》ことにはならない、よね……?
そこでやっと自室の粗末さを思い出す。ユフィが滞在を渋ったのも、今どこか浮かない顔をしているのもそのせいなのかもしれない。
――どうしよう、ユフィ様に僕のベッドは固いかもしれない……!
「エリオット? 入らないの?」
「あ、いえっ、どうぞ、こちらです……」
古びたドアを開き中を示すと、ユフィが物珍しそうに中へ入る。
ランプの柔らかな光が周囲を照らす。
最低限の家具と鉢植えが並ぶだけの室内を見回すと、くるりとエリオットの方を振り返った。
「……エリオットはどこで眠るの?」
「僕は隣の母さんの……あっ!」
シェリーは外出時、必ず自室に鍵をかける。この家に住み始めてすぐ、空き巣に入られた時からの習慣だ。何度も施錠する姿を眼にしていたのに、シェリーの部屋に入ることはほとんど無かったために失念していた。
「……し、下の作業台で寝ます」
「な、何を言ってるんだ、君の家じゃないか」
「でもユフィ様をそんなところで寝かせるわけには……!」
「……やっぱり、私は帰ることにするよ」
「えっ」
「私がそちらで寝るといってもエリオットは聞いてくれないだろうし、けれど私もエリオットにそんな不自由はさせたくない。だから今日のところは……」
「じゃ、じゃあ一緒に寝ましょう!」
つい、そう口にしてから、言ってしまった、と思った。ユフィが信じられないとでも言いたげな顔で目をぱちくりさせている。しかし後悔してももう遅い、エリオットは素直に白状することにした。
「そのベッド、貰い物なので大きめですし……二人でも、何とか眠れると思うんです」
「……」
「……ごめんなさい……、迷惑なのはわかってるんです。でも、今日はもっと一緒に居てほしくて。一人になったら、都合の良い夢でも見たんじゃないかなって不安になってしまいそうだから…………だめ、ですか?」
「っ……君は本当に……!」
呻《うめ》くように吐き捨てたユフィがエリオットを乱暴に引き寄せた。
驚いて顔を見上げる。眉根をきつく寄せ、ひどくつらそうな、険しい表情だった。その頬に差し込んだ朱は、灯火によるものではない。
「エリオット、君は何もわかってない……! 自分がどれだけ愛らしい存在なのか、今どんな顔をしているのか、私がどれだけ邪《よこしま》な人間であるのか、今、私がどれだけ必死になって理性で自身を抑えつけようとしているのか……!」
「ユ、ユフィさまっ……、あ」
ぐっ、と抱きすくめられた拍子に、下腹のあたりに何か固いものが当たる。それをぐりぐりと押しつけてくるユフィの双眸が濡れているのを見て、察せざるを得ない。
「自分が何を口走ったか理解してくれた? こんな状態の男と同衾しようだなんて……その、わかっただろう? ダメなんだよ、エリオット。このままでは君を怯えさせてしまう……無体を強いて、君に嫌われてしまうのは嫌なんだ、優しくしたい……」
はあ、と嘆息したユフィが、耐えかねた様子で首筋に鼻先を埋めてくる。その吐息をダイレクトに感じて、エリオットはびくりと震えた。
「ほら、これだけで怖がらせてしまっている……でも、いい匂いがするエリオットも悪い。君がこうして私を誘ったんだ、君の匂いを嗅いだだけで欲情してしまうような男を……今夜はどうにか辛抱するから、少しこうすることだけは、ゆるして……」
――ユフィ様が、そういうこと《、、、、、、》をしたいと思うぐらい、僕のことを愛してくれている……。
全身が滾るように熱い。心臓が口から飛び出てしまいそうだ。
エリオットはごくりと生唾を呑んで、そっとユフィの身体を抱きしめ返す。
その仕草をどう受け取ったのか、身を離したユフィの頬に両手を添えて――唇を重ねていた。
「――……」
数秒、触れるだけのキスだった。ユフィからの反応は無い。僕の勘違いだったのかな、嫌だったらどうしようと怯えつつ口づけを解く。
「あ、の……」
「……エリ、オット」
硬直したユフィと視線が交わった瞬間に、再び唇を塞がれていた。
「んんっ……う……」
反射的に口を引き結んでしまったのは一瞬だけ、すぐにユフィを迎え入れて全てを委ねた。何度も深く唇同士を噛み合わせると、粘膜が擦《こす》れて心地がよい。分け与えられた熱のせいで思考がぐずぐずに溶けていくのを感じる。後頭部を支えるように固定されてしまうと、もう逃《のが》れられないことを覚った。
潜り込んできた舌が、エリオットのそれを絡めとる。
エリオットは真上から押しつぶされそうになりながら、必死に縋りついて自ら舌先を差し出した。
「ふ、ぅ……っちゅ……は、かわいい、私のエリオット……」
「んぁ……」
ユフィはうっそりと艶笑して額に口づけると、エリオットの体を軽々と抱き上げてベッドに下ろした。
「怖くなったら、早めにいうんだよ?」
「は、い……んっ……」
ユフィがエリオットのシャツのボタンに手をかける。その動きが焦らすようにゆっくりしていると感じるのは、きっとエリオットが抵抗するだけの猶予をくれているためだ。
一番下まで外し終えると、薄い身体が夜気にさらされた。暑い日には半裸で作業したりすることも珍しくはないのに、どうしてこんなに恥ずかしいのか不思議でならない。
そっと肩を押されて、ベッドに押し倒された。自重を乗せないように覆いかぶさってきたユフィが、ちろちろと首筋に舌を這わせ始める。
