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経験
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「それって……」
「なんだ、あんたでもちゃんとわかるんじゃない。分からないのかと思った」
「い、いいの?そんな事して……。アルバート様がいるのに」
私の言葉を聞いて、少しは動揺するかと思ったが、全くそんな気配はなく、ふふふっ…と笑い出す。
「確かに『いる』って事になるけど、それはそれよ。不安な目は紡いでおかないと後々厄介になっちゃうでしょ。いまじゃ私の味方だし、なんでも言うこと聞くわ。単純よ、男なんて」
「酷い……」
「酷い?……どこが?むしろ感謝して欲しいくらいよ。将来の王妃となんて出来るはずがないから」
まさか黙らす目的でそんな事をするなんて思ってもいなかった。
姉の人心掌握術がここまでとは…。
でもこの事を私にバラして怖くないのだろうか。
「……いまあんたが思ってることあててあげようか?」
「出来るわけない」
「いいえ、簡単すぎて困るわ」
「……言ってみたら?」
「こんな事私にバラしていいのかって事でしょ。それをいますぐにでも言いに行きたい。アルバート様の元へ、でしょ」
「……」
「ほら、黙った。あはははっ!?ほんと、あんたって分かりやす過ぎる。そんなのだから私に勝てないのよ」
私に勝ち誇り、高らかな笑いをしながらお腹を押さえる姉。
その目には笑いすぎたのだろうか、薄っすら涙が溜まっている。
でもそんな姉をほっとき、言われたアルバート様へと報告しようと扉へと近づいた。
「っと、まだ終わってない!」
すぐに姉は扉へと近づき、壁ドンをする形で私の行く手を遮ってきた。
「ちょっ、退いて」
「嫌よ、終わってないって言ったでしょ?」
遮る手を振り払おうとしたが、そんな私の手を掴むと扉へと押し付けて、さらにその反対の手も扉へと押し付けてきた。
「離して!?」
「……」
「な、なんで黙るの?」
「あんた、した事ないでしょ?」
「な、なにを??」
「鈍いわねー、ずっと話していたじゃない、今まで」
「まさか……」
「そう、それよ」
「そ、それが、なに……?」
「いいの、そんなので。一生女としての喜びを知らずに終わるの?」
「べ、別に私はそんな事……」
「ふーん」
姉と向かい合うのが嫌で私はすぐに目を逸らした。
でもそんな私に姉は何故か自身の顔を近づけてきた。
「えっ」
「私がしようか?」
「はっ?」
驚く私の口元に姉はゆっくり寄せてきた。
「馬鹿なことは止めて!?」
首を真横に曲げ、姉からの迫りを避けていく。
「なによ、せっかく経験させてあげようとしてるのに」
「頭おかしいんじゃないの!?妹にするなんて馬鹿げてる!?」
避ける度に姉は何度も何度も寄せてくる。
「いい加減にして!?」
私は姉のお腹めがけて、右足の膝を上げた。
でも、それを予想してたのかお腹をへっこませ避けていく。
「……どうせそうだと思った。あんたの事なんて手に取るようにわかるって言ったでしょ。もう観念しなさい」
姉は地面についている左足の甲を右足で踏んづけていく。
その痛みに私は顔を歪め痛がるが、その右足をグリグリと地面へと押しつけた。
「なんだ、あんたでもちゃんとわかるんじゃない。分からないのかと思った」
「い、いいの?そんな事して……。アルバート様がいるのに」
私の言葉を聞いて、少しは動揺するかと思ったが、全くそんな気配はなく、ふふふっ…と笑い出す。
「確かに『いる』って事になるけど、それはそれよ。不安な目は紡いでおかないと後々厄介になっちゃうでしょ。いまじゃ私の味方だし、なんでも言うこと聞くわ。単純よ、男なんて」
「酷い……」
「酷い?……どこが?むしろ感謝して欲しいくらいよ。将来の王妃となんて出来るはずがないから」
まさか黙らす目的でそんな事をするなんて思ってもいなかった。
姉の人心掌握術がここまでとは…。
でもこの事を私にバラして怖くないのだろうか。
「……いまあんたが思ってることあててあげようか?」
「出来るわけない」
「いいえ、簡単すぎて困るわ」
「……言ってみたら?」
「こんな事私にバラしていいのかって事でしょ。それをいますぐにでも言いに行きたい。アルバート様の元へ、でしょ」
「……」
「ほら、黙った。あはははっ!?ほんと、あんたって分かりやす過ぎる。そんなのだから私に勝てないのよ」
私に勝ち誇り、高らかな笑いをしながらお腹を押さえる姉。
その目には笑いすぎたのだろうか、薄っすら涙が溜まっている。
でもそんな姉をほっとき、言われたアルバート様へと報告しようと扉へと近づいた。
「っと、まだ終わってない!」
すぐに姉は扉へと近づき、壁ドンをする形で私の行く手を遮ってきた。
「ちょっ、退いて」
「嫌よ、終わってないって言ったでしょ?」
遮る手を振り払おうとしたが、そんな私の手を掴むと扉へと押し付けて、さらにその反対の手も扉へと押し付けてきた。
「離して!?」
「……」
「な、なんで黙るの?」
「あんた、した事ないでしょ?」
「な、なにを??」
「鈍いわねー、ずっと話していたじゃない、今まで」
「まさか……」
「そう、それよ」
「そ、それが、なに……?」
「いいの、そんなので。一生女としての喜びを知らずに終わるの?」
「べ、別に私はそんな事……」
「ふーん」
姉と向かい合うのが嫌で私はすぐに目を逸らした。
でもそんな私に姉は何故か自身の顔を近づけてきた。
「えっ」
「私がしようか?」
「はっ?」
驚く私の口元に姉はゆっくり寄せてきた。
「馬鹿なことは止めて!?」
首を真横に曲げ、姉からの迫りを避けていく。
「なによ、せっかく経験させてあげようとしてるのに」
「頭おかしいんじゃないの!?妹にするなんて馬鹿げてる!?」
避ける度に姉は何度も何度も寄せてくる。
「いい加減にして!?」
私は姉のお腹めがけて、右足の膝を上げた。
でも、それを予想してたのかお腹をへっこませ避けていく。
「……どうせそうだと思った。あんたの事なんて手に取るようにわかるって言ったでしょ。もう観念しなさい」
姉は地面についている左足の甲を右足で踏んづけていく。
その痛みに私は顔を歪め痛がるが、その右足をグリグリと地面へと押しつけた。
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