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最初から決まっていた…?

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晴れてアカデミーの一員になった私達。
嬉しいようなこれからどんな事があるのか不安もある私は机にある白い封筒をジッと見ていた。

「それでは今からアカデミーの中を案内します。
ご両親様達はここでお引き取りください。この子達はアカデミーが責任を持って家まで送り届けますので」

レイ事務長は入り口付近にいる私達の親に向け帰るように言う。
それを聞いて一様にレイ事務長に向け頭を下げると次々と部屋を後にしていく。
1番最後に出ていく私の両親は少し立ち止まりクルッと振り返ると近くに座っていた私を見てきた。

「しっかりな」

小声だがそれはハッキリと私の耳に届いていた。
その『しっかりな』がかえって私を追い込むプレッシャーにもなってしまっていた…。

部屋に居なくなった私達の両親達。
全員見届けるとレイ事務長がゆっくりと口を開いた。

「いいですか?
先に言っておきます。ここのアカデミーは全寮制です。あなた達は明日以降ここで暮らし学んでもらいます」

「えぇ!?」

声を上げたのは私とユーリ以外の合格者達。
私は姉がいるからアカデミーの全寮制については親から聞いていたので驚きはなかった。
それよりも声を上げなかったユーリに私は目線を送った。

(ユーリも兄、姉がいるのかな…?)

そんな目線を感じたのかユーリがゆっくりとこちら側を見るとニコっと微笑んでくる。

「では、いまからアカデミーの施設を案内するので私について来てください」

全寮制に戸惑いの声を上げ、騒つくのも束の間。
レイ事務長は部屋の扉に移動し、すぐにこちらにくるようにと私達に指示をする。
その指示に私達は従うように椅子から腰を上げレイ事務長の元へと集合した。


部屋を出てついていくとアカデミーの中に芝生が広がる広場が出てきた。
それは広く、ゆうにテニスコートが4面くらいはあるんではないかと思える程で、そこには多くのアカデミー生が各々有意義に過ごしている。

談笑をする者、芝生の中に置かれた椅子に座り本を読む者、寝そべり日向ぼっこをしている者…など様々だった。
でもその広い芝生の中を走り回ったり騒いだりする者は誰1人おらず、やはり家柄の良い人間がここに集まってるのだと象徴しているようにも見えた。

「広いね…」

ポツリと1人が呟くと『当たり前でしょ、ここはライオネス家が開いてるんだから』とチクリと言う。

そう、ここはライオネス家が開校し、街の貴族の子が通っている。
莫大な寄付金と授業料が必要と聞いた事が有るが、何故か今回私達はその莫大なお金は免除する、と言う。

広場で立ち止まるとやはり新しく入る予定の者が気になるのか、少しずつこちら側を見てくるアカデミー生がいた。

「今回は特別らしい…」
「いいな、ライオネス家の御子息の意向があるそうだ」
「もう少し遅く生まれたかった…」

聞こえてくる様々な声。
どれも私達は特別で、かなり羨ましい…と言うのが伝わってくる。

それでも私達が知るのはブライスが嫁探しをしている、ただそれだけだった。

他にも語学を学んだり大変な事もあるはずなのに『良いなぁ』と言う声が多く、一気に注目を浴び一様に目はキョロキョロと落ち着かなくなった。

「皆、あまりこちらを見ないで!」

レイ事務長が大声で一喝するとアカデミー生は一斉に私達から目線を外していく。

「…行きますよ」

騒つく広場を後にして私達はまたレイ事務長の後についていく。
でも、広場のヒソヒソと噂をする声は私達に届いていた…。


廊下をしばらく歩くと見えてきたのはいくつも扉がある場所だった。
右を見ても左を見ても扉がいくつもある。
それも全部白い壁に同調するかのように扉も白くなっているが取手だけが色が違う。
階段と同じ金ピカだ…。

「ここはアカデミー生が暮らす部屋です。あなた達は…こちら」

壁にはそれぞれの名前が書かれたプレートが飾られていた。

(いつの間に…)

まだ受かって少ししか経ってないのにこの用意の良さ…まるで最初から決められていたかのようだった。

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