「ん……くすぐっ、た……い……」
「不思議だな、エリオットは汗まで甘い……」
「ひゃっ……」
舐められたことより、ユフィの声が近いことの方にぞくぞくする。恥じらうエリオットの姿に気を良くしたのか、鎖骨に軽く歯を立てたり、肩口に吸い付いたりと、甘やかすように愛撫が加速する。
「それだけじゃない、声も反応も……こんなところまで可愛いなんて……」
ユフィは嫣然《えんぜん》と囁きながら、はだけたシャツからまろび出た、胸の桃色の尖頂《せんちょう》を指先でなぞった。
「ふ、普通です、可愛くなんか……んん……や……」
左胸のそれを指で弾いたかと思うと、右胸をべろりと舐めてくる。初めて、そこでユフィの舌が長いことを知る。舌の腹で押しつぶすようにねっとりとねぶられたあと、舌先でつつくように捏ねられると倦むような熱を持つ。
「ひっ、ん、……~~~っ」
「……ふふ、真っ赤になった」
ちゅ、とそこを弱く吸い上げられて腰が浮いた。太腿の間の欲望が疼いている。たまらず両足を擦り合わせると、何かを察知したユフィがズボンの上からそこを撫で上げた。
「ぁ、っ……!」
「嬉しいな、かたくなり始めてる……そろそろ窮屈だよね」
「ん、待って、んっ、う……!」
忍び込んできたユフィの手が、緩く兆したそこを直に引きずり出した。あの美しいユフィの指に触れられたのだと考えただけで、花茎がしっかりと芯を持つ。
「あ、びくびくしてる……さわられるのも初めてなのかな? ふふ、光栄だな……けど、もっと気持ちよくなってもらうには……ああ、いいものを持っていた」
ユフィは懐から小さな小瓶を取り出して、その中身を自身の手に垂らした。ふわり、清々しく色濃い花の匂いが立ち上る。
「手や足を保護するのに使う香油だよ。これなら舐めても、体内に入り込んでも平気」
「それ、どうするんですか……っ、ぁ、あっ!」
香油に塗《まみ》れててらてらと輝く指を見せつけたユフィは、そのままエリオットの欲芯を握りこんだ。香油を塗り込むように上下に扱かれる。最初はゆっくりと、徐々に速度を上げて、追い込まれていく。
襲い来る快感にエリオットは惑乱した。
「や、んっ、……っく、ふ、だ、だめっ……」
「ほんとうに? それなら、すごく気持ちよさそうな顔をしているのはどうして? ここだって、とろとろ嬉しそうに漏らしてしまっているよ?」
「っ、ちが、んっ、あっ、ぁ……ひ、う……やだ、やだやだ、やっ――」
むずがるエリオットに宥めるようなキスをしつつ、ユフィはぱっ、と手を離してしまう。与えられる刺激が突然失われたことに、エリオットは戸惑った。急には止まれず、快感を失ってなおまだへこへこと腰が揺れてしまっている。浅ましくもユフィの手の動きに合わせて腰が動いていたらしい。
「ぁ、ぁう……?」
羞恥と喪失感に放心するエリオットを、ユフィは挑発的な笑みで見下ろす。
「ごめんね……エリオットが嫌がることはしたくないから……止めてくれてありがとう。……嫌、だったんだよね?」
言いながら、ユフィはとろりと涎をこぼすエリオットの先端にぐちぐちと指をうずめて虐めてきた。これまでとは異なる快感にがくりと体が跳ねる。
「や、ぁ、んっ、ちが、ちが、くて」
「何が違うのかな……? 嫌なのかそうでないのか、ちゃんと口にしてくれないとわからないな……」
「んんっ! う、ぁ……ちがい、ます、やじゃなくて、きもちい……っ、~~~ぁぁぁっ」
「そう。正直な良い子だね、エリオットは」
ぺろりと舌なめずりをしたユフィが、焦らすようにすっかり反り立ったエリオットの花芯を焦らすように扱く。もどかしくて、気持ちが良くて背筋がのけぞった。射精《だ》したいのに、まだ足りない。もっとぐちゃぐちゃに擦り上げてもらえないと上り詰められない。
「ふ、ぁぁっ、ユフィ、さま、もっと……もっと、して……」
「っ……! ああ、もちろんだよエリオット。……ちょっと待ってね」
甘ったるくも切迫した笑みを浮かべたユフィだが、なぜか再び欲芯を解放してしまう。そして身悶えするエリオットの前で、神官服の上衣を脱ぎ捨てた。慌ただしい手つきで下履きに手をかけ、そこから十分に屹立した自身の雄茎を取り出す。
――こ、れを……いれる、んだよね……⁉
自分のものとは比べ物にならない大きさにエリオットが慄いていると、ユフィはいそいそとエリオットの太腿に乗り上げ、互いの欲茎を重ね合わせた。
両手でぴったりと密着した状態で扱かれると、その卑猥さに目の前がくらくらしてくる。
「ふ、ぁ、ん……ユフィ様のも、ぬるぬるして、る」
「ああ、幸せすぎてずっと張り詰めたまま痛いぐらいだったからっ……ふふ、エリオットと想いが通じ合ったときからもうこんな状態だったんだよ。ずっとこうして君と肌を重ねたいと思っていた……夢でも見てるみたいだ……っ、う、結構くるな、これ」
両手で包むように擦りながら、ユフィが小さく腰を動かす。ぬちゃぬちゃと淫らな水の音がする。自身がこぼしたものと、ユフィが溢れさせたものがそこで交わっているのだと想像しただけで、腰が蕩《とろ》けてしまいそうになる。
その振動が本当に犯されているかのような錯覚を呼び、エリオットは惑った。
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